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転生者狩りの騎士と奴隷の少女  作者: 餅の米
第3章 覚醒の魔法使い編
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第11話 衝撃の事実

はぁ、と息を吐くと息が白くなる、レムドの国はどうやら夜になると急激に冷え込む様だった。



街は閑散として人はおらず、昼の様な活気は無かった。



誰も居ない街を一人で歩くカーニャ、その表情は何処と無く暗かった。



その理由はこれから始まるであろう戦いへの不安、人を傷付けた事すらない自分がまともにマグハールの仲間と戦えるのか……心配だった。



魔法も力の使い方が頭に流れ込んでいるとは言え使える魔法は基本的な五属性の魔法しか無かった。



火、氷、雷、風、土の五属性……実力的には恐らくそこら辺の転生者より若干強いか、もしくは同じくらいか……マグハールとの戦いで魔法があまり効果無いのを見ていたが為にレムドとの戦いに向けての恐怖感が消えなかった。



震える右手を左手で抑える……落ち着けば大丈夫、そう自分に言い聞かせた。



心の整理を付けると覚悟を決め、街を建物の陰に身を隠しながら進む、すると暗い街の中で一際輝きを放つ王宮の南門前に着いた。



建物の陰から南門の様子を伺う、兵士の数は情報通り4人、おまけにこの寒さであまりやる気は無さそうだった。



「でもどうやって彼らを……」



王宮内に忍び込む為だけに何の罪もない兵士を殺す訳には行かない、とは言え入らない事にはレムドを倒す事は不可能……氷魔法で氷漬けにしようにも加減が出来ないが為に殺してしまう可能性があった。



何か対策は無いか考えていると兵士が2人、カーニャの身をひそめる建物がある路地に歩いてきた。



目立つ髪の毛をフードで隠し息をひそめる、すると兵士達の会話が聞こえて来た。



「それにしても今日は特別冷えるな」



「ですねー、何でも近くの森が凍ったらしいですよ?」



「マサガの森がか?!あの森って確かこの国の倍近い広さだったよな?」



「何でも怒り狂った黒い騎士が住み着いてるらしいんです」



怒り狂った黒い騎士……その言葉にカーニャは驚きで後ろに後退りした、するとそばに置いてあった缶ジュースの空き缶を踏み付け、バキッという音が静かな街の中に響き渡った。



「誰だ?!」



兵士が音の下暗い路地に明かりを向ける、だがそこには誰も居らず、缶が潰れた時の衝撃でゆらゆら揺れていた。



路地の奥に兵士がライトを当てるが50メートルほどの直線距離には誰も居ない、暫くじっと止まっていたが気の所為と判断すると直ぐに去って行った。



「危なかった……」



なにも無いところから声がし、そして地面からゆっくりとカーニャが出てくる、何とか土魔法を操ることが出来た。



今の魔法は地面と同化できる魔法、隠れるのに最適な魔法だがその分未熟だと大きなリスクが伴う。



それは身体が土の一部、つまり地面になってしまう恐れ、今さっきカーニャは頭の先まで土の中に入ったが魔法を失敗していると、出る時に何処か身体の一部を地面に同化されて、持っていかれる恐れがあった。



「何とかなったかな……」



そう言って兵士達が遠ざかったかを確認する……それにしてもさっきの話し、興味深かった。



アミー達の話で砂漠を抜けた先にある、オージギアとシストリアの間にある森、マサガの森と言うどっちの領土でも無い国境の様な役割を果たす森があると聞いたのを思い出す、確かそこにはかつて血を飲むと不死の力を得られると言う今は絶滅したエルフが居たという森……今は守護者と名乗る正体不明の誰かがあの森を守っているらしいが、何故そこにクロディウスが……しかも理性を失って。



あの兵士達の話によるとこの寒さは森が凍ったせいとの事……そんなこと出来るのはクロディウスしか居ない、早く真相を確かめたかった。



カーニャは2人になった門兵がギリギリ暗闇で見えないであろう位置にまで近づくと魔法で風を起こす、すると残った兵士は身を震わせて門の中に入って行った。



過去に結城が教えてくれた風速1メートル辺り体感温度がー1度になる事をカーニャはまだ覚えていた、まさかあの謎の雑学がこんな所で役に立つとは夢にも思っていない……何はともあれ中に入るのは今しか無かった。



恐らく彼らは上着が何かを取りに行っただけ、近くに兵舎があるのを考えると直ぐに戻って来るはずだった。



南門を抜けて中庭に入ると木に身を隠す、南門から直ぐの所には兵舎があり様々な兵士達が中で雑談をしていた。



南門の警備がザルなのはこれがあるから、宮殿に行くにはあの兵舎を抜けないと行けなかった。



木に身を潜めながら兵舎に近づき窓の下に移動する、そーっと中を覗くと中はどうやら食堂の様だった。



ざっと数を確認する、アミーの情報によればこの国にいる兵士の数は100、そのうち64人は兵舎の外、つまり中には36人が居るという訳だった。



「多い……」



誰も殺さず、最低限の力でここを抜けなければならない……だが魔法を使えるとは言え、力加減も上手く出来なければ魔力量を上手く把握する事も出来なかった。



だがここを早く抜けてレムドを倒し……マサガの森の真相を知りたい、その為にはこんな所でうだうだしてられなかった。



服を千切り、魔法で火をつけると地面に置く、そして集中しながら風魔法で火の勢いを強めて行くと兵舎に火を燃え移させた。



そして兵士達が出てくるであろう扉の裏で待つと兵士達が火に気付き続々と避難してくる、その間カーニャは息を潜め数え漏らしの無いように集中した。



30.31.32……そして36人全員が出てくる、それを確認すると素早く兵舎の中に走って入った。



それを目撃した兵士が追いかけようと扉に近づくが、良いタイミングで天井が崩れ道を塞いでくれた。



手に持った兵舎地図と手書きで書かれた地図を見ながらまだ燃え盛る兵舎の熱さに耐え、移動する、幸いにも殆どの兵が食堂に集まって居てくれたお陰で、レムドの居る宮殿に向かう道に火の手はまだ来ていなかった。



颯爽と兵舎を駆け抜け、外に出ると後ろを見る、すると兵舎は激しく燃えて居た。



ふと耳を澄ますと、足音が聞こえて来る……予想通り、宮殿の兵士達も多少狩り出す事は出来た。



またカーニャは両脇に宮殿へ続く様生えて居る木に身を隠しながら進んで行く、あとはレムドを始末するだけ……それだけだった。

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