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第75キロ  合流!

おそらく年内最後の投稿です。良いお年を。

敵の援軍だったらどうしよう。

いや、でも、吹っ飛んだのは敵だし……。


そう思っていると雪の道に人影が見えた。


「あれは……?!」


そこに現れたのはキュウリの馬に乗ったフードを被った人物だった。


「きゅうりー!!!」


個人的には何よりキュウリの馬が気になる。

あれ、お盆に、見たことがあるやつ!!


「キュウリの使い魔……馬型みたいだな。」


メイが冷静に分析している。

確かにニンジンの使い魔もいっぱいいたけどな?!


「「あれは……!精霊馬!!」」


マッチョンとカリッパの声が重なった。

え?何?有名人?

ていうか確か俺の世界のお盆のキュウリの馬も精霊馬って言われてたと思うんだけど。


「お前は……!シタッパか!!」


シタッパって名前のインパクトに思考を放棄したくなるが、えっとシタッパって言うと……。


「ゴリッパ家を倒したやつの名前……。」


メイが真剣な表情でつぶやく。


そうそう!そうです。

あれ?もしかしてメイに思考読まれてる?

と、とにかくシタッパがここに来て……何をするんだろうか?


「カリッパ。あなたのやりすぎを見過ごすわけにはいけません。その方々を強制連行しようとしているのは何故ですか?」


堂々とした声が現状を咎める。

カリッパは一瞬ギリッと歯を食いしばるってから、すぐに余裕のある表情になった。


「彼らが不法入国の疑いがあるからですよ。」


それにマッチョンが反論する。


「我らは光の国の王から雪の国の王の許しを貰っている!」


その返しは普通に予想していたのだろう。

カリッパはニッコリ笑うと


「それは誠に申し訳ありません。早とちりしてしまったようです。」


と言って俺たちへの攻撃を辞めさせた。


そして誰が止めるまでもなく撤退して行ってしまった。


あっという間に引いた兵士たちに驚いているとシタッパと呼ばれた人物がこちらにやって来た。


「あなた方が栄養大臣、ですか?」


そう尋ねて、彼はフードをとった。

人種の問題もあるんだろうが、小林さんほどのイケメンではない。

まあイケメンよりな気はするけど。


「あ、はい。俺が秋野実。こっちがメイ。二人合わせて栄養大臣です。」


そう言えば彼はぺこりと頭を下げた。


「僕はシタッパ。シタッパ3世です。」


自己紹介を聞いていると聞きなれた声を耳が拾う。

そちらに目をやれば馬車をなんかグミっぽい感情で引っ張っているフィールがいた。


「フィール?!」

「私たちもいるよ。」

「小林さん!?」


馬車から顔を出したのは小林さんと田中さんだ。

マッパンはいないようだ。

それから……


「そちらは?」


シタッパとお揃いのフード付きのマントを着た……女性に目をやる。

うん。多分女性だ。


「こちらはカシッパさんです。」


田中さんが親し気に紹介してくる。

仲が良いのだろうか。


「彼女は先ほどのカリッパの姉です。」


シタッパの言葉で女性がフードを外す。


「ええ。私は雪の国の貴族。カリッパの姉です。」


白い肌に、白い髪。

確かにカリッパとお揃いの色合いをした女性だ。


「……どうしてあんたがこっちに……?シタッパに捕まったとかじゃないんだろ。」


メイが俺の後ろに隠れながら質問を投げかける。


「確かに。私はカリッパの姉。血縁だけを考えたら敵対する側かもしれません。でも、私は弟の……民の命を弄ぶ行為を許せないのです。」


白い髪が、銀髪と言うならそれはメイと対になる色かもしれない。

銀の髪の長い女性が金の髪の短いメイに真摯に答える。


「……。復習や家督争いでは無いのか?」


メイの言葉にカシッパが目を見開く。


俺はメイの言葉の意味が分からない。

目をぱちぱちさせてメイを見ることしかできなかった。


「ゴリッパ家の血筋の奴らの考えは男尊女卑だ。たとえあんたが姉でも家督を継ぐのは長男である弟なんだろう。それに、家の中でのあんたへの扱いだって想像がつく。だから……。」


メイの言葉に自分の世界でもあった男尊女卑の考えが頭をよぎる。

今の日本でも多少あるその考えは一昔前はもっと酷かった。

日本の外に行けばもっと酷い考えの国だってあった。


「少しだけ、そういう気持ちもあるかもしれません。」


カシッパは静かに、胸に手を当てて答える。


「けれど私、弟のことは好きなんです。私は私が生きていけるなら、弟には幸せになって欲しかった。けれど…………。」


そうしてまっすぐにメイを見て


「弟のやったことを許すことは出来ません。」


と言った。


「……そうか。」


メイはその答えに満足したのか、一つ頷いた。


「人を救いたいと思えるなら、多分大丈夫だ。」


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