夏火 / シクラメン
掲載日:2017/08/17
「夏火」
火が芽吹く
田舎の空に 万華鏡
五臓を打ち抜く ひくい音
浴衣の貴女と 火の花と
火が揺蕩う
闇に無数の ひかりだま
川辺に踊る 清き火で
乙女の手首 うすくかがやく
火は消えた
あれはいつかの 蜃気楼
夏が見させた 夢の火々
残ったものは 熱の感触
「シクラメン」
我が目は狂い咲くばかり、なにも映らぬ、シクラメン
内臓の、痛みが吐き気を伴って、口の端までこみあげて、息は火を帯び、腐ってら
腕も痛けりゃ、背中は突っ張り、茨を抱いて、棺に入る
血の色なんて、見たくない、赤は怖くて、もういやだ、体が馬鹿に、震えだす
褥にいるのは、死神か、はたまた夢幻の花嫁か
消えてなくなりゃ、いい加減、心の隅にも影なくて、俺は嗤って、夢になる




