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第12キロ  屈強な戦士は良い奴です

大分遅れました!すみません。日付も越えちゃったし……。来週も忙しので時間がちょっと不定期になるかもしれません。出来るだけ頑張ります。


 食事はちゃんと出ていたが何かよく分からない粉(きな粉というらしい)もたくさん食わせられた。そのせいなのか未だにだるいが、多分体調は改善していると思われる。意識もはっきりしてきた辺りで拘束は解かれた。


「うーん。もっと急激に成果は出ないのか?」

「元いた世界では静脈にビタミンB1を直接入れて、それから経口摂取にしてたみたいだけど……。」

「ビタミンB1の抽出は出来るが……医者じゃないからな。」

「静脈からいれるのは諦めよう。」


何やら俺には分からぬ会話をしているが……。


「そう言えば大男さんは何て名前なんですか?」


今まで尋ねられなかったことを尋ねられて驚く。そう、俺はいまだに名乗っていなかった。


(えっと……俺……あれ?そう言えばこの二人って二人とも一人称が俺だっけ?もしキャラ被りしたら、もしかして治療半ばで放り出されたりしちゃうかな?)


俺は、俺と言う一人称を変えることにした。


「わ……我は屈強な戦士。」


そう言えば大福男はキョトンとした。


「え……?名前?」


フェアリーはそれに頷いた。


「多分屈強な戦士で良いんだと思う。強い奴らはそう言う通り名を名前として扱っていることがあるらしい。」


その通りだ。


「え?屈強な戦士って呼びにくくない?」


そういう問題ではないのだ。


「確かに呼びにくいな!!屈強な戦士さん、もっと呼びやすい名前にしてくれ。」


何だこれ。

酷くないか?

恩人だけど、酷くないか?

いきなり改名を迫ってくるとか。


(でもちょっと強引だけどキュンとしちゃう……。この胸の高鳴りは……?)


「さあ!このままだとお前を屈強な戦士、略して……どうしようか……」


(え?今すぐ決めなきゃなの?!えっと……強そうで、かっこよさそうで……屈強そうな。)


「フハハハハハ。」


我はゆらりと立ち上がった。


「な、なんだ?!」

「我の名前は……、ずばりマッチョン!!である。」

「「マッチョン?!」」


大福男は変なものを見る目で我を見て、フェアリーは目を輝かせて我を見た。

この反応の差は何なのだろうか?







 大男はマッチョンと名乗った。


まっちょん。


マッチョンである。



「カッコいいな!強そう!」

「そうであろう!!」


え?その名前強そうなの?!俺の感覚が間違ってるの?!


「ミズタマンと同じような感覚を感じる。」


つまり俺のネーミングセンスでその名前に文句を言うなってことですかね?


「あ、俺の名前は実です。」

「俺はメイ。」


俺たちはマッチョンさんに恐らくマッチョンさんが脚気と言う病気でありビタミンB1をとれば体調が回復することを話した。


「ふむ。つまり、足りぬが故の病ということか。」


それにしてもマッチョンさんはすごい渋い感じがする。滅茶苦茶強そうだ。


「それで……びたにんだったか?それはどうやってとればいいのだ。」

「あー……それがですねー……。ビタミンB1は玄米とか豚肉とかに多く含まれてるんですよ。」

「む?それはこの国ではもうあまり食べられていないような……。」


そう、つまりいつこの国の人たちに脚気が発症するかはもう分からない状況まで来ているのだ。だから今回はマッチョンさんを使って食材からのビタミンB1の摂取を実験させていただいたんだけど。


「やっぱりもっと大量に投与しないとダメそうだよな。」

「うん。」


それに今回マッチョンさんを保護した時に他の感染症の可能性もあって大分怖かった。


「後は僕たちの住居スペースとは違う診療所的な場所も欲しいな。」


最悪放棄できるくらいのレベルで。


「確かに血まみれのやつとかが尋ねてきたらそっちに通したいしな。」


うんうん。この世界にどんな病気があるかも定かじゃないしな。





ミズタマンと人参の使い魔数匹にお願いしてメイの家から少し離れたところに診療スペースを作ってもらうことにする。


「それにしてもその人参は何なのだ?」


マッチョンがリーダーを指差す。


「リーダーです。」

「そうではなく……。いや、うむ……。何というか強者のオーラを感じる。」

「強者のオーラ……。」


何か感じるものがあるらしい。


「ぜひ手合わせ願いたい。」


マッチョンがそう言うとリーダーはオロオロしてメイを見た。

……多分見てるんだと思う。目、無いけど。


「うーん。じゃ、腕相撲で!」


メイがそう言ったので二人の腕相撲が始まった。勝負がなかなかつかないので放っておくことにした。







 「結局決着つかなかったな。」


メイはそう言ってマッチョンに話しかけた。


「ああ……。」


マッチョンは決着がつかなかった勝負の後に、助けてくれたお礼に診療所作りを手伝うと言ったのだ。


「メイ殿は……ゴールデンフェアリーであろう。何故このようなところに……。」

「良いんだよ。俺は……できそこないだからな。」


メイは少し俯きがちに笑った。

マッチョンはその表情に何も言うことが出来なかった。


最後の方の文章は第3者目線です。実が知らない話。

一応屈強な戦士は実とメイの前でだけマッチョンと名乗ります。

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