第34キロ ビタミンCは大切です
投稿時間がずれててすみません!
とりあえずビタミンC、アスコルビン酸の化学式を書いてメイに渡す。
「ビタミンC。化学名は還元型をアスコルビン酸、酸化型をデヒドロアスコルビン酸といいます。」
メイだけが納得したようにうなずく。他の皆は頭の上にはてなマークが出ているようだった。というかポロリと落ちたその感情は
「……茎わかめ?」
「疑問の感情だな。いまいち理解できていないが、ビタミンCの別名の話で良いんだな?」
小林さんが自分から零れ落ちた茎わかめを齧りながらそう言った。頷いて話を続ける。
「ビタミンCは水溶性ビタミン。つまり毎日尿から排泄されるものです。水溶性ビタミンの中で唯一ビタミンB群ではありません。」
「ビタミンB軍?!なんと、この前のビタミンB1は軍の一員だったのか?!」
マッチョンがそんなことを言うけど、たぶん漢字が違うやつだ、それ。
「とりあえず大事なのは生理作用……つまり体の中でどんな働きをしているか、だな。」
俺はホワイトボードにその作用を書いていく。
「まず1にコラーゲン生成。2に抗酸化作用。3に副腎髄質ホルモンの生成。4が3価鉄を2価鉄に還元すること。この4つが大切です。」
他にもビタミンEの再利用、コレステロールの代謝にもかかわるんだけど細かい話だから割愛。
「「「「コラーゲン?」」」」
メイを含めて全員新しく出てきた単語に目を回しているようなので細かく説明をしていく。
「コラーゲンは人間の体を構成するタンパク質の1つだ。」
「我の筋肉もそうなのか?!」
「いや、筋肉というよりは組織の間をつなぐタンパク質……かな。」
俺の世界では美肌に効くとか言う話もあった。まあコラーゲンを食べても消化されてしまうので結局他のタンパク質をとってもあんまり変わらないと思うんだけどね!?コラーゲンドリンクとかを飲んで肌の調子が良くなるならそれは単純なタンパク質不足なんじゃないかな?!
まあ……マッパンを見ていると肌にどれだけコラーゲンという物質が大切かよくわかる。コラーゲンを外から取り入れるって意味じゃなくてコラーゲンを体内で合成するって意味でだけどね!!
「コラーゲンが合成出来なくなった結果があちらです。」
ベッドで眠るマッパンを示す。皮膚の間をつなぐタンパク質がなくなっているのでああいう風に出血するのだろう。壊血病についてはこの1の説明で十分だろうか。メイにだけ2以降の働きについても後で話せばいいだろう。
「それでは壊血病の治療法は……。」
「たくさんのビタミンCの摂取です。」
マッチョンの問いに答える。
「つまりさっき俺にかんきつ類を絞らせたのはかんきつ類にビタミンCがたくさん入っているからですか?」
サラマンザラに頷く。
「新鮮な野菜や果物にビタミンCはたくさん含まれてるからな。」
この国ではあんまり心配をしなくて良いだろう。まあマッパンは北の国に行っていたからこういうことになったんだろうけど。
(北の国は壊血病をどう対策しているんだろう?)
ふとそんなことを思った。
とりあえずマッパンにかんきつ類を絞って飲ませるように言って俺たちは研究所に帰った。何かあれば連絡してもらうようにも頼んだ。
「ビタミンCも抽出したりして販売できるかな?」
「良いかもな。そこまで難しくないと思うし。美肌効果とかも宣伝にしてもいいのかもしれないし?」
宣伝文句については考えるとして。元の世界でもビタミンCは比較的安価だったはずだ。食べ物の防酸化剤にビタミンCが使われてたのも良く見たし。
マッパンは元が頑丈だったためか結構早く回復した。
「吾輩の命を助けてくれたのはお主か!!」
うん。何か確かに海の男っぽい。
「あの、マッパンはいつもふんどし一丁なんですか?」
「これが吾輩の普段着だ。もうちょっとかっこつける時はマントを羽織ったりもするぞ!!カッコいいだろう?」
むしろ変態じみてる気しかしないんだが。
「これでマッパンと王とちゃんとお茶会が出来る。例を言うぞ、実殿。」
マッチョンがそう言ってお礼を言ってくる。以前も聞いた気がするけどお茶会のメンバーにマッパンもいたんだな。つまり、マッチョンとマッパンと王でお茶会をしているのだろうか。
「俺が困った時に助けてくれれば良いよ。」
マッチョンにそういえば豪快に頷いてくれた。