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第68キロ  シタッパとカシッパ

「それで?そちらの方は?」


診療所の休憩室に二人を通す。1人はフードを外した少年。少年はシタッパ。正式に言えばシタッパ3世らしい。何でもゴリッパ家に反旗を翻した中心人物の孫だとか。そうなると彼が守るように連れてきた人が気になるところだ。その人物は頭を下げてフードを下した。長い、白い髪がパサリと音を立てる。そこにいたのはダークエルフの私とは正反対のような真っ白な女性だった。


「名乗りもせずにすみません。私は、カシッパと言います。」


その名前に小林君と同じタイミングで目を見開いてしまう。その名前は、ゴリッパ家の血筋、雪の国の貴族。その長女の名前だったから。


「お察しの通り、私はゴリッパ家の血筋のもの。しかし私は弟のすることが許せないのです。」

「弟?」


カシッパさんは静かに頷く。


「私の弟カリッパは、ヤリッパと一緒に雪の国の人の命を弄んでいるのです。」


それが許せないと彼女は強く言う。


「それで……実君に何の用事かな?」


小林君が首を傾げればシタッパさんが口を開く。


「ヤリッパはその、栄養大臣を使って人の健康を操作して、世界の征服を企んでいるんです。」


意外と規模が大きくて驚く。けれど、確かに実さんのあの不思議な知識があればそれを可能に出来る気がした。


「だから、栄養大臣にその事実を伝えて……。」

「実君はいないよ。もうヤリッパと接触して城に保護されてるからね。」


小林君が席を立ってそう言う。その言葉に2人が肩の力を抜いたのが分かった。


「良かった。流石に知らない学問を敵に回すのは嫌でしたから。」


小林君はふむと頷くと私に他の看護師たちに休暇の連絡をするように言った。その表情がどことなく嬉しそうで、私には小林君が何を考えているか分かってしまった。


「じゃあ俺たちも城に行こうか。」


小林君は意外と寂しがり屋だから。




 「本当は護衛にニンジンの使い魔とか借りていきたいけど、さすがに家主に黙って借りるわけにもいかないね。」


旅支度をした小林君がそう言って苦笑した。


「大丈夫です。戦闘は僕に任せてください。」


シタッパさんがそう言って笑う。彼らは馬車で来たらしく、私と小林さんも乗せてもらうことになった。馬車の運転も戦闘も出来るというシタッパさんにはすごいと言う感想しかない。しかも馬も普通の馬ではないらしい。濃い緑色の馬はどこかで見たような見た目で……。


「キュウリ……?」

「はい。彼の使い魔はキュウリから生まれたんですよ。何でも霊的な力も宿しているとか。」


ポツリとこぼした私の疑問にカシッパさんが楽しそうに答える。答えられて口に出してしまったことに気が付いた私は口を手で押さえた。


「良いんですよ。たくさんお喋りしたいわ!立場上お友達があんまりいないんですもの。」


カシッパさんはそう言って笑った。






 「好調であるな!!」

「流石に新鮮な野菜や果物が白い粉になっているとは向こうも思わないのであろう!!」


ハッハッハとマッパンとマッチョンが笑っている。

それを脇目に俺はスクワットをしていた。体重が重いと膝にかかる負担もその分多い。よく今まで膝を壊さなかったなと言いたくなるレベルだ。とりあえず痛めていないのなら筋トレをするべきだろう。筋トレをして膝の周りがムキムキになれば筋肉で支えられてひざを痛めにくくなるはずである。


「膝が足より前に出ないようになー。」


メイが横で俺を見ながらそんなことを言う。数をカウントして貰えるのは良いことだけど、屈むたびに圧迫され、膝の上にのる腹の肉を見られるのが恥ずかしい。そう苦情を言ったら今更だろと鼻で笑われた。そうだけど!そうだけどぉ!!メイも戯れかスクワットを軽くして見せる。フェアリーなメイは最悪足が痛くても羽で飛べそうだな、と思った。


「問題はここからですよ。壊血病の問題が解決したらヤリッパたちがどんな手段を使ってくるか……。」


フィールがマッチョンたちにそう言う。……ワンチャン都市の水道水に鉛を混ぜるとか……うん。自然発生しているものならともかく、故意に自国の民を毒そうとは思わないと思いたい。カリッパがどんな人なのかは知らないけど。


「本当はここでカリッパたちの尻尾を捕まえたいんですけどね。どうせこの事件が終わったら自分は何も知りませんって言いだしそうですし。」


フィールがそう言って俺を見る。


「そもそも実君がいればもうちょっと能動的に健康問題を操作できますからね。あいつらを何とかしないと実君達の安全の保障が出来ません。」

「ふむ。それは困るな。実殿は我の恩人だ。」

「吾輩の恩人でもあるからな!!」


マッパンとマッチョンの言葉は嬉しい。けど……


「やっぱり根本から解決しないと面倒なんだなー。」


俺はスクワットをしてプルプルする足から力を抜いてソファに座り込んだ。


自分で書いてて名前がややこしいな、と思っています。

雪の国のゴリッパ家の血筋の貴族の姉弟の名前が姉がカシッパ、弟がカリッパです。

今のところヤリッパと手を組んで悪いことしてるのはカリッパの方です。

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