24話 収穫祭です。
今回の文字数11,400です…
おまけに説明が多くなってしまったので、お暇な時にどうぞ…m(_ _)m
ついでに残酷描写もちょっとあります。苦手な方は、うまいこと飛ばし読みをお願いします。
ドロードラング収穫祭。
今年は結婚式を挙げるカップルがいなかったので「収穫祭」としてお客さんも含めての大宴会です!
何故かハーメルス団長が銅板をくれたので、それで鉄板焼用に平たく大きく作りました。六枚いけた!
銅は熱伝導率が高いので旨味成分を損なわないうちに早く美味しく炒められる。
いやあ、欲しがったんだよね~。料理班が。
・・・マミリス様が手配してくれたのかな?
何たって人数が増えたからね。いくら保存できるとはいえ、出来立てを食べさせたいと料理班はいつも頑張ってくれていた。初期からの班員は皆料理の腕があがり、学園長に一人寄越せと言われた程だ。行ってもいいよと言う人がいなかったのでこの話は流れました。頑張れ学園長。
そして私がやりたかった屋台! お祭りと言えば屋台! 本日!料理班協力のもと!屋台祭りとなりましたーっ!
火の調整が難しいと言うので黒魔法で火力自由自在のコンロを作りましたよ!
本日のメニュー!じゃじゃん!
まずは、牛ステーキ! 見た目が派手だから見てるだけで涎が出る! 銅板いっぱいに乗って焼かれる肉・・・初めて見た・・・天国だ!
串焼き用、ホットドッグ用の肉やソーセージも銅板で。大豚の小腸に詰め込んで作ってあるのよソーセージ。ハーブも色々入れたりして旨いと思う。皆が好きだし!
そして早く焼きあがるせいか噛んだ時の肉汁が凄い!その肉汁が染み込んだパンがまた旨い!
ホットドッグ新メニューに、塩コショウ多めの野菜炒めを挟んだ物。肉が少なくても野菜が美味しい!なんだコレ!? 子供たちも野菜が美味しいと大喜び! どんどん食べなさい! 野菜食べなさい!
そして焼きジャガ! 厚め切ったジャガ芋を銅板で両面焼き、こっちは軽く塩コショウ。仕上げにバター! 芋とバターの甘味としょっぱさが絶妙!! バターの代わりにチーズも正義!!
ホットデザートとしてクレープも焼きました!
ほんわり温かいクレープにバターと蜂蜜をちろりと乗せて半分にたたんでクルクルに。ちょっと垂れるけど、これもまた旨い!
恐るべし銅板メニュー! 太る物がとにかく美味しい!!
屋台祭りと言いながらもビュッフェ式のテーブルもあり、そっちの方には野菜中心のメニューが置いてある。胃もたれ起こしそうな人はこちらへどうぞ~。
汁物は定番のごった煮スープでーす。
あ!イモの代わりに南瓜の入ったシチューもあるよ! ブロッコリーと人参と彩り豊かなシチューだよ~!
デザートも別に専用テーブルを用意した。バンクス領の果物が大活躍! 保存庫のおかげで季節を無視したラインナップです! アップルパイとかスイートポテトとか腹にたまる物もあるけど、食べるのを止められない! そして苺うめぇ! 葡萄うめぇ! 桃うめぇ!
そしてデザートテーブルにドンと置かれているのがウェディングケーキ。うちの結婚式には定番ですよと見本に出した。大きなケーキを初めて見る人は精巧な飾り付けに食べられるの?と聞いてくる。白いのは全部クリームなので食べられまっせ。隣に小分けされたケーキがあるので、こうして皆で食べますと教える。
女性たちは必ず「切るのがもったいない」とため息とともに言い、男性は「見るだけでいい」とげんなりして言う。面白い。
屋台定番の使い捨てアイテムは無いので、皿とフォークを使い回してもらいます。気になる人は洗いますよー。串焼きの串は今回はダルトリー領産の竹です。
「銅板て凄いね。こんなに早く焼けるなんて知らなかった」
クレープの焼ける様子をアンディがキラキラと見ている。
本日のゲストとして、アンディ、レシィ、ラトルジン侯爵夫妻、学園長に騎士団長夫人マミリス様をご招待。
学園長とマミリス様はあまりの騒がしさに呆気にとられている。マミリス様のお付き方は顔色が悪い。すみません、今日は特別なんですー。
あ、本日はこのリボンを見える所に身に着けて下さいね。コレを見せないと食べ放題になりませんのでー。
レシィは「結婚式しないんだ~」と残念そう。
だったけど、デザートのテーブルを見てご機嫌に。可愛いな~。
《レシィ!今日は、我が、えすこーとするぞ!》
とてとてとコトラと子供たちがレシィを囲む。皆で猫耳と尻尾を着けているので何かのイベントのようだ。
子猫に囲まれる美少女・・・私とメルクがアイコンタクトを交わす。よし!癒しの絵が増える!
可愛いわ~と、マミリス様の声がした。
そうなんです~! サリオンも楽しんでるといいな~。
お昼から始めた収穫祭も夕方になる頃に落ち着いてきた。お腹をさすっているお客さんが多い。美味しかったか、よしよし。
今動いているのはうちのスタッフと、食欲に勝ったお客さん。うん、食欲に勝ったお客さんはほぼ女性。侯爵と学園長は食べ過ぎたとぐったりしてる。
侯爵夫人とマミリス様は、食べ過ぎたと言っても食後のお茶を飲む余裕がある。お付きの人たちも。流石です。
アンディとレシィは子供たちと一緒の席にいる。私の隣だけど。
さて、そろそろお客さんにはお部屋に移動してもらおうかな。
空の青がくすんできた頃。
屋敷から程近い保管庫が、爆発した。
黒い煙ののぼる方を見てると今度は後ろから、ホテルの裏手が爆発。
また保管庫。そしてホテル裏と爆発が続く。
何事かと騒ぎ出すお客さんに避難路を確認するので動かずにいて下さいと声を張り上げる。少しでも安心してもらうため、シロウとクロウに通常サイズで現れてもらう。
現れた瞬間に子供たちの悲鳴が収まったので、大人たちも少し余裕ができたようだ。
うちの何人かが保管庫とホテルに向かって行く。保管庫もホテルの一階の調理場も、どちらも料理班が担当なのでコック服を着た人が走って行く。げ、戦闘班じゃないじゃん!
「危ないから! ちょっと待って!」
そう叫びながらテーブルに上がった私に影が差した。
そちらを振り返ると、剣を振りかざした、王都の宿で会った時よりもずっと醜悪な顔をしたアンディのクソ従者がいた。
「死ね」
言葉と共に剣を躊躇い無く振り下ろす。
あー・・・




