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転生者狩りの騎士と奴隷の少女  作者: 餅の米
第1章 記憶無き黒騎士編
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第24話 アーリス教4

人が多い中央広場を見渡しセイラの姿を探す、彼女は何の特徴もない黒髪のセミロングの少女と言う事位しか覚えて居ない、これは骨が折れそうだった。



結城に一枚の資料を見せセイラを探す様伝える、その瞬間辺りの空気が凍りついた。



強い奴が居る……自然とクロディウスの視線は右へ向いていった。



視線を徐々に右へやって行きやがて1人の青年と目が合う、黒髪の一般的な青年……何の変哲も無い、だが久しぶりに強いと感じた。



こちらに笑顔を見せ人混みに消えて行く、直ぐ様サーチで姿を追うが既に居なくなって居た。



「楽しめそうな奴だ……」



「クロさん居ましたよ!」



隣で探していた結城がまるでこちらが来るのを待って居る様に噴水近くのベンチに座っているセイラを指差した。



見た目こそ変わっていないが雰囲気が変わった、何処と無く荒んだ雰囲気、やはりシルバを奪ったのは彼女にとって酷だったのだろう。



結城をその場に待機させ堂々とセイラに近づいて行く、すると突然立ち上がりクロディウスを見て笑った。



「やっとこの時が来た」



そう言って両手を広げる、その瞬間僅かだが上から何かしらの圧力が掛けられている気がした。



「クロさん、周りの人達が!」



セイラから10メートル程離れている結城が叫び辺りを見回す、するとセイラから半径10メートルの人々がその場に倒れ込んでいた。



意識はある様だが皆起き上がれずに踠いている、何の能力なのか……新聞では丸型に人が圧縮され死んでいた、だがこの能力だとペシャンコには出来そうだが圧縮は無理そうだった。



狂人の様に笑いこちらに近づいてくるセイラ、可愛い顔が台無しだった。



「黒騎士ぃ!やっと来た……私はあんたが来てくれると信じて騒ぎを起こしてたんだよ!」



「そうか、俺も会いたかったよ」



「今の私は強い!この力があればあんただって!」



セイラが興奮するにつれて辺りで倒れて居る人々から骨が潰れる音だろうか、不気味な音が聞こえてくる、だがクロディウスには何の圧力も感じていなかった。



セイラの表情が少し歪み周りの人々が潰される、すると再度手を広げクロディウスを潰すように広げた手の感覚を狭めて行った。



「これでペシャンコにしてあげる!」



手を震わせながら手の感覚を狭め最後には手を合わせる状態になる、確かに少し圧力が掛かって居るが所詮その程度、0から1になった様なものだった。



明らかにセイラの表情が絶望に変わる、与えし者から能力を授かってその程度とはガッカリにも程があった。



「結城、確かエリスが催眠使えたよな」



「はい、大抵の人は一瞬で掛けられるらしいっすよ」



「じゃあエリスに頼むか」



その場に座り込んで居るセイラの首後ろに軽く衝撃を与え気絶させると肩に担いだ。



前見た時よりも筋肉が付いて居る……能力を手に入れても尚努力をすると言う事は余程俺の事が憎かったのだろう。



別にシルバは死んだ訳でない、それにセイラもまだ生きている、2人して解放してやる事もできるが今後の障害になったら厄介……まだ能力が与えられたのがセイラだったから良かったものの本当の不死者シルバに能力が与えられればかなり厄介だった。



どちらにせよ早い所エリスと合流すべく城へと向かった。




「流石にキツイわね……」



城内の豪華な装飾が施された内装が血まみれになり辺りには兵士の死体が転がっている、高価そうな絵に付いた血を拭き取りながら身体中の傷の具合を見ていた。



何百という兵士を倒し幹部と思われし者をモーリスを倒してから更に3人ほど倒したがガラハッドが居そうな場所に辿り着く事は未だに出来ていなかった。



幾ら血を吸い回復しようとも傷は完全には癒えないし疲労もある、ダメージが微妙に蓄積して来ていた。



「面倒くさい、血を一気に吸い吐き出せ……ブラッドレイン」



血飛沫を無数の兵士の上に飛ばすと血が針の様になって兵士達に降り注ぐ、次々と兵士達が倒れて行く中エリスは一つの部屋に入るとそこにあったベットに寝転がった。



ブラッドレイン、その名の通り血の雨……あの技は血の消費があまりにも激し過ぎる、1日1度とか言う次元では無く1週間に1度使えるかどうか、身体はかなりの疲労感に見舞われていた。



剣についていた血を滴り落とし口に入れる、こんなにも激しい戦いいつ振りだろうか、クロディウスの時は一方的だった……啓介の時以来と言った所だろうか。



血を使いまくって居るが死の恐怖は無い……私は3045年と長い間生き過ぎた、ガラハッドを殺せるのなら今日死んでも良い覚悟で戦っていた。



ガラハッド……吸血鬼の生き残りは私だけと言ったが本当はもう1人居る、それがガラハッド・ローライ、吸血鬼の内戦の火種となるものを撒き、そしてヴァンパイアハンターと内通し仲間を殺したクソ野郎……許せなかった。



吸血鬼と言う同族の立場を利用し仲間を殺して自分が吸血鬼最後となり伝説になろうとした欲深い男……1度私も殺され掛けていた。



私の3045年の人生の中でまともに戦い初めての敗北がガラハッド、2度目が啓介、そして3度目がクロディウス、3度目に至っては化け物だったがガラハッドも大概化け物じみた強さだった。



今の私で勝てるか……いや、無理なのは分かっている、この小刻みに震える手が良い証拠だ。



「私が恐怖するなんて柄じゃ無いわね……」



グッと拳に力を入れての震えを止まらせる、ベットから起き上がり扉を開けると兵士の死体を避けながら取り敢えず奥に進んだ。



兵士の死体から流れる血が床を赤く染めて行く、増援の兵士も来ず城の中は静寂に包まれていた。



さっきまでの戦いが嘘の様にスムーズに城の奥へと進んで行くエリス、そして突き当たりまで行くと恐らく玉座であろう4、5メートル程の豪華で大きい扉の前に着いた。



ここに少なからず誰か情報を持つものが居る……微かながら感じる気配、只者では無さそうだった。



「楽しくなりそう」



苦笑いを浮かべると重く重圧な扉に手を掛けた。

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