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転生者狩りの騎士と奴隷の少女  作者: 餅の米
第1章 記憶無き黒騎士編
23/97

第21話 アーリス教編 1

「ゆ、許してくれ、止めろ、止めろ!!!」



悲痛な断末魔が辺りに響き渡り1人の転生者が命を落とす、対象者が死んでも尚攻撃しようとするクロディウスをエリスは止めた。



「もう良いんじゃ無い?」



「生きていたらどうする」



「生きてる訳無いじゃない……」



頭と胴体が切り離された死体が動く訳が無い、カーニャと離れてからクロディウスは変わった。



カーニャと別れて1週間、彼自身変化に気が付いて居ないだろうが確かに変わった……しかも悪い方に。



前までの余裕のある戦闘スタイルは影を潜めとにかく全力で殺しを楽しみに行っている、まるで2週間前のアーリス教を潰した時のクロディウスを見ている様だった。



2週間前



「はぁぁ?!そんなの聞いてないわよ!?」



クロディウスの仲間になるとは言ったがまさかアーリス教を潰しに行くとは思っても居なかった。



アーリス教と言えば私でも噂を聞いた事がある程にやばい宗教団体、全員が洗脳されてるのでは無いかとまで言われてる程だった。



彼らがアズガルドに向かうのは何故かと考えて居たがやっと分かった、そんな死の危険の方が高い事やりたく無かった。



「私はやめ……」



クロディウスから感じた殺気、忘れていた、私は彼に『生かされて居る』存在、彼の機嫌次第で殺されるのだった。



「はぁ……分かったわよ、やれば良いんでしょ」



溜め息をつき渋々承諾する、何故私がこんな事を。



空を見上げ思う、今日はとても良い天気、まるで私と啓介が出会った時の様な……こんな日はのんびり日向ぼっこでもしたいものだった。



「じっーー」



「な、なによ」



効果音を口に出しながらこちらをみる結城とか言った少女、そう言えばまともにまだ話した事が無かった。



彼女の性格を探ろうと身なりから想像する、顔は良い……だが身なりがだらし無い、ズボラな性格なのか……だが彼女の服装全身を覆う茶色いフードの下に着て居るのはショートパンツとワイシャツ、男性を誘う策略にも見える……彼女は計算高い性格なのだろうか。



「エリスって何年生きてるんだっけ?」



「3045年、あんたらよりずっと年上よ」



ドヤ顔で結城にそう言う!強さでは誇れない事もあるがこの年齢だけは誇れる、私以上に生きている奴が居るだろうか。



「見た感じ14.5歳ってとこっすけど何でなんすか?」



「それは私の美学よ、この世で一番美しい年齢は16って言われてるけど私はそう思わない、少し幼さが残ってる方が良い気がしてね、だからこの年齢で成長を止めてるのよ」



「へー、それにしちゃ胸でかいっすね、D?はあるっすよね」



「まぁこれは発育が良かっただけよ」



そう言い視線を結城の胸に落とす、可哀想に、年齢的に15歳程だろうか胸はBほど……俗に言う貧乳だった。



「なんすかその目」



「何でも……結城は何歳なの?」



「私っすか、私は18っすよ」



聞いて驚いた胸だけで年齢を判断したがまさか18とは……ますます可哀想だった。



「お前18だったのか結城」



「あれ?クロさんに言ってなかったっすか?」



「初耳だ」



驚かなさそうなりをしているクロディウスでさえ驚く、それ程までに結城の18歳発言は意外だった。



「それでエリスに1つ頼みが」



「何?」



「胸揉ませて!」



一瞬思考がフリーズした、約3000年生きて居るが女からの申し出は初めてでどうすれば良いのか分からなかった。



何せ自分にも付いているもの、それを揉みたいと言うのだから……揉ませて良いのかどうか、気がつけば私はあたふたしていた。



「その反応愛いっすねー」



笑いながら言う結城、顔と言葉使いが合わない……こんな顔して堂々とセクハラ発言するのだから人は本当に見かけによらなかった。



「す、少しだけよ」



「まじっすか!やりー!」



嬉しそうにそういうと後ろから抱きつき胸を触る、本当に人間はよく分からない……よく分からないと言えばモーリス、彼が一番分からなかった。



常に笑顔の金髪が特徴の男、年齢は20前半だろうか、性格はまるで聖人、眩しすぎるほどに清い行いしかしない……クロディウスの仲間に居るのが不思議な程だった。



しかも謎はまだある、移動中はクロディウスの斜め左後ろを絶対に歩いて居る事、それに加えて戦闘には絶対に参加せず敵もモーリスを狙わない事……彼は私にしか見えない存在かと思ったがかなり頻繁に結城と喧嘩をして居る、本当に分からない男だった。



「てかいつまで揉んでんのよ」



「この弾力病みつきものっすよ、クロさんもどうっすか?」



ずっとフニフニと触り続ける結城が唐突に言い放つ、その言葉にクロディウスは首を横に振るがそれはそれでショックだった。



「揉みたく無いって私の胸に魅力が無いみたいじゃ無い!揉みたいって言いなさいよ!」



「まぁまぁ、エリスの胸は最高ですから、私が定期的に揉んであげるから」



「うん……」



流れで返事をしてしまったがもうどうでも良い、そんな事より下らない事をしているうちにアズガルドに着いた様子だった。



「へぇ、ここがアズガルド」



クロディウスは感心しながらそう言う、私はこの街があまり好きでは無かった。



周りを見渡すと何処もかしこも工場だらけ、煙突から煙を出す所為で空気が汚くそして息苦しい……アズガルドは工場の街と言われ銃器を作ったり日常用に使えるロボットを作ったりとこの世界で一番技術が発達している国だった。



技術が発達し始めたのは最近の事、昔は資金も無く技術も無いただの農業が盛んな国だったのだが一体なにが起きればこんな国になるのか、興味は少しあった。



「クロディウス、何処に向かうの?」



「こっちに来い」



そう言って皆んなを路地裏に連れてくるクロディウス、何を始めるのかと思えば地面に手を当て始めた。



「これ何してるの?」



「サーチらしいっすよ」



索敵……そんな便利な事が出来るとは羨ましかった。



と言うよりそもそもクロディウスは何者なのか、啓介と同じ転生者の部類に分けるにはあまりにも彼は強すぎる、とは言え神……と言うにはあまりにも禍々しい、悪魔……死神……何にせよ彼からは私と同じ闇を感じた。



「また結界か」



「索敵不能っすか?」



「あぁ」



頷きつぎの作戦を考えるクロディウス、アーリス教と言えば確か国を抱え込んでの宗教……そして悪い噂を聞くようになったのはこの5年の間、そしてこの国が発展したのもそれくらい……つまり国が関係している筈だった。



「城を目指すのはどう?」



「城か……良い考えだな」



セラス姿のクロディウスの表情が少し明るくなる、少し役に立てた気がした。



「少し宿屋で作戦を練ろう、お前らは休んどけ……恐らく戦いになるからな」



そう言って裏路地にあった宿屋に躊躇なく入っていくクロディウス、手書きで宿屋と書かれたその看板はかなり怪しかったが彼が居ればまぁ、問題はなさそうだった。



中に入り部屋まで案内される、一応気を使ってくれたのか男女で部屋は分けられていた。



「あ゛ぁ゛ーしんどい」



おっさんの様な事を良い安物のベットに寝転がる結城、だが思ったよりもまだ内装はマシだった。



普通の一軒家の一室の様な普通の内装、ベットも埃が立たないのを見るとちゃんと洗われている……だが貴族生まれの私にとっては少し我慢しなければ寝れなかった。



「何事も適応が大切……か」



そう言いベットに寝転がる、アーリス教を潰す……何故クロディウスがその発想に至ったのかは出会ったばかりの私には分からない、だが恐らく彼にとって邪魔な何かがあるのだろう。



彼は闇の中から生まれたと言っても過言で無いほど出会った時は残酷なオーラを感じた、実際話すとそうでも無かったが彼は心に闇を抱えている……そんな気がした。



だが彼が時たま話すカーニャと言う子の話、その時だけは少し幸せそう……私も一度会ってみたいものだった。



隣で昼にも関わらず熟睡する結城、だがエリスはあまり寝ると言う気分では無かった。



4階建ての宿屋の屋上へ行き上から街を眺めようとする、だがこの建物よりも大きい工場がそこら中にあって何も見えなかった。



「市民はどう思ってるんだろう……」



「エリス、お前休まなくて良いのか?」



端の方から声が聞こえ見てみるとクロディウスが座って紙を広げていた。



「何してるの?」



「作戦を練るって言ったろ?」



「そう言えばそうね、それで何か決まった?」



「今のところこの街での目的は2つある、アーリス教支部を潰す事とセイラと言う女を捕まえる事……2つにチームを分けたいんだがモーリスが居るからな……」



悩ましい表情を浮かべるクロディウス、彼でも悩む事に少し驚きつつも自分も少し考えた。



「セイラって言えば確か少し前に新聞でやってた殺人鬼よね?」



「あぁ、あいつが今後色々と鍵になりそうな情報を握っているからな……何として生け捕りにしたい」



生け捕り……それならまずクロディウスは無理そうだった、彼の攻撃は見た範囲だけでも致死性が高い、それに比べて結城は凄い再生能力を持っているらしい……彼女が適任の気もした。



「お前は生け捕りに出来そうか?」



「私は微妙、催眠をかけるにしても自分より強い奴にはかからないし結城みたいに凄い再生も無い、手足を捥いでも良いなら捕まえれるけど」



「だめだ、拷問出来なくなる」



「となれば結城しか居ないわね」



「だな……」



消去法でそうなるとモーリスも自動的にセイラ捕獲の方に振り分けられた。



「城には俺とエリスで行く……と、その前に情報集めないとな」



そう言って立ち上がり街に行こうとするクロディウスをエリスは止めた。



「なんだ?」



「私が行くわ、この街には一度来ているし」



「そうか、なら頼んだ」



素直にそう言って階段を降りて行く、少し意外だった。



もう少し自分でやると言うのかと思ったが意外に信用されて居るのだろうか、すんなり言った事に自分自身が驚いていた。



だが信用されているならされているでやりやすい、屋上の柵に立ち飛び上がると一気に下まで落下した。

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