第104キロ 鉄について語ったら意外と長くなった
「鉄の吸収率っていうけど、どれくらいなんだ?」
「まあ約15パーセントだとかなんとか。」
「少なっ?!」
「まあ体が鉄を必要としてるときは一応吸収率があがったりとかするけどね。あ、ちなみにシュウ酸とかフィチン酸とかタンニンとかと一緒に摂取すると吸収率が下がるよ。」
「マジか。で、それって何に含まれてるんだ?」
「タンニンはよく緑茶、紅茶、コーヒーとか」
「嗜好飲料系か。」
「シュウ酸はタケノコとかほうれん草とか……まあこいつらは灰汁の部分に多いかな。後は緑茶、紅茶、コーヒー、ココア……。」
「嗜好飲料ダブルアウトじゃねえか?!」
「フィチン酸は豆とか穀物とか。」
「唐突に食べ物の種類が変わったな?」
「特定の食物繊維が多い食品に含まれてるとかなんとか……。あ!白米は炊く時に大体が分解されてるらしいよ!」
「つまり米と一緒に食べても鉄分の吸収の阻害はあんまり考えなくていいのか……。」
「で!ヘム鉄は」
「ポルフェリンキレート結合してるやつか?」
「まあ、うん。そっちは二価鉄なんだよ。」
「イオンの状態が違うのか。」
すぐに理解できるメイ。理解が早くて助かりますね?
「非ヘム鉄は三価鉄なんですよ、これが。」
「これが吸収率に関わるのか……。三価鉄を二価鉄にすればいいんじゃないか?」
錬金術で葉物野菜に含まれる三価鉄を二価鉄に変えようとするメイ。やっぱり錬金術はファンタジーである。
これなら野菜から鉄サプリが作れそうである。
でもね、そんなことしなくても
「タンパク質やアミノ酸、アスコルビン酸と一緒に食べると二価鉄にできるんだよ!!」
「は?!え?化学反応か?!まあ最初の二つは動物性の食品の鉄が二価鉄であるってあたりでまあ納得できるが……。アスコルビン酸ってビタミンCだろ?!」
「そうそう。よく覚えてたな。」
「いや、でも確かにビタミンCの働きの話の時にそんなこと言ってたな?あの時はマッパンのコラーゲン生成の話で詳しくこっちの話は聞いたなかった気がするけど。」
「まあそういうことだよ。ビタミンCは鉄を還元して二価鉄にできるわけだ。」
「栄養学は錬金術を使わなくても食材の組み合わせで化学反応を起こせるんだな……。」
あ?なんか感動してもらえてるっぽい。ちょっと嬉しい。
驚きの金平糖と満足感のマシュマロ、どっちも零れてるってどういう感情なのか知らないけど。あ、終わりにチョコレートも出てきた。美味しい。でももうちょっとしっかり味わいたいからペースは落としてくれても構わないんですよ?
「まあ料理にせよ調理にせよ、理を扱うものだからな。理科とは理の科目。」
だからこそ俺は栄養学は理系だとも思うのだ。
医学系ではあるかもしれないけど多分文系じゃないと思います。学生時代実験に追われた俺が言う。