第105キロ ミネラルの過剰症は厄介
「で、微量ミネラル系は耐容上限量がクロム以外にはあるんだ。」
「へえ、摂り過ぎるとやばいんだな?で、クロムだけはOKなのか?」
「いやそれは日本の……俺のいた国の話であって、世界の健康を扱う機関とかは一応クロムの耐容上限量を示唆したりしてるっぽいよ。まあ自然界には摂り過ぎるだけのクロムが存在しなかったり、人体じっけnいやクロムを摂り過ぎて体を壊したっていう報告が少なすぎたりするから決められないみたいだけど。」
「……つまり?」
「やっぱり摂り過ぎると良くないな!」
「結局そういうことだよな?」
「で鉄も耐容上限量があります。」
「鉄って摂り過ぎるとかあるのか?」
「俺の世界的にはサプリとか薬とかがあってだな、それの使い方を間違ったりするとありえたな。」
急性の鉄中毒もあるけど慢性的な鉄沈着症とかもある。有名なのはバンツー鉄沈着症だったかな?
女性はともかく特に男性は鉄が体の外に一気に排出される機会は滅多にない。欠乏したら食べればいいけど過剰でもどこにも捨てられないのだ。鉄が沈着すると内臓が不全に陥ったりするから俺の手には負えない。
「過剰症って分かっても、栄養士じゃ治療が難しいレベルの病気なんだよな……。」
「欠乏症なら食べさせるってことで、できることもあるけどな。」
過剰症は……特に金属の、微量ミネラル系の過剰症は結構ヤバい気がする。
この世界で発生してないことを祈る。ふりでもフラグでもないからな?!
「さて、というわけで次は亜鉛だ。」
「なんかここまで来るのに色々時間がかかったな?」
「まあ順繰りに説明しちゃったからね。」
さて亜鉛。知名度が低いようでいてマイナーだけど、しっかりサプリメントにはなってる栄養素だ。
「亜鉛が欠乏すると欠乏症になります。」
「へえ?この前床ずれの患者さんに進めてたけど、何かあるのか?」
「亜鉛の欠乏症は床ずれを含む皮膚炎と味覚障害!代謝調整作用がある酵素……DNAポリメラーゼ、アルコール脱水酵素、カルボニックアンヒドテーゼ、アルカリフォスファターゼなどなどに関わってる。だから生理機能に重要な役割を持ってるんだ。」
DNAに結合する亜鉛フィンガーたんぱく質とかもね!で、過剰症はあるけどこれは鉄ほど有名な慢性的な例はない……と思う。俺が知ってる限りでは。
個人的には他の毒との兼ね合いの方が気になります。
「この世界に元素周期表ってあるのかな……?」
「ん?一応錬金術は元素を扱ってるが、分類はあるけど……?」
うわあ、異世界の元素気になるー!!いや、でもどうせ理解できるもんじゃない気がする……。まあいいや。
「元素ってこう、電子の数で並べてくと周期的に似たような性質を持つやつが出てくるんだよ。」
さすが元素『周期』表である。表を縦にした属がそれだ。希ガス元素とかハロゲンが有名だと思う。
問題は亜鉛と同じ属の連中である。カドミウムに水銀。どっちも公害での中毒で聞いた覚えがある元素だろう。なんでも人体は亜鉛と間違えてカドミウムやら水銀やらを吸収するんだとかなんとか。
「似た元素のやつが強い毒性を持ってると結構嫌だよねって話。」
「まあ?そうかもな?」
メイは不思議そうだ。実感が持てないのはこの場合は良いことかもしれない。
ちなみにカドミウムも水銀も単体より化合物になったほうが毒性がアップするらしいね!あんまり詳しくないけど。