表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者狩りの騎士と奴隷の少女  作者: 餅の米
第3章 覚醒の魔法使い編
54/97

第1話 平穏な日常 1

太陽はいつも明るくこの世の中を照らす……だが何故か私の心はいつまでも暗いままだった。



そこそこに豪華な服を着てまるで人形のような少女に周りが注目する、その水色の髪はどの絵の具でも表現できない程に美しく……だが少女の顔は浮かない表情だった。



理由はただ一つ……ある人に会いたいからだった。



「クロディウスさん……」



そう呟くカーニャ、オーリス家に引き取られて1ヶ月……人が死ぬ現場を目の当たりにして居たカーニャに取っては安息の時、なのにも関わらず何故か心は全然休まらなかった。



理由はクロディウス、彼が居たおかげでこの世界を知れた……これからもと思って居た矢先の出来事、カーニャの心には酷く大きい風穴が空いたようだった。



何故か切ない……だがまともな生活を過去に送って居なかったカーニャにはこの気持ちを理解する事は出来なかった。



街をとぼとぼと歩いていると遠く坂の上に大きな校舎が見える、あそこが学校……初めて行く故に緊張して居た。



オーリス家の人は15歳のカーニャのことを思って学校を手配してくれたのだろうがカーニャはあまり気乗りしなかった。



人と関わる事が過去の出来事もあり苦手な性格……うまく溶け込める自信がなかった。



次第に学校は近付き周りは自分と同い年の子ばかりになる、だがその子達も皆カーニャに注目した。



「誰?転校生?すごい可愛い……」



「どこのお嬢様だろう」



辺りから聞こえてくる声に耳を傾けず歩く足を早める、皆んなが自分に注目する事が凄まじく嫌だった。



素早く校門をくぐると入り口で待っていた教師に声を掛けられた。



「貴女がオーリスさんの言ってたカーニャちゃん?」



黒髪の片目が隠れている綺麗な女性……まだかなり若いく何処と無く誰かに似ているような気がした。



「はい、そうです……」



小さな声でそう言うカーニャに笑顔を見せる女性、すると肩を叩いた。



「そっか、私は楓って言うの、珍しい名前でしょ!」



楓……その名前に転生者と言っていた結城の名を思い出した、だがそれをカーニャは心の中にしまった。



「よろしく……お願いします」



「うん、よろしくね!」



元気な声でそういうとカーニャの手を引き校舎へと楓は連れて行った。



それから暫く校舎の案内をされるカーニャ、かなりの広さに少し驚いていた。



校舎は1階が一年、2階が二年、3階が様々な教室、4階も同様で5階に三年生の教室とかなり大きかった。



今までクロディウスとの旅で様々な場所を見てきたがここ程大きい所は初めてだった。



綺麗な外観と大きな校舎、それに整った設備と言い……全てが初めて尽くめで少しカーニャは興奮していた。



「凄いでしょー、あと屋上も自由解放なんだって、それじゃカーニャちゃんは3-C、五階の一番端っこのクラスね!」



そう言って楓に連れられるがまま教室の前に立つ、中が騒がしい教室の前で待つように言うと楓が先に中へ入って行った。



「今日は転校生を紹介するよー!」



元気な声でそう言うとクラスはもっと騒がしくなる、男なのか、女なのか、可愛いのかかっこいいのか……そのザワつきにカーニャは少し入るのを戸惑った。



過去のトラウマがフラッシュバックする……そして気が付けば楓が心配そうな顔をして屈んでいた。



「カーニャちゃん?!どうしたの?」



すごく心配そうな顔をしている楓になんでも無いと告げると無表情な顔に戻る、そして中に入るとクラス中からおぉ、と言う声が聞こえた。



「私の名前はカーニャ……それだけ」



そう言うとクラスが静かになる、普通は名字なるものがあるがカーニャには無い、これはクロディウスに付けてもらった名なのだから。



「ええっと……じゃあカーニャちゃんはその一番後ろの窓際の席に行って!」



「はい……」



静かにそう言うとカーニャは後ろに座る……窓から空を見ると相変わらず太陽は眩しかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ