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揺りかごの中で悠久を  作者: 大葉景華
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第7話

流石に間が空きすぎて自分でも話がよく分からなくなりそうなので一旦投稿します

金曜日。特に何事も無く授業を終え、会議のため若菜と共に図書室に向かう。


「若菜、あれから怪異は感じられないの?」


ふと思い出したように渚が若菜に尋ねる。

意外にも若菜はううん。と首をふる。


「ほんの少しだけ感じる……」


渚は驚愕の表情を見せ叫ぶ。


「ええっ!?大変じゃないか!」


渚が焦り出すも、若菜は冷静に続ける。


「大丈夫だと思うよ。清姫が敵意は感じないって言ってるから」


そう言うと渚もほっと安心する。


「そうなんだ……その怪異の気配はいつくらいから?」

「火曜くらいから……でも、おかしいの」


と若菜が言う


「おかしい?」

「うん。微妙に隠しているけど微妙に妖気を放出してる……意図的に」

「でも清姫が言うには敵意はないんでしょう?」

「そのはず……気をつけてね」

「気をつけるのは若菜の方だよ。僕は死なないけど、清姫の回復力は人より少し強いくらいなんだからね」


と話している内に図書室に到着した2人。渚がノックしようとするも、ふと思い出したように若菜に聞く。


「あれ?若菜は図書委員じゃないよね?」

「うん」

「……勝手に会議に参加していいの?」

「大丈夫よ。どうせ皆委員会の人の顔とか知らないでしょうし」

「いや……席とかも」

「……どうにかするわ」

「ノープラン!?」


と話していると中から扉が開けられる。現れたのは宮本与一。恐らく今日もカウンターの当番でもしていたのであろう。


「すいません……図書室ですので静かにして……って青葉さん。そして……不知火さん」

「あ、先輩。すいません、うるさくしちゃって」

「渚がうるさくて……」

「原因は若菜でしょ!?」

「渚うるさい」

「理不尽……」


と言い合っていると宮本がぷっと吹き出した。


「あ、すいません先輩」

「いえ、良いのよそれに、先輩なんてよそよそしい呼び方嫌いよ……与一って呼んで頂戴?私も渚君って呼ぶから」


え……と渚は二の句がつけずにいる。一足飛びで名前呼びだ。


「ええと……与一……先輩」


まだ先輩呼びなのに考えるような素振りを見せるが、まぁいっかといい宮本が続ける。


「今日は来てくれてありがとうね。まだ会議は始まらないからもう少しまってて」


と、宮本が勧めるが、若菜がずいっと前に出て、宮本を睨む。


「どうしたんですの?不知火さん」

「……いえ、別に宮本先輩」


といい渚の手を掴みずんずんと図書室に入る。


図書室で2人が適当に本を読んでいると次第に他の図書委員も集まり、会議が始まろうとしていた。

しかし、案の定3年生の代表に若菜が止められる。


「えっと……会議中は一般生徒は入れないんだけど……」


と言うが若菜は3年生を睨みつけるだけで動こうとはしない。

そこに宮本が割って入る。


「宗像先輩。彼女だけ特例で許してくれませんか?」

「えっ!?……まぁ宮本さんがそう言うなら」


と驚きながらも若菜が入る事を許してくれた。



「じゃ、じゃあこのまま始めようか……」


といいながら説明が入る。

会議の内容は今度の図書月報(毎月図書委員が発行する月刊誌だ)の内容についてだった。


「今回の会議はそろそろ夏だし、怪談系にしようと思っているんだよ……」


と先程の3年生が話している間も若菜は宮本から視線を外さない。宮本も会議に参加はしているが、時折渚と若菜をに視線を向け、にっこりと笑う。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


無事に会議も終わり、資料をトントンと纏めていたら宮本が声をかけてきた。


「渚君。お疲れ様」

「あ、先輩。お疲れ様です」

「ごめんなさいね、いきなりこんな役押し付けちゃって」

「いえ、僕も図書委員なので」

「そういう訳にはいかないわ。そうだ!この後時間あるかしら?お茶でも奢らせてほしいの。勿論、不知火さんも一緒に」


渚は若菜の方を見て、目で問いかける。若菜はそれに見向きもせず、宮本を睨みつける。


「私もついて行きますよ、宮本先輩」

「ありがとう。でもやっぱり先輩なんてよそよそしいわ。あなたも与一って呼んでもいいのよ?私も若菜ちゃんって呼んでいいかしら?」

「遠慮しておきます。先輩」


あら残念、と言いながらもあまり残念がらずに宮本はカバンをもって図書室から出る。渚と若菜も慌てて付いていく。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「…………………………」

「若菜?さっきからどうしたの?」

「……渚、気をつけてね」

「?うん。分かった」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


着いた先はファミレスや喫茶店ではなく、本格的なお茶カフェだった。

無論、このような場所に入ったことのない二人は頼み方など知らず、常連らしい宮本にオススメを頼んでもらう。

お茶と甘味も届き、一段落着いたところで宮本が切り出す。


「今回の件は本当にありがとうね」

「いえ、ただの代役ですし」

「そんな事ないわよ。代役といえどもキッチリと仕事してくれたもの。これからもお願いするかもしれないわ」


笑顔の宮本と対照的に若菜は不機嫌そうに宮本を睨みつける。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


そろそろ帰りましょうと宮本が立ち上がった時、宮本が渚にボソッと囁いた。


「渚君。今夜学校の体育館に来てくれる?鍵は開けておくわ」

「?ええ、分かりました」


宮本の印象的な視線を感じながら別れる。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「……今夜、宮本先輩が?」

「うん。体育館に来てって」


渚がそういうと、若菜は少し考え


「私も行く」


と言った。

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