表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者狩りの騎士と奴隷の少女  作者: 餅の米
第4章 黒騎士の過去編
88/97

第20話 過去編その20

剣を抜いてヌディアスの出方を伺う、相変わらず彼が剣を構える構え方は酷く不格好だった。



だがその構えで油断してはいけない、他の兵士とは比べ物にならないスピードに桁外れのパワーを持っている、恐らく一撃も喰らえなかった。



彼との初対戦は5年前、まだレイブラは18歳で初めての戦場だった……対してヌディアスはその当時で30歳、幾多の戦争を経験している言わゆる歴戦の戦士だった。



あの頃は圧倒的な力の差を見せられ、今の様に情けをかけられ生かされた……そこから2年、立場は逆転し、今度は私が勝利した。



そして3度目の対戦となる今回……両者とも決着をつけるつもりだった。



「情けは?」



「不要だ」



両者互いに笑うと駆け出す、何故だろうか……先程の男と戦った時には感じなかった高揚感が彼からは得られる、やはり私はヌディアスを強者と認めているのだろうか。



確かに先程はあっさり裏を取った、だがヌディアスもそれと同時に反撃の構えを取っていた……余裕をかまして勝てる相手では無かった。



「行くぞ!」



ヌディアスは獣の雄叫びとも思える声を上げて凡そ1メートルはある剣を振りかざす、それを見てレイブラはめんどくさそうな表情しながら後退した。



あの大きな剣、受け止めても恐らく力負けする……彼との勝負は毎回楽しい反面、めんど臭くもあった。



一先ず剣を二本構えると睨み合う、ヌディアスが足の位置を少し変えるとそれを確認したレイブラが一気に踏み込んだ。



レイブラに向いていた足先が斜めになる、あの足向きだとコンマ数秒動き出しが遅れる事を分かっていた、そして案の定ヌディアスは動き出しが遅れたがそれは陽動だった。



「俺が成長してないと思うか?!」



そう言って大きく振りかぶる、完全に突っ込んで行ったレイブラは突然止まれず咄嗟に2本の剣で防いだ。



2度目の戦いはこの動きを見極めたお陰で勝てたが……やはり五年の月日は長いものだった。



右手に一本、左手に一本握られた剣でヌディアスの攻撃を受け止める、辛うじて剣は割れなかったがレイブラの身体は吹き飛ばされた。



「くそっ、なんて威力よ……」



10メートルほどレイブラは吹っ飛ばされると着地して砂埃を払う、ヌディアスはあれでも一応隊長クラスの強さ、まだ他にあれが数十人居ると考えると怠かった。



辺りを見回すと怪我をした兵士達が医療班の方へと歩いて居る、先程の男が巻き起こした氷の攻撃で両者ともかなりの痛手を受け、戦って居るのはヌディアスとレイブラだけだった。



元気な兵士はそれを見る様に少し遠目から観戦している、まさに死合いだった。



ジンジンする腕を振り痛みを紛らわす、このままでは正直まずかった。



最後に戦った時とパワーが桁違い、当たらなければ済む事なのだがこちらの攻撃もあまり通って居る様子はなかった。



「ふぅ、あんまり使いたく無かったけど……」



そう言って3本目の剣を抜こうとする、その時いつから居たのか、レスフィルがレイブラの前に出て来た。



「レイブラさん、まだそれは使う時では無いです……俺に任せて下さい」



そう言って剣を抜きヌディアスに近づいて行く、ヌディアスは近づいて来たレスフィルに剣を思いっきり振りかざすが彼は意図も簡単に剣で受け止め否した。



そしてレスフィルは攻撃をしようと剣を構える、だが直ぐにヌディアスの二撃目が来た。



「無駄です、新しく第七位階に入ったからと言っても実力はそれ以上……君に勝ち目はないよ」



そう言ってヌディアスの振り切った剣の上に乗るレスフィル、そして握って居た剣をヌディアス目掛けて振りかざした。



次の瞬間、ヌディアスの巨体が地面に横たわり絶命する、首の動脈を一斬りだった。



剣をしまいレイブラに近づいてくるレスフィル、彼がここまでの強さとは正直予想外だった、相性が良くないとは言えあれだけ苦戦した因縁の相手をこうもあっさりと……あまりスッキリはしなかったが今は戦争、レイブラは直ぐに切り替えて次の戦場へと向かった。



一方、同時刻に白斗は街中で衝撃の光景を目にして居た。



四方から迫り来る様々な能力、炎や氷、雷の属性攻撃や突然出現する剣などの武器、自身の身体を鋼鉄化した兵士の攻撃を全て受けても尚、反撃をするラインハルト、その表情はまだまだ余力を残して居た。



「どうした!俺に傷一つ負わせられないか!」



そう言ってどんどんと能力持ちを倒して行く、正直白斗の出番どころか街に待機して居る兵士の役目すら無いのではないかと思える程にラインハルトの強さは馬鹿げて居た。



だがそれと同時に頼もしくもあった……白斗は握って居た剣を収めると、他人の様に観戦した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ