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転生者狩りの騎士と奴隷の少女  作者: 餅の米
第1章 記憶無き黒騎士編
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第3話 不思議な変化

クロディウスの転移魔法で着いた先は小さな村、人口はおよそ2.30人位しか居なさそうな寂れた村だった。



だが自然に囲まれ綺麗な村、今まで暗い部屋か牢屋の中でしか過ごした事の無い少女にとっては見たこともない美しい景色だった。



「ボケっとしてないで行くぞ」



「は、はいご主人様」



一人先に歩いて行くクロディウスに必死と着いて行く少女、ご主人は自分の事が嫌いなのだろうか。



あの寂しく怖い所から解放してくれたのは嬉しかった、だけど彼は中々話してくれない……少し気まずかった。



村を少し出て森の中に入ると100m程はありそうな巨大な大木の根元に立つ一軒の民家にクロディウスは入っていった。



凄い大きさ、どれ程の月日を経たらここまで育つのだろうか……見るもの、感じるもの全てが新鮮だった。



「んで外の少女をお前が買ったわけか」



物珍しそうな表情で外に居る少女を眺め頷く青年、彼はクロディウスとこの異世界で唯一交流のある第1世代転生者のジルだった。



「あの子お前に似てるよクロディウス」



「似てる?」



あの少女と自分が似ている……確かに感情面で言えば一見似ているかも知れないが根本的なものが違う、あの少女と俺は似ているようで似て居ないような物だと思っていた。



「なんて言うか目に光が無い……生きる目的が無いって言うのか?とにかくお前らは似た者同士だよ」



「生きる目的が無いか……痛いとこ付いてくるな相変わらず」



ジルの言う通り5年前のあの時から俺の生きる目的は無くなった、ただ女神に言われた通り転生者を狩るだけ、つまらなく何の目標もない日々……俺の大切な人達を奪った転生者も女神から力を貰ったの呪いのせいでどうでも良くなっていた。



外に居る鳥の止まり木と化している少女を眺める、彼女から感じる不思議な力の正体が何なのかを知りたかった。



同じ魔力を持つ同士魔法では無いのは分かる、彼女の持つ力はもっと別の物だった。



「それはそうとクロディウス、お話に来た訳じゃ無いんだろ?」



「あぁ、実は妙な指令があってな」



書斎から持ってきた指令書をジルに渡す、彼にこうして指令書を見せるのは三年前以来、その時は俺が転生者に一人で挑んで殺されかけた時だった。



クロディウスから紙を受け取った瞬間表情が険しくなる、クロディウスがこうして協力を求めるという事は只者では無いと言う事、気を引き締めなければ余裕で殺される相手の筈だった。



「敵は強いのか?」



「強い……と言うより厄介だな」



「厄介とな」



受け取った紙に目を通す、確かにクロディウスの言う通り厄介な敵だった。



能力欄に書かれた触れた者を致死性の毒状態にする能力……効力は鎧を通すのかは分からないが確かにこれは厄介だった。



「それで俺に協力をって訳か」



「そう言う訳だ」



ジルから紙を受け取り左手に持ちもう一度目を通す、備考の欄には殺害人数300弱と書かれて合ったがその辺はあまりどうでも良かった。



恐らく女神は正義感でも煽ろうとしたのだろうが俺にはそんなものは無い、ただ殺す……それだけの事だった。



「この書類は期限まであと一週間ある、その間に考えといてくれ……答えはまた聞きにくる」



「ういよ」



軽く返事をするが恐らくジルは今回来なさそうだった、触れれば死ぬ敵を相手に行きたいと思う奴は居ない、例えそれが友でもそいつの為に死ぬ程彼とは親しく無い、その証拠にバカバカしいと言わんばかりの彼の表情が証拠だった。



だがこっちにはいざとなれば偽人をあと二人出せる……まだ焦る事も無さそうだった。



ただ一つ気になるのが強い能力持ちの増加だった、ほんの一年前までは属性を操るや身体能力の強化などさほど強く無い能力ばかりだったが最近だとその二つは絶対でそれプラス何らかの能力を持つしまつ、今回のターゲットも身体能力の向上を持っていた。



「死も近いな……」



ボソッと呟き外へ出る、すると少女はクロディウスを見るや否や走って近づいて来た。



「どうした?」



「いえ、ご主人様を待ってただけです」



「そうか、なら早く帰るぞ」



頭を撫でてそう告げるクロディウス、そんなクロディウスの行為を受けて少女はきょとんとしていた。



「どうした?」



「い、いえ、ご主人様が頭を撫でてくださったのでつい……」



「俺が頭を?」



意識してやっていた訳では無い、むしろ記憶すらない、だがこの少女の反応を見る限り嘘では無さそう、だが俺が頭を撫でるなどにわかに信じ難かった。



なんせ女神の呪いがある、自分のした女神の呪いに反する行為に嬉しさよりも恐怖の方が強かった。



これが頭を撫でると言う行為だけで済むなら良いがもしほかの事をしだしたらと考えると……久し振りに恐怖と言う感情をクロディウスは抱いた。



「取り敢えず帰るぞ、やらなければ行けない事が山積みだ」



動揺で声が震え掛ける、そんなクロディウスを不審に思いながらも少女は頷きクロディウスに抱きついた。



「な、何してるんだ?」



「またビュンッて移動するならこちらの方が良いかと、ダメでしたか?」



「いや、構わないが」



よく分からない少女だ、これは懐かれたと思って良いのか単なる気まぐれなのか、どちらにせよ家に居るあのメイド二人組の事を考えるとあまり家を空けときたくは無かった。



「しっかり掴まっとけ」



そう言い少女が体を強く抱きしめるのを確認すると何の詠唱も入れず家に転移した。

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