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第45キロ  もはやモンスター対決なのでは?

 大体、どうして結婚式なんてものを挙げようと思ったのだろうか。ゴールデンフェアリーを縛り付けたいなら物理的及び魔力的に縛り付ける方法を頼るべきだろう。親も分からぬ状況で親愛も知らずに恋愛だけを知れだなんておかしい話だと思う。いや、世の中の偶発的にそうなってしまったものは仕方ないと思うのだけれど自分の置かれた状況は明らかに仕組まれた状況だったから、そう思ってしまう。


この里は自分の何もかもを見てくれなかった。努力も感情も、すべてはゴールデンフェアリーであるという事だけで片づけられてしまった。それがどうにも耐えられなくて、小さい時の自分は山も越えて飛び出して行ったのだ。


自分がゴールデンフェアリーだと思うと心が息をしなくなる。感情が零れなくなる。そして不幸なことに俺はゴールデンフェアリーがどう振舞えばゴールデンフェアリーらしく民衆の心をつかめるか分かってしまっていた。


(ああ……でも、精神的に縛り付ける方法も場合によってはかなり有効か。)


大切なものなんて何もなかったあの頃と違って、今はお世話になった森を焼くと脅されれば従ってしまう。ウィリデはそれをよく理解しているのだろう。場合によっては俺以上に。

自分が生まれた里なんてどうなっても良いのに、育った森にはなくなって欲しくなかった。それ以上に――――――。


「そういや、チョコレートの感情なんて初めて零したな。」


意味も分からないけど、傍にいて一緒に頑張ってくれた彼に向けたあの感情はきっと他の誰にも抱けない感情なんじゃないだろうか。

そう考えたけれど、やっぱりゴールデンフェアリーとして里にいる以上、どんな感情も一粒だって零れやしなかった。












 俺の肩をたたいたのは何かツタだった。いや、ツタと言えばミズタマンだけど、ミズタマンのツタは生き生きしてて緑なのに対してこのツタは茶色くて干からびて……。そのツタの出どころを見て俺はハッとした。


「そうか!手伝ってくれるのか!!さすが同志!!」










 「確かに打撃攻撃の方が有効なようですね!!」


悲しみの感情を大きく重くしてゴーレムにたたきつける。


「相変わらず感情の攻撃がえぐいっすねー?!」


横でサラマンザラが何か言っているけれど


「手を動かしてくださーい!ゴーレム固いんですから!!」


と返す。それにしても実君はどうしたんでしょう。打撃が有効とか言ってから、またどこかに行ったみたいだけど。


(それにしても本当に、実君はメイちゃんが大切なんですね。)


そんなことを思っていたら後ろからズズンと低く響くような音がした。


「?!」


バッと振り返ると


「……えー…………。」


移動手段に使っていた大樹が根っこを振り上げていた。











 大樹に乗ってゴーレムの元に向かう。

それにしても本当にマッパン怪我一つしてない。うわ、強い。確かにあれだと服を着てたら服の方が先に破けるとかそういう……いや、ふんどし強くね?!俺はそこで首を横に振った。そんなことを考えている場合じゃない。


「サラマンザラ!フィール!どいてくれ。大樹がゴーレムから魔力を吸い取ってみてくれるって!!」

「「そういうことは早く言ってくださいよ!?」」


 二人のセリフが重なった。確かに相談も何もせずにやったのは悪かった気がする。うん。今更だけど。

フィールが感情で作った紐でサラマンザラを引っ張って緊急退避してくれた。確かに攻撃力、機動、どちらにおいてもフィールはサラマンザラより大分すごいらしい。

そう思っている間に大樹が根を振り下ろす。あれだな、見た目的にゴーレムと大樹の戦闘って魔物対決っぽいよな。大樹も顔があったら結構定番の中ボスっぽいっし。

ふり下ろされた根にさすがにゴーレムも反応する。マッパンに対する攻撃を止めて根っこをその手が掴む。でも大樹も負けていない。その手の岩がゴロゴロと急激に固まって動く力を失い、地面に落ちていく。ゴーレムが慌てたような挙動を見せたがもう遅いだろう。あっという間にゴーレムは物言わぬ岩になり果てた。

あー……これやばいやつだな。この大樹、こわい。これを手懐けたメイの師匠もメイもすごいな?!


「魔力結合の魔力を吸収して結合を解いたんですか。結構めちゃくちゃなことしますね。」

「それでこそ吾輩を救った男だな!!」


フィールとマッパンがそう言った。どうやら大分やばい方法を知らないうちにやってしまったようだ。


「そんなこと思いつかないよ。」


なんて小林さんが言った。まあ俺も必死だったからな。それと俺にはこの世界の常識がないから逆に思いついたのかもしれない。


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