第40キロ 一緒にいるって話
令和になりましたね!この話平成最後の昭和の日に予約であげたつもりだったのですがうまくできていなかったみたいです。すみません!!気づいたので曜日違うけど今日あげておきます。
ステンドグラスが綺麗な普段使われていない集会場があった。別に教会とかじゃなかったけどステンドグラスが綺麗だった。
メイはそこがお気に入りの場所だったようだった。たまたま入ったらそこの椅子に座ってステンドグラスを見上げていた。はじめはびっくりした。
「何してるんだ?」
「綺麗だなって。」
メイはそう言ってステンドグラスを指差した。確かにステンドグラスは綺麗だったけど、ガラスを通した色とりどりの光を移す瞳は、その光に照らされる髪と羽は、それ以上に綺麗だった。
(ああ。隣にいたい。ずっとずっと。)
この綺麗な女の子が俺のものになったら良いのに。
そうだ。俺は、この子の婚約者だ。俺は隣にいられる。隣にいる権利が俺にはある。
ステンドグラスの下で、キラキラ羽から光を零す彼女はまさしく、崇拝するに値するゴールデンフェアリーだ。確かに彼女には青い花より金色の花束の方が似合うだろう。だって彼女はゴールデンフェアリーなんだから。そう思うのに、なぜか胸に棘が刺さったように痛かった。
王都に着いた俺たちはとりあえずマッチョンを訪ねた。お茶会するとか言ってたし、マッチョンもマッパンも城にいた。
「メイ殿が連れていかれたと?」
「その男は風上におけぬな!!」
話を聞くにまともな同意を得ていないではないか!とマッパンはお怒りだ。
「我もついていきたいのは山々だが、さすがに国の安全防衛上ついていくわけにもいかぬ。」
そういえばマッチョンは屈強な戦士。王前裁判にも割って入れるようなすごい人だった。
「ふむ。では吾輩が同行しよう!」
「「「「マッパン?!」」」」
「吾輩は海賊。国の有事の際には国にいることが多いが、それ以外は基本的に色んな国に行く。吾輩が同行しても良いだろう。」
とりあえず王様に同意を得るためにも情報を貰うためにも王様に謁見することになった。マッチョンの申し出でフィールが王様に取り次いでくれた。
「栄養大臣のメイの出身地か。」
俺は頷く。ウィリデは小さいころからの婚約者だと言っていた。それに基本的に妖精の里の者たちはゴールデンフェアリーを外に出すのを良しとしないらしい。それなら、メイたちは出身地に向かった可能性が一番高いと考えたのだ。
「本人が言っていなかったならそれは分からないのではないか?」
王様がキョトンとして首をコテンと傾ける。いや、確かにそうなんですけどね?わかんないから情報収集に来てるんですよ。
「この前のパーティーというか社交会でそんなことを言っている村長がいましたよ。」
王の後ろに控えていたフィールがそう口にする。
「村長?」
「はい。わが村のゴールデンフェアリーが遂に功績をあげたとかうるさかった人ですね。妖精の里の……確か山影の里のものだったはずです。」
「ああー……。あのメイの功績を自分の功績のように語っていた者か。」
王様が思い出したように言った。
「その、山影の里の場所はどこなんですか?」
食いつくように問いかけてしまう。
「確か距離としては遠くないがちょっと山脈を超える必要があってな。」
「つまり登山ですか?」
「登山というか……高さはそんなにないけどモンスターが多めに出るのよ。」
フィールが腕を組みながらそう言った。
「やはり吾輩は命の恩人に恩を返さねばなるまい。同行の許可をいただきたい!」
「そうだな……。マッチョンさえいれば最低防衛ラインは守られるだろう。ただ……隣国の問題が心配でな。」
王の言葉に思い当たる節がある。
「それは北の国の、マッパンが罹った病気のことですか?」
俺が食い気味に尋ねれば王は少し引いて頷いた。
「あの病の原因はビタミンCです。救いたいなら新鮮な野菜と果物を送ってあげると良いと思います。追い詰めたいならそれらを絶てばいい。」
栄養学を王様が悪用するかどうかなんて知らない。俺は一刻も早くメイに会いに行かなきゃいけないんだ。
「実殿!!」
マッチョンの咎める声がする。
「わかった。マッパン、それからフィールも……実についていくといい。」
え?何?フィールも来るの?
「わかりました。」
「そちらの方はメイさんと……何かもめてませんでしたか?」
小林さんが眉をしかめて問いかける。
「女の子同士だから、少しね。でも私、屈強な戦士には及ばないけどそっちのサラマンザラよりは強いわよ。」
フィールはそう言って笑って俺たちの後に着いてきた。