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第16キロ  感情が零れないのなら

今後毎週月曜日更新とかにしようかなーと考えています。

 町に栄養ドリンクを売りに行く。個人的には宴会とか控えるべきだと思うんだけど……。


(宴会でたっぷり食べて、お酒も飲んで……そのカロリーを代謝出来ないから症状がヤバくなるんだよなあ……。)


医者に行く人もいるみたいだけど、やっぱり対処療法しか出来てないみたいだ。

原因が掴めない。しかも対処療法といってもやっぱり効かない。そんなの不安しかないに決まっている。


「なんか雲行きが怪しいですね。」

「フィールさん。」

「流行り病ですかね。私は各国を旅してるんですけど……光の国に入ってからだるいっていう人多くみるんですよね。」


フィールさんは俺の横を一緒に歩いていた。ミズタマンは微妙に警戒しているようだ。


「風土病とか……?」


フィールさんは少し考えてから俺に向き直った。


「で、あなたは何を売ってるの?」


そう言えば以前会った時は商品が品切れだったんだ。


「これです。栄養ドリンクって言うんですよ。原因によってはそのだるいって言うのにも効きます。」

「へぇ?あなたって医者?薬師?」


フィールさんは首を傾げて俺に尋ねてきた。


「俺は……管理栄養士です。」

「は?」

「フィールさんも一本どうですか?」


栄養ドリンクを一本出して渡す。彼女は胡乱げな表情をしてそれを見つめた。


「詐欺師……?」

「違います!!」

「何かそのぽよぽよしたお腹とかフォルムとか可愛くて仕方ないんだけど、犯罪はいけませんよ?」

「だから違うんです!!」


飲んでみてもらっても効果が実感できないと信じてもらえないだろう。まあ効果を実感する皆さんには買って貰えるみたいだけど。


「うーん?」

「なんですか?」

「あなたは感情が無いんですか?」

「なんでそうなるんです?!」

「だって、表情は豊かなのにそれに対応した感情が一切零れない。」


俺はため息をついた。

感情が零れないと不審がられることもあるのか。


「抑制が上手なんですよ。多分。」

「そうは見えないけど。」

「……あれですよ、特異体質で感情が零れないんです。」


異世界から来たなんて説明するのは面倒だった。


「え?!感情が零れないんですか?!」


フィールは大げさに驚いた。いや、本当に驚いたようで黄色い金平糖が散った。


「じゃあ、あなたに感情をくれる人にどうやって想いを伝えるんですか?!」


何がそんなに一大事何だろうか。俺は目をぱちくりさせた。

腕の中のミズタマンを見れば目をぱちぱちさせていた。うーん。何の感情も読み取れない。


「えっと……?」

「だって誰だって誠意を伝えるために感情を相手に見せたり、近しい間柄なら食べさせ合ったりするじゃない!!」

「何その文化?!」


聞いたことが無い文化に今度は俺が驚いた。メイはそんなこと言ったこと無かった。


「感情屋でもない限り、感情はそう言うものでしょう。」


そう言われてもよく分からない。フィールは俺を見ると顔をしかめた。


「そういえばあなたの名前、聞いてなかったです。」

「あ、俺は実って言います。」

「そう、実君!!あなたに真っ直ぐ感情を向けてくれるその人が」


うん。メイが?


「あなた以外の誰かにあなたにするように感情を食べさせたら何かいやじゃない?」


俺以外の誰か……知り合いで口があるのはマッチョンくらいしかいない。


「……別に?」

「あー!もう!!あなたはその人のことどう思ってるの?」

「どうって……。」


そんなことを聞かれても……俺は答えられない。

メイは恩人で共同開発者で、男の子っぽいけど綺麗で可愛くて、キラキラしてて……。


「分からない……。」

「……。」


フィールは大きくため息をついた。


「大切に、思ってないの?」

「大切だ。」

「……即答じゃないですか。あのね、感情を零さないなんて、そんな人が近くに居たら私だったら不安で仕方ないです。だって、何を思ってるか分からないですから。……感情を零さないというなら、せめて他のことで感情を返してあげてください。」


フィールはそう言うと大きくため息をついた。


「話が色々脱線しました……。何か疲れたのでその栄養ドリンクください。」

「あ、1本500ポンです。」

「まけてくれないの?!」


定価でお買い上げいただきました。



フィールお姉さんはコイバナとか結構好きな感じ。

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