第109キロ 日照量の減少から思いつく不足しそうなビタミンを答えよ
「ヤリッパは雪の国でとある生物の封印を解いたんです。」
とある生物。ふと、ヤリッパと相対した時のことを思いだす。駆け付けたメイがヤリッパを魔力で押しつぶしていた時……。
「黒いドラゴン……?」
「そう!それです!!」
確かヤリッパの後ろの方から黒いドラゴンが空に飛んで行ったような気がする。
「あー……いたな。そう言えば。」
「調査とかしてるの?」
メイが俺の隣に座る。話を聞く気になったらしい。
「その黒いドラゴンが陽光町の上空に滞在してるんですよ。」
「ふーん?」
別に滞在してるだけなら良い気もするけど。害がなければ。
「このドラゴン、実は食料が光なんですよね~。」
「ああ、つまり町が常に夜みたいになってるのか。光属性の生物にはきついな。」
太陽が出る時間が多かった町がいきなり夜の町か……。確かに変化は大きそうだ。
「闇の魔物とかに住み着かれても厄介だしな。」
メイの言葉でここに来たばかりの時を思い出す。あの大蛇みたいな感じか。でもそれなら討伐の話で済みそうだけど。
「いや、討伐するにしても長期化しますよ。町1つ覆える大きさですから。」
「大分大きいな。」
「で、問題はそこに住む人間の体調不良なんですよ。」
「そこに住む人が光属性だから辛いとかではなく?」
「それが普通の無属性の人間にも体調不良が出まして。でもドラゴンも毒素とかを撒いてるわけでもないので、どうしてかな~っと言う話になったんですよ。」
なんか俺の世界とは常識が全然違うから栄養障害じゃない可能性もある気がするんだけど。そう思いながら先を促した。
「なんか骨折が増えているらしいんですよ。」
「どっちかと言うと事故じゃね?」
「いや、今まではそれくらいじゃ折れなかったのに簡単に折れるとか。」
メイが怪訝そうな顔をする。
「他には何かないの?」
尋ねてみると
「それが一番多いですけど、後は骨が痛いとか?」
「骨か……。呪いでも撒いてるのでは?」
「呪いにしては弱くないですか?ドラゴンですよ~?」
メイの問いかけにサラマンザラがそんなことを言う。
(骨……。骨と言えば、カルシウム、リン……そして)
最近起きた変化は黒のドラゴンによって日照量が著しく減ったこと。
思い当たるものは、ある。
「もしかして筋肉が落ちたとか、筋肉痛が酷いとかあったりする?」
「あ!ありますよ!!もしかして何か思い当たるものあったりします?!」
サラマンザラがおお!っと目を輝かせた。
「なんだ太陽関係ならビタミンAか?」
「そっちは夜盲症かな。まあ光関係ではあるけど。」
まあ今回はそっちじゃないんだよね。
「多分……もし、もしもだよ?栄養関係の疑いをかけるならビタミンDかと。」
「「ビタミンD?!」」