第110キロ ビタミンDについて
ビタミンDとは脂溶性ビタミン。所謂4つだけ(DAKE)な1つである。
化学名はカルシフェロール。きのことか動物性食品に含まれていて、きのこに含まれてるのはビタミンD₂、エルゴカルシフェロール。動物性食品の方がビタミンD₃、コレカルシフェロール。
ちなみにどっちの力も同じくらい。ビタミンAみたいに植物由来だと12分の1とかそんなことはないんですよ、これが。
「何のことだかよく分かりませんが、ロールロール言ってることと、食べたら摂れる成分なのは分かりました!!で、なんで今回これが原因だと?」
サラマンザラ、それあんまり分かってない。
メイはホワイトボードに書いた化学名を見つめている。
「いや、これ人間は日光があると体の中で作れるんだよ。」
「まさかの合成可能か。しかも光合成みたいな。」
「いや確かに光の力を借りての合成だけどね?エネルギー作ってるわけじゃないから。」
人間の皮膚にはプロビタミンD₃……つまりビタミンDの元がある。
そいつが紫外線を浴びるとプレビタミンDになるのだ。で、さーらーに、これが体温でビタミンDになるんですよ。意外と大変でしょ。光エネルギーと熱エネルギーですよ。
「まあ、そんなこんなで今までは多分体内合成でどうにかなってたビタミンDが、日照量が減ったことにより不足したんだと思う。」
「じゃあ解決法としてはビタミンDを食べ物から摂ればいいんだな。」
「原因が分かると解決も早いっすね~。」
ちなみに今回の件には関係ないと思うけど、ビタミンD、活性化しないと重要な働きをしてくれないんですよ。体の中で肝臓と腎臓で25位とか1位とかの炭素が水酸化されないと活性化しないんだよ、確か。肝臓とか腎臓の機能がヤバいとビタミンDは活性化されずにちゃんと働いてくれなかったりするわけですよ、これが。
「それで、なんでビタミンDが不足すると骨に異常が起きるんだ?」
メイが首を傾げる。
「それはビタミンDがカルシウムの吸収に深く関わってるからだな。」
カルシウムは小腸で吸収されたり、腎臓で再吸収されるわけなんですがビタミンDはどっちにも関わってるんですよ。カルシウムはもともと吸収率が悪いんでビタミンDを摂ってちゃんと吸収できるようにしような!ってことですね。
「だからビタミンDの不足では骨粗鬆症やくる病のようなカルシウム関係の症状が多くみられるわけだ。」
長期化すればするほど事態は深刻になるだろう。まあ闇のドラゴンなんて俺にはどうにもできないけど。
「とりあえず、鮭とか魚と干しシイタケ!」
「なんですかそれ?!」
……また食材探しからかもしれないな。とりあえず
「魚ときのこ……特に干したきのこの成分を調べるぞ!」
まあプロビタミンDを含む食材さえ見つかれば、メイの錬金術でプレビタミンDにしてもらったりするとかいう方法もあるけど。うるち米をもち米にできるからそれくらいいける気もするし。
闇のドラゴンが出没してからの期間だとそこまで長期じゃないから、深刻なビタミンD不足は起こらないのでは?と思わなくもないですが、一応骨折が増えてるとかそれくらいでくる病って診断される子どもがいないくらいの状況だと思ってください。あと多分、光の国の住民だからたくさん光を浴びることが大切とか、もともとの食生活がビタミンDをあまり摂れるものではなかったため、ビタミンD摂取がほぼ合成によるものだったとか、体内貯蔵量が少なかったとか、闇のドラゴンのパワーがすごいとかその辺の要素が重なってビタミンDがその村全体でとても不足いるんだと思います。