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第17キロ  イケメンインテリエルフ小林次郎

前回言った通り一応毎週月曜更新になります。する予定です。

 ある日店の方に何か若い黒い髪の眼鏡の男が尋ねてきた。耳が長いのでエルフなんだろうか。

白衣を着てるけど……同業者だろうか?


「えー……どちら様でしょうか。」

「俺は町で医者をしている。小林次郎だ。」

「日本人?!」

「は?」


本当にこの世界の言葉はたまに意味が分からない。知的なイケメンエルフの名前が小林次郎……。

お兄さんは太郎か一郎なんだろうか……。


「とにかく本日は伺いたいことがあって来ました。」

「あ、はい。」


とりあえず何もないのでどくだみ茶を出す。小林さんは微妙な表情をした。


「嫌いではありませんが……。」

「それで本日はどのようなご注文でしょうか?」

「注文?」


おっと、ついつい仕事モードになると飲食業の癖が。


「ご用件は?」


そう問えば彼は紙の束を机の上に置いた。


「これは?」

「私のところに来た町人のカルテです。」


おい、患者の情報を軽々しく見せるな。プライバシーは守るべきだ。

異世界だからその辺のルールも違うのだろうか。


「本来は関係者以外に見せるものでは無いのですが」


良かった。俺の常識は通用するらしい。


「最近、原因不明の病が流行っているようなんです。」

「はい。」

「症状は、倦怠感、しびれ、、場合によっては幻覚などもあるようです。」


どれも脚気およびウェルニッケコルサコフ症候群にある症状だ。ビタミンB1の不足が原因だ。


「どうにも原因が分からない。対処療法も効果が無い。ですが……あなたのところのえいこうドリンク?それが効くと聞きました。」

「栄養ドリンクです。」

「そう、それ。何を使っているんですか?どうして効くんですか?というかむしろ町の人たちのためにその薬をもっと流通させてほしい。協力して欲しいんですが!!」


小林さんは一気に話し出した。


「待って待って。待ってください!」


一人で決めるわけにもいかない。メイは家の方にいるだろう。俺は人参の使い魔にメイを呼んでもらうように頼んだ。


「えっとめいじつ研究所の方ですよね。研究者?医者ではないだろうけど。そもそもあなたは何者ですか?この森には昔魔女がいて、今ははぐれフェアリーが住んでると聞いたのですが。」


魔女ってメイの師匠かな?山姥じゃなくて魔女だった。そこは西洋風だった……。


「俺は秋野実です。管理栄養士です。」

「……栄養士?」

「食べることに関する専門家って感じですね。食べ物は健康にも関わってきますし。」

「じゃあこの栄養ドリンクは薬品と言うより食材ですか?」

「いやー……医薬部外品ですかねー。」

「は?」


多分医薬品ほどの効果は無い。分類的には医薬品と化粧品の中間的な分類の医薬部外品が当てはまるだろう。清涼飲料水というべきではないしなあ。この世界に特保は無いだろうし。


「呼んだか?」


メイは帽子を被って羽をしまって現れた。今日は普段着の上に白衣を着て外に出てきたようだ。


「あなたもめいじつ研究所の方ですか?」

「ああ。俺は錬金術師のメイだ。」

「研究所の方はお二人で良いですか?」

「はい。」


俺は頷いた。


「今日はお願いがあって来ました。」


小林さんは先ほど俺にも言ったことをメイにも言った。町の人を救うために力を貸してほしいと。


「正直にいえば、俺は手が届く範囲の人たちが救えればいいと思っている。」


メイは静かにそう言った。


「それなら是非協力してその手を伸ばしましょう。」


小林さんは、良い人だった。良い医者で、町の人たちを本当に救いたいと思っているんだろう。


「小林さん。俺の話を聞いてみて欲しいんです。」


俺は小林さんに栄養の話をすることにした。






 「信じられない……。不足からなる病気があるなんて……!」


この世界では病気は、悪いものが体に入るからなるものなのだ。だから足りないから病気になってそれを補うと治るなんて信じられないのだろう。


「ですが事実です。」

「栄養ドリンクの中身は不足してるって言われてるビタミンB1の抽出液だしね。」


もし信じられなくても……。


「小林さん。実は体調悪くないですか?」

「っ。」


小林さんに栄養ドリンクを1週間分押し付ける。


「飲んでみてください。あなたが信じてくれるなら、話を先に進めましょう。その時にはこの病気の判断方もお伝えします。」


小林さんは今日のところは帰って行った。










 「何かよく分からんがこの薬効くな!よく分かんないけど!!」


4日後に些かハイテンションの小林さんがやって来た。ちょっと怖い。


「実君たちの話を信じよう。俺にその病気について詳しく教えてくれ!!」


まあ今後多くの人を救いたいなら医者の協力者がいるのは良い事だ。

とりあえず膝蓋腱反射の検査を小林さんに教えた。


一応小林さんはカッコよくて頭が良いエルフのお医者さんです。基本良い人。

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