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転生者狩りの騎士と奴隷の少女  作者: 餅の米
第3章 覚醒の魔法使い編
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第14話 化け物への嫌悪感

気配のする方向をゆっくりと向く、だがそこには誰も居なかった。



その時、殺気の出所がエリスの真後ろに変わった。



「後ろだ」



その声が聞こえ剣が振り下ろされる音がする、咄嗟にエリスは左腕でガードすると剣は骨で止まった。



「この感触……成る程、腕で止めたか」



そう言って斬りつけてきた男は回転しながら後ろに飛んで後退する、彼の力が強ければ腕が斬り離される可能性がある賭けだったが何とか上手くいった様だった。



「いきなり危ないわね」



「侵入者は排除する、それが傭兵の役目だ」



そう言って剣をカーニャに向ける茶髪の男、だがもうこの勝負、私の勝ちだった。



話をして居る最中に男の目を見つめる、これで催眠完了の筈だった。



「お前は何者だ?何故ここに来た」



催眠をかけた筈にも関わらず自分で喋り始める男、催眠状態ならばそれはあり得なかった。



つまり彼は催眠にかかって居ない……だが何故、しっかりと目は見た筈だった。



「どうした、質問の答えがないぞ」



「私はそうね……恩を返すためにここに居る、って所かしら」



「ふむ……事情はよく分からんが俺もこの国に雇われた身、全力でここを死守する!」



そう言って剣を構え走って来る男、催眠が掛からなかった仕組みは分からずじまいだがこうなれば実力行使だった。



「ヴァークライ、血を吸いなさい」



剣に血を吸わせ自信を強化する、そして男の剣を受け止めると男ごと弾き飛ばした。



「くっ……凄い力だ、それに血生臭い……何をした」



「何をした?見れば分かるじゃ無い、血を吸わせたのよ」



「成る程、お前は吸血鬼か……ならば剣一本では申し訳ないな」



そう言ってもう一本の剣を抜く、その時エリスはある違和感を感じた。



血を吸わせる際はかなり派手に棘が自分の手に突き刺さる、それを見ても無反応だった、それに今の会話でやっと私が吸血鬼と気付いた……今の私の目はまさに吸血鬼そのもの、それを見ても吸血鬼と気付いて居なかったという事は彼、目が見えないのでは無いのだろうか。



それなら催眠が聞かないのも納得が行く、考え事をして居る最中に再度攻撃を仕掛けてこようとする男にエリスは足元に落ちて居た石を右方向に投げた。



すると男はコツンと小さな音がした途端一瞬だけ右を向く、これで分かった、彼は聴覚と嗅覚が視覚の代わりに優れている、だから居場所を感知してちゃんと戦えるわけだった。



男の二本の剣を受け止めるともう一度弾き返そうとする、だが二本になった事で攻撃がかなり重く、押され気味だった。



「目が見えないハンデを抱えてこの力、可哀想ね」



「そうでも無い、目が見えない事により無駄な情報を得なくて済む、何事にも匂いと音はついて来る、つまり耳と鼻があれば戦いは出来る訳だ」



そう言って今度はエリスを弾き飛ばす、だがこの勝負、私の勝ちだった。



「そう、なら私の居場所を分からなくすれば良いわ」



そう言って剣を地面に刺すと腕に刺さって居た棘を抜いた。



「ヴァークライ、血を上に放出しなさい!ありったけの血を!」



そう言うと剣から大量の血液が上に噴出され、雨のように2人に降り注いだ。



「これは?!血の匂いで感知出来ない……音もうるさ過ぎる!」



血の匂いと雨の音で何もエリスの情報を得られなくなり混乱する男、そして剣を闇雲に降っていると後ろから微かに甘い匂いがした。



「ほらね、視覚が無いのは不便でしょ?」



エリスが拳を握りしめありったけの力を込めて男の背中を殴ると腕は貫通した、そして男に痛烈な痛みが走った。



「くっ……そ、化け物めが……」



男は直ぐに生き絶える、だがエリスも男を始末した途端血の海となった地面に座り込んだ。



「ヴァークライ、もう良いわ……血を使い過ぎた」



ヴァークライから棘を抜く際にありったけの血を吸わせたが故に少し貧血に陥って居た。



よろよろと立ち上がるとヴァークライを握りしめて男の死体に突き刺す、そして血を吸わせた。



「本格的に私も吸血鬼ね……」



血が吸われミイラになって行く男を見てつくづく思う、昔は血なんて嫌いで仕方なかった、人の死を見たくもなかった……何処で変わってしまったのだろうか。



今じゃ血は大好物、何よりも美味しい……それに人の死を見ても何も感じない、悲しいと感じたのは啓介の時が最後……人間の様に生きようとしてももう無理だった。



血を吸い終わると血だらけのままエリスは扉を開け王宮内に入って行く、そしてふと王宮内に掛かった鏡の自分を見て笑った。



黒目の中に赤い瞳、血が付いた口周り……彼の言葉は強ち間違いでも無かった。



まさに化け物……そんな自分にエリスは嫌悪感を抱きながらも血を垂らしながら長い廊下を歩いて行った。

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