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第43キロ  とある感情の名前

「空を飛ぶ道具……。フェアリーは自在に空を飛べるはずなのになぜそんなものを作ったのでしょう。」

戦闘がひと段落ついて、小林さんがそんなことを言った。

「んー?メイは飛び続けると疲れるって言ってたけど。」

「あ~歩き続けると疲れるから馬とかに乗りたくなるみたいな感じですかね。」


横からサラマンザラも口を挟んでくる。

そもそもフェアリーってメイみたいなちょっと小さくて飛べる種族なんだよな。


「ゴールデンフェアリーがいるじゃん?ゴールデンエルフとかいないんですか?」

「エルフはダークエルフはいるそうだが……見たことはないな。」

「光の国っすからね。闇っぽいのは基本的に好まれないんですよ。」


小林さんはエルフで、多分他の皆さんは普通の人?的な者なんだろう。多分。


「じゃあ他の国にはダークエルフとかもいるのかな。」

「おるぞ!!」


いきなりマッパンが大きな声をだした。


「他の国ではダークエルフの集落がある国もあれば、魔女が正式に認められている国もあるからな。」


魔女。そういえば俺たちに、メイにかけられた疑惑は魔女疑惑だったか。


「光の国では魔女は認められてないのか?」

「そもそもわが国では悪魔との契約を結んでいるものを魔女と呼ぶんすよ。悪魔と契約してる時点で罪なんです。」


悪魔?!マジでそんなんいるの。ファンタジーかよ。

いや、この世界、割とファンタジーだったな。すまん。


「そういう意味では彼女は正しく魔女ではなかったみたいよ。それに、彼女の師匠と呼ばれる女性も。」


フィールが横から口を出した。

さすがはメイの尋問官ですね?良く知ってる。


そういえば俺もメイから師匠の話を何度か聞いたことはある。あれだろ?和食好きで大樹の地下の封印をしたすごい人。魔女って言われても信じちゃいそうなんだけど魔女じゃないのか……。


「あの辺には昔から色んな知識を持ってる女性がいるって噂とその女性に悪魔が憑いているって噂がありましたけどー?」

「メイちゃんの証言、および状況的な判断からしてその女性は悪魔と親しかったけれど契約には至らなかったみたいなんです。ちなみに悪魔との契約っていうのは悪魔に死後魂を売り渡すことによって生きている間にすごい魔力や知識を得ることなんですけどね。」

「つまり?」

「つまり逆はカウントされないんです。悪魔の元に魂を売ると悪魔の眷属とかになっちゃいますから罪なんです。」

「……つまり?」


フィールは眉を寄せて俺を睨んだ。


「察しが悪いですよ。悪魔が師匠さんに魂を売っていた場合はノーカンなんです。」


ううん?逆?いや


「なんでそんなことがあり得るんだ?」


フィールは俺の問いにため息をついた。


「あれですよ。愛ゆえってやつです。」


俺以外が静かに納得してるけどどういうことなのだろうか。俺の理解が追い付かないのは俺が異世界人だからなのか。それとも俺が鈍いのだろうか。
















 ただ俺の隣にあるだけでいいのだと、思っていた。たとえ彼女が俺に感情を零さなかったとしても、向けなかったとしても、見なかったとしても。隣にいてくれるだけで良いのだと、そう思い続けていたのに。


(どうしてこうも腹立たしい。)


何も映さないような瞳で見られるたびにどうしても胸の奥が焼けるように痛い。あの研究所にいたデブにはもっと親しく接していた。感情を向けて、感情を零していた。メイはあんな表情もできるのに。


(どうして俺には向けてくれない。)


そうしてメイが最後にあの男に向けて零した感情。あれは紛れもなくチョコレートの形をしていた。

どうしてよりにもよってあの感情なんだ。

他の感情じゃないんだ。


あの感情は、あの感情は―――――――


「俺が欲しくて堪らなくて、メイに向けて嫌になるほど零した感情なのに……!!」












驚きの金平糖

基本的に黄色くてちょっとぱちぱち驚きの味


満足感のマシュマロ

食べれば満足モフモフマシュマロ


悲しみのドロップ

感情が強いほどしょっぱい涙型


怒りの煎餅

赤くて辛くて鋭くてうっかりすると怪我しそう


じゃあ複雑な味のチョコレートは?



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