第62キロ ちょっとお城に行ってくるね
「どうして止めるんだよ。」
メイは唇を尖らせて拗ねている。
「ヤリッパ将軍は色々面倒なのよ。血筋とか。それにゴールデンフェアリーに対する信仰のような支配欲も強そうだから単独で突っ込むべきじゃないんです。」
詰まる所、倒しても倒さなくても面倒だし、もしも負けたらヤバいから関わらない方が良いということだろう。
「それにヤリッパ将軍は、もう光の国の所属じゃないの。」
「「え?」」
これは極秘の話だから詳しく聞くなら城に来て欲しいとフィールが言う。
「雪の国の被害が収まらないんだけどね、ヤリッパ将軍のせいらしいんですよ。」
「「「え?」」」
メイと俺と田中さんの声が被った。あれだよな?雪の国の被害ってメイを迎えに行く時に話題になってた壊血病だよな?ビタミンCの欠乏症の。
「あれ?王様は結局どうしたんです?」
悪い人じゃなさそうだったから新鮮な野菜や果物を雪の国に送ったのかと思ったけれど。
「送りましたよ。一応光の国の利益を考えて色々条件は付けましたけど。」
条件とかは国の話なので詳しくは知らない。
「なのにその輸送体がよく襲われるんです。」
「それは賊とか?」
「いいえ。雪の国にいるカリッパという貴族のせいです。」
んんー……。名前からして何か、察しがついたかもしれない。
「もしかしてその人ってヤリッパ将軍の関係者だったり?」
「はい。カリッパはヤリッパ元将軍の従兄です。」
血筋が面倒っていうのはあれか。貴族の関係者ってことか。
「機密がめっちゃ多いんですよ!!魔石では話せないくらい!!というかヤリッパ将軍に狙われてるなら尚更です!!サラマンザラに伝えるので城に来てください!!」
魔石の通信はそこで途切れた。
「……。」
「……。」
「とりあえず旅の支度するか。」
「そうだなあ……。」
旅支度の前に、一応現状の確認を行う。
腹回りは96cm。体重は96.4キロっと。あんまり大きな変化はないけど少しは減っている。まあエルフの集落行ったりして有酸素運動もしてたしな。うん。身長はもう伸びないので154cmで、計算するとBMIは……
「40.65……。」
当初のBMIが48越えとかそこらだった俺にとっては結構快挙だ。身長が低い分体重の変化が大きく反映される気もするけど。
「そうか……あと少し痩せるとBMI30台の世界に行けるのか。」
計算してみればBMI40は94.86キロくらいらしい。つまり俺は後1・6キロくらい痩せればBMIが40を切るのだ。
「旅がてら頑張ってみよう!」
そう思い、俺は改良を重ねた栄養剤(今回は粉末タイプ)をリュックに詰め込んだ。
大樹とニンジンの使い魔達にメイが留守番を頼む。防衛の観点からリーダーはお留守番だ。光の国の中でも最強の類に含まれるであろうマッチョン。彼と互角の力を持つんだからヤリッパ将軍が攻めてきても負けないだろう。最悪は大樹が気配遮断して動いたりして非難するだろう。
俺はリュックを背負ってミズタマンとトントンを肩に乗せた。戦闘能力がほぼない俺はどうしてもこの2匹に頼るしかないのだ。メイは大樹の地下に潜ってた時と似た感じで魔力で使う剣を腰に、それからリュックを背負っていた。
「じゃあ行くか。」
仕上げとばかりにニジを抱っこした姿はカッコいいけどやっぱり可愛らしかった。
「とりあえず今回は国家機密の伝達が主な任務なんで実さんとメイさんの2人だけです。」
サラマンザラがそう言った。
「確かに診療所を閉めっぱなしにするのも問題だからな。」
「この町には1つしか診療所が無いですからね。」
つまり小林さんと田中さんは来ないらしい。
「いや、大事になれば多分手を貸してもらうとは思うんですよ。小林医師ほど栄養学?に理解がある医師は他に居ませんしね。」
サラマンザラはそう言いながら竜車を用意していた。確かに俺は栄養士であっても、たとえ管理栄養士であったとしても、医師ではない。医療的な決断は出来ないし、そもそも原因に栄養が関わっていない病気について出来ることは治療後のケアぐらいなのだ。壊血病の患者さんがたくさんいるという雪の国に、もし行くとなれば小林医師の手助けはやはり必要になるだろう。
「じゃあ、行ってきますね。小林さん。」
「ああ。」
そうして小林さんに見送られて俺たちは旅立った。
本文でも言ってますが実の身体状況は
身長154cm
体重96.4キロ
腹回り96cm
BMI40.7
となっています。第1キロから20キロくらいはダイエットできているので一応頑張っていると思います。