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第101キロ  多量ミネラルの話

「それでミネラルって何なんだ?」


小林さんが帰った後にメイが尋ねてきた。


「ビタミンミネラルのミネラルです。」

「それに亜鉛とか、金属だろう。」

「金属だね。」


人間の体には意外なことに金属系の栄養素も必要なんですよ。

代表的なのは鉄かな?不足すると鉄欠乏性貧血になるのは良く知られている気がする。


「まあ……無機質かな。」

「無機質。」

「ミネラルには多量ミネラルと微量ミネラルがあるんだ。」

「多いのと少ないのか。」

「多く必要なのと少なく必要なのかな。多量ミネラルはNa、k、Ca、Mg、P。」


ホワイトボードを持ってきてそこに元素記号を書く。


「ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン?」


俺はメイの言葉にうなずいた。鉄も亜鉛もこっちじゃない。


「ナトリウムは半分以上……50~75%くらいは細胞外液、残りの大半は骨、さらに残りは細胞内液の中にある。」

食品の塩分が知りたいそこのあなた!成分にナトリウムが書いてあったら


ナトリウム×2.54で食塩相当量がでるぜ!!


まあそれは置いておこう。


「塩が塩化ナトリウムだから不足するというよりは過剰になるほうが心配な栄養素だね。高血圧も塩分の摂りすぎが悪影響になることも多いし。」


ちなみに生命維持には1.5グラムの食塩が必要なんだとかなんとか。


「それでカリウムはナトリウムと対になってる感じの栄養素。ただし大体細胞内にいる。残りのちょっとだけが細胞外にいる。」


細胞の内側と外側で何をしているのかというと浸透圧とかナトリウムポンプとかその辺の話になるので、今はいいや。

カリウムはナトリウムの排出を手伝ってくれるから塩分摂りすぎな人はカリウムの摂取量を増やすのも有効だと思う。

腎臓が健康なら耐容上限量が設定されないくらい多めにとっても大丈夫な栄養素だ。


「カルシウムは」

「骨だろ?一応それくらいは知ってるぜ。」


メイが挙手して発言する。挙手はするけど俺の許可を求めているわけではないらしい。


「そうだな。99%が骨とか歯に存在するらしいな。でも結構重要なのは残り1%だったりする。」

「へえ?どこにあるんだ?」

「血とか組織。」

「ふむ?」

「役割は血液凝固、神経伝達、筋肉収縮などなど……。」

「え?大事じゃね?」

「大事だよ。そういう色んな役割のために骨を溶かして血とかにカルシウムを出すくらいには。」


そうして骨を壊した結果、欠乏症としてあがってくるのが骨粗鬆症だったりする。


「あ!活性型ビタミンDと一緒にとるとカルシウムの吸収促進になるよ。」

「おい待て。ビタミンDはまだなんとなく分かるけど活性型って何だよ?勝手に活性化させるな。」

「肝臓と腎臓でそれぞれ25個目と1個目の炭素が水酸化されること……わかる?」

「錬金術師だからな。分子や構造式で話してもらったほうがむしろ分かりやすい。」


こう見るとやっぱり俺よりメイの方がバリバリの医療系である。メイがいればビタミンDを体の中じゃなくても簡単に活性化させれそうだな。肝臓や腎臓に問題があると活性化しないんだよ、ビタミンD。


「そういうことでビタミンDの欠乏症も骨粗鬆症とかだな。」

「話がカルシウムからずれてるような……?」

「大分関係が深いから仕方ない。」


「マグネシウムは半分くらいが骨、残り半分の半分くらいが筋肉、そのほかは脳とか神経とか体液とか色んな所に存在してるんだ。」

「ふーん?あんまりピンとこないな?」

「補因子として300種類以上の酵素の活性化に関与しているとか。」

「やってることが多いな?!」

「これは普通の食事でとる分には問題ないぞ。」

「普通の食事じゃないとどうなるんだ?」

「サプリやら強化食品やらを食べすぎると問題がある。」

「問題……?」

「腹を下す。」


普通の食事からなら問題ないんだけどね?


「あとはリンだな。」

「リン脂質とか、墓場で火の玉の原因とか言われてるリン?」

「……まあ、そうだな。」


一応どっちもリンだな。リンにも白とか赤とか紫とかあるらしいけどその辺はメイの方が詳しそうだ。


「リンも85%くらいは骨とか歯にある。この時の形はリン酸カルシウムだったりリン酸マグネシウムだったりする。」

「さっき説明したやつらとくっついてやがる。」

「で、残りの多くは軟組織。その他は細胞の中とか細胞外液とか細胞膜にある。」

「意外と細胞膜の割合が低い。」

「これは日常食を食べてれば不足しないと言われているくらいだ。俺の世界ではむしろ摂りすぎが問題視されてたな。摂りすぎるとカルシウムの方に問題が出るとかで。」

「意外とお互いに影響があるんだな。」

「そうだね。まあ多量ミネラルはこんなところかな。」


さて話し終えてなんだかんだそろそろおやつの時間である。


「ところで小腹がすいたんだけど。」

「はい。感情のチョコレート。」

「ありがとう。」


チョコも良いけど、そろそろ暑くなってきたからアイスが食べたい。

でもアイスの感情って何?冷たい系?メイに冷たい目で見られるのは嫌だな。

どうして好きな相手の中の自分の株を自分から下げに行かなければいけないのか。


「あー……豆腐と樹液あるし豆腐アイスくらいなら作れるかな?」


高たんぱく低カロリー。これなら筋トレの後に食べても良い気がする。

大豆製品はうちの研究所の得意分野である。


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