第113キロ ドラゴン対策部隊
「フェアリー族は、特にゴールデンフェアリーは幻獣族との相性が非常に良いんです。どうか、メイさんにお力をお貸しいただきたいのです。」
シタッパが頭を下げる。
「俺に何をしろと?」
「実さんがおっしゃる通り、闇のドラゴンもヤリッパの我儘に巻き込まれた被害者です。まずは闇のドラゴンと話して、ドラゴンがこれからどうしたいのか聞いてほしいのです。」
まさかの交渉役。え?メイってドラゴンと喋れたりするの?
「喋れないぞ。ただ、魔力のやり取りで何となく意思疎通ぐらいはできるかもしれないが……。」
メイは少し不安げだ。シタッパはお願いしますと頭を下げた。
「王にお願いしてドラゴンライダーのサラマンザラの同行許可も得ました!!」
そういえばサラマンザラはドラゴンに乗ってたね。ちなみにその許可、サラマンザラ本人には伝えてますか?
「うーん。そこまでグッと来ないぞ?その条件。」
「やっぱりサラマンザラくらいではだめですか。」
サラマンザラの扱いが雑!!
シタッパがメイに何度も頼み込む。本当にゴールデンフェアリーにしか出来ないことなんだろう。メイはため息をつきながら
「行ってもいいが……」
と俺に視線を向けた。え?なに?
メイはどことなく不安げだ。
「えっと?ええ……あ!俺も一緒に行きます!!」
とりあえずメイの近くにいることで何か出来たらいいな!と思って手をあげる。メイは満足そうに頷いた。シタッパは少し驚いた表情をしてから
「なるほど。実さんですね。あ、ちなみに護衛と移動手段としてサラマンザラさんもついてきます。」
と言った。謎のサラマンザラ推し。そしてサラマンザラのおまけ感がすごい。
大樹ごと移動するとドラゴンを驚かせてドラゴンVS大樹になる可能性があるらしい。なので大樹は今回はお留守番である。メイは留守にする間の分の魔力を大樹にあげていた。
それから連れていく使い魔はニジと5匹の人参のみ。リーダーと残りの人参は留守番である。ちなみに俺にはミズタマンとトントンがいつも通りついてくる。実際戦えない俺にとっては頼れる防具だ。
そして移動手段は
「なんかいつの間にか闇のドラゴン対策部隊のメンバーになってたんですけど~。」
と言うサラマンザラの竜車である。
「っていうかサラマンザラも竜と仲いいんだから闇のドラゴンとコミュニケーション取れないの?」
「俺は相棒のこいつ以外との竜とはコミュ障ですよ~。それにサイズも種類も違いますから。」
まあ確かに猫を飼ってるんだからライオンとコミュニケーションをとれと言われても無理だけどね。
「まあ基本的に幻獣はゴールデンフェアリー大好きですから、メイさんが頼られるのも分かりますけどね。」
竜車を引く竜が嬉しそうに鳴く。
「いっそ竜同士で話せば良いのでは?」
「平民に王と話せっていっても辛いじゃないですか。」
まあ確かにそれくらいの差はあるかもしれない。人間と小人、人間と巨人くらいの差もありそうだけど。
「俺も上手くいくかは分かんないけどな。」
メイがニジの手をにぎにぎしながらそんなことを言った。
「上手くいかなかったら食べられたりしない?」
「でかいから丸のみだろうし即死はないだろ。」
「そういう問題じゃないんだけど?!」
食べられる可能性あるんかい!とツッコミを入れたい。
「いやあ……ゴールデンフェアリーに攻撃した幻獣は……前例がないから大丈夫っすよ!!多分。」
「ええー……。」
なんだか俺が不安になってしまった。