第100キロ 運動も食事もできることを続けることが大切
同じ筋トレでも息があがりにくくなってきたので、少し回数を増やしてみたりする。
「そろそろ普通の上体起こしとかはしても良いのでは?」
「まあ、そうだね。」
クランチとかはお腹の肉が気になって集中できなさそうだけど上体起こしなら足と腹の間に距離があるから出来るかもしれない。
「できは、するね。」
きついから最初は10回くらいからだけど。
問題が起きるとダイエットとかは考えにくくなるから、問題が起きていない間に痩せたい。それで、メイの隣に……恋人として立ってもおかしくないようにするんだ!
メイの恋愛対象に入れるようにしたいのだ。
メイは俺の考えた献立をできるだけ作ってくれるのでマジで助かっている。本当に良い子なのだ。
「うん。今日は腹筋50回やろう。」
「どうした?!無理はするなよ。」
聞こえていたメイに驚かれてしまった。
小林さんが研究所に尋ねてきた。
「最近患者さんのお婆さんなんだけど、床ずれがひどいらしくてね。何かいい案はないですか?」
「床ずれか……。」
床ずれを怪我だと考えるならタンパク質は多く摂ったほうが良いだろう。他の栄養素もバランスよく、あとは……
「亜鉛かな。」
「「亜鉛?」」
メイと小林さんの声が重なる。
「ビタミンじゃないのか?」
「亜鉛はミネラルだね。」
そういえばあんまりミネラルの話はしてなかっただろうか。多量ミネラルに微量ミネラル。
「欠乏すると皮膚炎とか味覚障害が出てくるんだよ。床ずれも欠乏するとなりやすくなるって。」
「亜鉛か……。」
一応この世界の食材も日々メイの力を借りて色々調べていたけど、亜鉛はそこまで研究してなかった。
「亜鉛が多い食材をビタミンCと一緒にとるのが良いかな。吸収されやすくなるし。」
亜鉛が多い食材としては確かダントツで牡蠣だった気がする。
だがこの世界に存在するのか分からない。この世界に確実にあるものだと牛肉や玉子か。
「結局のところ動物性たんぱく質系の食材に亜鉛も入っていることが多いのでそれを食べてもらうといいと思います。あとビタミンCの……淡色野菜とか果物とかも副菜やデザートに組み合わせるといいと思います。」
「吸収されやすくなるって、どういうことなんですか?」
小林さんが首を傾げる。
「食べたものは消化されて吸収されます。食材によって、栄養素によって、また個人によってどれくらい体に吸収できるかは変わってくるんですよ。」
「!!同じ量を食べても同じだけ栄養素を吸収できるわけじゃないのか?!」
「そこは個人差もあると思います。年配の方だと吸収率が下がってることも考えられますね。」
こういう時にサプリメントを上手く作れればいいんだけど。
(ミネラル系はサプリはともかく薬くらいの濃度になると人によっては悪影響が出るからな……。)
重金属は体に必要だけど、毒性もだいぶヤバいので注意したい。
「とりあえずすっぱいものが嫌いじゃないなら食事に食べる前にレモン汁を絞りかけて食べてみるのもありですね。」
まずは薬剤より食事療法である。
柿とかの方がレモンよりビタミンCが豊富なのは分かってるけど、料理に柿を突っ込んでください!よりはレモン汁を入れてくださいの方が受け入れられる気がする。