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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
12才です。
93/191

続続28話 ヒロイン攻略開始です。<普通>


あ。


「あ! 申し訳ありません! 有料にすると商売ですよね? 学園での生徒同士の売買は禁止されていましたよね? うわ、しまった、どうしよ!」


私の叫びに全員が、あ、となった。学園長の許可だけじゃ駄目だよね? でも調理する場所も外や自室キッチンだし、いや、お金が絡むから禁止になってるんだろうし、領地まで行ってもらう?いやいやそれも違うし。そういやお店のアレコレ知らないや。保健所みたいのあるのかな? あ~調べなきゃ・・・


「あぁその事で相談があるんだった」


ハンクさんがほろっと声をあげた。皆がハンクさんに注目する。


「王都の屋敷が未だに買い手が付かないということで、いっそのこと改修して食堂を開こうかという案が出たんですよ。立地も貴族区画内でも平民区画寄りだし、クラウスさんも概ね賛成です」


え、と、なんでそんな案が?


「うちの若手の武者修行ですね。王都なら手に入る食材が豊富だし、お嬢が何を見つけるか賭けの対象になってますよ。他はまあちょこちょこした事なので、領地に戻った時に改めて話があると思います」


・・・賭け過ぎじゃないの・・・


「寮内で商売が駄目ならその店で食べてもらうか、持ち帰りしてもらえばいいんじゃないですか?」


・・・まさかとは思うけど、

「それ、賭けの対象?」と聞けば、


ハンクさんはにんまりとして、

「今週中に決定なら、俺の一人勝ちです」とのたまった。


だからアイスクリームを持ってきたのかっ! やられたっ!!


外飯(そとめし)道具を持ってったお嬢が寮なんかで大人しくできるなんて誰一人思ってないですよ。案の定、学園長の許可があるとはいえ調理場を借り切ってるし」


うぐっ・・・その通りです、悔しい!


「す、すみません。そのお店ではアイスクリームは売ることになりますか? そしたら、お値段はいかほどになりますか?」


平民少年が恐る恐るハンクさんに訊ねる。


「値段はまだ何とも言えませんが、他の店と比べて同じ程度になるでしょうね」


少年はそれを聞いた途端にガックリとした。


「そうですか・・・貴族区画のお店では僕らには手が出ないかもしれないですね・・・」


あまりのガッカリ具合にアイス先輩にそっと聞いてみた。


「区画でそんなにも値段に差があるのですか?」


「ある。安くても三倍は違う」


あ、誰か言ってたな、そんな事。


「まあ、出来てもいない店の話です。そんなにガッカリしなくていいですよ」


と、ハンクさんが少年の肩をポンポンと叩く。が。


「ただ、出すとなったらやはりメニューについては参考にしたいので、皆さんには試食をお願いすることになるかもしれません」


食堂に充満していたガッカリ雰囲気が一瞬で払拭された。


お嬢が決定して(・・・・・・・)くれればですけど(・・・・・・・・)。 あ、林檎は本当に余ってたんだよ?」



・・・・・・ハンクさんの卑怯者ぉぉおっっ!



残った林檎煮は皆でつついて食べました・・・


ミシルはアップルパイも初めてだったようで、作った甲斐があったと感動する程の反応をしてくれた。

ウンウン。女の子とお菓子、いいね! 





***





「火を」


ぼっ!


「水」


チョロチョロ・・・


「風」


さわさわさわ~・・・


「土」


ボコンッ!


「はい。では皆さんもこのようになるように充分に想像して、小さく具現化できるようにして下さい。サレスティアさん、見本をありがとう、休憩してて下さい」


魔法科用鍛練場にてぼっち見学のサレスティアです。マークもルルーもそれぞれ授業に出てるので、絶賛暇です。

まあ、魔法を使えないお付きは実技には見学参加もできない決まりがあるので、今年の新入生のお付きに魔法使いがいない事から、どちらにしろぼっちになる運命だった私。


やっぱ最初の実技で鍛練場に畑を作ったのが不味かったのかな~。


どの程度の事ができるのか好きなようにやってみようって言うからさ、鍛練場をほとんど耕して水を撒いたんだよね~。先生が直してくれるって言うし、火の魔法とか派手系の技をやる子が多かったから、他ので派手にやろうと力が入ったんだよね~。

それで終わって振り返れば、皆真っ青で。・・・やっちまったね、うん。


土魔法って地味だけど、実は制御するのが難しいんだと。慣れないととにかく地面が揺れるそうだ。・・・揺れなかったな、うん。


逆に火魔法は初歩なんだそうだ。まあ、イメージはしやすいかも?


という訳で、実技初日に上級者の枠に入れられた私は、見本を披露して見学というぼっち授業になりました。ちなみに畑は先生たち総出ですぐに直りました。早っ!


あまりの暇さに体術の足裁きの練習をしたら、気が散るので大人しくしてくれということをやんわり言われたので、教科書を読むか、ルルーからの課題の刺繍をするか、領地の書類(王都屋敷の有効活用について)をチェックしています。

ちなみに本日は刺繍をしております。


《だいぶ上手くなったな》


「そう? 確かに指に針を刺す回数は減ったわね。バランスも良くなってきたかな?」


亀様キーホルダーを制服の胸ポケットに入れてます。ここが定位置だわね。


《最初は花か豆粒の集まりかも判らなかったが、バラだと判るぞ》


・・・うん、ありがと・・・そのバラも一番簡単なデフォルメされたデザインだけどね・・・

それくらいはできるようになったのよ!


そんな腕なのになぜ刺繍をしてるかというと、ミシルが興味を示したから。

一緒にしようと始めたはいいが、ミシルの器用さったらルルーが喜ぶほどだった。初日は私より下手だったのに、次の日には同じくらいで、もう今じゃ私の方は作品と言うのもおこがましくて並べられない!


だからとサボる事も恐ろしくて、自習時間(ぼっち授業)にせっせとやってるわけ。

練習用の生地なのでアチコチに刺繍がされている。下手くそなのに布一枚に刺繍一個なんてもったいない! 何だかカラフルになっていい感じ・・・と、自分を慰めている・・・


「淑女は一日にして成らず、ですよ」


はい!ルルー!


気を抜くと空耳が聞こえる・・・うぅ。


「うわっ!?」


誰かの大声に顔を上げれば、いつぞやのイヤミ坊っちゃんが火の出力を間違えたようだった。

出力調整って難しいよね~。畑の雑草取りが上手くできないもん。


他の生徒は火の大きさに動揺しているけど、先生たちは落ち着いて対処しているので私は何もしない。


「きゃあっ!?」


誰かの悲鳴にそちらを見れば、いつぞやのイヤミお嬢様が滝のような水を出している。

それもまた先生たちが対処してる。

どちらも直ぐに収まった。


《まあ、あれが普通なのだろうな》


「そうみたいね」


《アンドレイがドロードラングに来た頃の様だな》


「ああそうかも。懐かしいね~」


《サレスティアは、あれどころではなかったな・・・》


「そお? あ~、亀様が現れる前から畑を耕してたからね~。ちょっと慣れてたわね」


ちなみにひそひそ話です。下手をすると喋らずに終わってしまう時間なので、逆に喉に負担になるらしい。初回の自習授業の後に声が(かす)れたのにはびっくり。・・・黙っていることが負担とは、私の体はどうなっているのか・・・


お貴族子息たちが意外と制御できてないのは、お抱え魔法使いが教えないからではなく、どうせ学園に入って習うのだからと礼儀作法と領地経営を重点的に教えるらしい。

暴走しても魔法使いがいるから大事(おおごと)にならないんだとか。勉強と魔法とどっちもやってるんだと思ってたわ~。

そう言えばアンディもうちに来るようになってからの魔法制御だったっけ。

でもまあ今年の新入生の能力は大人しいらしい。

私とミシル以外は。


ミシルはまだ保健室にいる。

おにぎりに始まり、玉子焼き、プリン、スープ、温野菜サラダ、浅漬け、豚生姜焼き(小)、鶏の唐揚げ(小)、ハンバーグ(小)、餃子、肉まん、焼きたてパンにバター、サンドイッチ、フレンチトースト、雑穀粥、チーズリゾット、などなど。

色んな物(卵が多いけども)を少量ずつ回数を食べるようになって、なんとなく表情も豊かになってきた。


食べ物では浅漬けにハマったようだ。ミシルいわく「野菜の味のする漬け物!」だそうだ。漬け物なんて保存食だし、大抵はほぼ塩辛いだけだもんね。


「村では塩はたくさん取れたから保存するのに何でも漬けていたよ」


ミシルがちょっとずつ自分の話をしてくれるようになった。

ただ、まだ母親や魔物に関する事は言いよどむので我慢する。


担任が放課後に保健室でミシルに軽く授業をしてくれるので、勉強が遅れる事もない。私も復習のために一緒に聞いている。


結界も腕輪もちゃんと効いている。

誰の具合も悪くならない。


このまま平和に解決するといいな~。









お疲れさまでした。

前回の感想返信に、ミシルの事情に突っ込みますとしたのですが……チラッとも出来ず、すみませんでしたm(_ _)m

とりあえず4日目以上は進んだつもりです。

次はもう少し進めますように…


ではまた次回お会いできますように。


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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
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