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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
11才です。
72/191

続続22話 再度、まさかのお客です。<油断>



そしてここでも揃って口を開ける。


《お初にお目にかかる》


亀様です。


「・・・こちらこそ。いつもうちの者が迷惑を・・・」


おお、宰相早い。


《構わんよ。誰かが訪れるのを我も楽しみにしているからな》


「痛み入る」


「・・・これは~、勝てんなぁ・・・いでっ!?」


「頼むから試すなよ!」


「殴らんでもいいだろうが!」


「殴らんと話を聞かんだろう!」


・・・仲良し。


《面白い》




お昼はホテルで食べたのだけど、団長の食べ方が酷くて急遽屋敷へ移動。他のお客の分が無くなる!! 

そして屋敷で育ち盛りの子たちとフードファイトが始まった。


「本当にスマン・・・」


遠い目をした宰相を誰が責めようか。

勝負はもちろん料理班の勝ち!!

腹パツでも握手を交わす団長と子供たち。

ええ、団長には食事代ガッチリもらいますからね!



三十分の休憩で復活した団長と宰相を今度は遊園地へご案内~。二人に気付いたお客は挨拶に来たが、まあ、一応プライベートということで、軽い対応で済まさせてもらう。

二人は視察も兼ねてるけど、向こうは遊びだからね。


遊具は楽しんでもらえたよう。良かった。


「とらんぽりんか、なるほど、これは、体幹を、鍛えるのに、良いな!」


「ち、ちょっ! 待て、落ち着け、うわっ!」


がっはっは!どうしたガリ勉!立つことも出来んのか!

喧しいわ!おっと、このっ!うわっ、脳筋っ!!


・・・・・・仲良し。



『お嬢!ザイツです!』


「どうした!」


成人し新たに狩猟班に所属したうちの一人、ザイツからの通信が入った。


『北の見回り中、大イノシシを三頭見つけました! 畑との境界と平行に移動してるので、このままだとバンクス領に入るかもしれません!』


「仕留められる?」


『すみません!追いかけるのに精一杯です!』


「わかった!今行く!」


私の返事と共に北の森から狼煙が上がる。ロケット花火仕様なので、狼煙と言ってもとても小さい。場所確認!


「シロウ!」


《二人は任せろ》


「よろしく! お嬢より!クラウス!」


突然に現れたシロウに驚く二人をそのままに、ポシェットからスケボーを取り出し最大出力で向かう。


『狼煙確認しました』


「大イノシシ三頭! 私が行くから(あと)を!」


『了解』


森に近づくにつれ震動が見えてくる。木が揺れて、ドドドドという音も聞こえてきた。

ザイツ発見! ビノとユジーさんも枝から枝へ飛び移りながら追い掛けている。


「ユジーさん!」


「お嬢! すんません! 脚の早い奴らで射る事ができませんでした!」


「見失わないでくれて助かった! 怪我は?」


「ありません!」


「この先に壁を出すから、とどめをお願い!」


「「「 了解! 」」」


森の中では大イノシシを網で捕まえるのは難しい。ので、土壁を出す!

勢いを殺す為に頑丈なヤツを、おおぉぉぉ、おりゃああ!!


ドガアアアアンン!!!



イノシシたちは急に現れた土壁に激突したようだ。

ものすごい土煙が上がる。視界が効かないが静かだ。うーん、土壁はイマイチか。


『お嬢。ユジーです。風上にまわりました。三頭共伸びてます。このまま射ますが、仕留めたのを確認するまでそこにいて下さいよ』


はい!


『お嬢様?』


「クラウス。こっちはとりあえず仕留めてるとこ。確認中。怪我無し。そっちは?」


『問題無しですが、お客様の誘導に少し手こずりました』


「仕方無いっちゃないのよね~。誰か怪我した?」


『お客様が何人か。擦り傷程度です。手当て中です』


「わかった。戻ったらお詫びに行くわ」


『了解しました』


クラウスとの通信が終わると、屋敷の方からホバー荷車を引いたルイスさんたちが来た。買い出し担当だったルイスさんは計算に強いとこを見込まれ、今はクラウスの補佐の一人になっている。


「お疲れさまでーす。現物見れば怪我したお客も避難に納得するかと思いまして」


なるほど!


「との、宰相様の言葉です」


ルイスさんの後ろというか荷車に、宰相と団長が乗っていた。

あらまあ。


「すみません、お見苦しい所をお見せしました。お怪我は?」


「無い無い。それにしても迅速だったな。獲物は?」


ひらりと荷車から飛び降りた団長が呆れたように森の手前まで近づく。


と、


うわっ、と森の奥から聞こえた。


瞬間、


大イノシシが一頭飛び出した。


団長の目の前に。


団長は剣に手をかけ、抜こうとした。

ルイスさんは短剣を投げた。

私は壁を。


が、


間に合わない。



団長が居合い抜きのように構えた所で。

牙が団長の頭部を捕らえる。


その様子は、とても、ゆっくりと、見えた。



ピギュ。



何かが潰れたように聞こえ、


大イノシシが消えた。


何も無い空間を短剣が飛んでいく。

短剣が過ぎた瞬間に風の壁ができた。



団長は、構えたままだ。

私からは団長の後ろ姿は五体満足に見える。 


ふと、団長が左を向いた。


そこには、ぐったりした大イノシシを咥えたシロウがいた。


私と目が合うと、ぺぃっと大イノシシを放り、耳と尻尾をペタリとしてお座りをした。


《油断した・・・怪我は?》



~~っ、しぃぃろぉおおぅぅぉおお~~っっ!!!



団長と宰相以外、皆でシロウに飛び付いた。




その後は皆で二人に土下座。

今日、北の担当長のユジーさんはさっきから真っ青な顔で謝罪を繰り返している。まあ、皆だけども。

団長の頬のかすり傷は即、治癒しました。


「いやいや流石に死んだと思ったわ~! シロウか、助かった」


《いや。貴公らの守りを任されたのは我だ。怪我を負わせてしまった。済まない》


「誰も間に合わなかった所をかすり傷で済んだのだ。シロウ、私からも礼を言う。ヒューゴーを助けてくれてありがとう。皆も、謝罪はいい。よくよく考えれば安全確認が終わってない現場でホイホイ近づいたヒューゴーが悪いのだ。団長だと持て囃されて驕りがあったといういい証拠だ」


「くっ。相変わらずグジグジとうるさいな」


「やらかして直ぐに言わねば覚えんだろうが!」


「説教ジジイ・・・」


「はあっ!? 戦場でもないこんな長閑な領地で死ぬ所だったんだぞ! 俺は姉上になんと言えばいいのだ! 俺の命も無くなるわ!!」


「はぅあっ!? そうだったーーっ!! チェスター!頼む!俺が悪かった!だからどうかマミリスには黙っててくれ!!」


「ああ、黙っててやる!いいか!今回のコレはお前が悪い!なのに、土下座してるのはドロードラングだ! いい加減にそういう事も覚えろ!」


「俺が悪かった! 傷も治してもらったし、皆もう土下座は止めてくれ! そして、どうか、この事は内緒にしてくれ!!」


団長と私らと土下座をし合う状況に。何だこれ。


「そうしてくれると私も助かるんだドロードラング伯。安全管理の見直しはあるだろうが、ヒューゴーが危機に陥った事はなるべく領外に出ないように、まあ、この面子だけにしてくれると助かるが、まあ、なるべくな。・・・こいつ、恐妻家でな・・・私の実の姉なんだが・・・戦場以外で死ぬ時は老衰しか認めんと常々言っていてだな、擦り傷を作るだけでもタコ殴りにされるのだ・・・」


擦り傷が重傷に!? うん!恐い!お姉さん恐いね!

心底困った様に宰相が言うので、そろそろと頭を上げた。


「しかし、どうお詫びをしたらよろしいでしょう?」


「いや詫びも要らんよ。下手に勘繰られてボロが出る。ヒューゴーがな」


「お嬢、ジャーキーはいかがですか?」


ルイスさんがそっと言う。


「あ! イノシシで作った塩漬け干し肉なのですが、やっと試作品が出来上がったんです。お酒のおともにいかがですか? えーと、今度商品化するための味見をお願いしたということで、お持ち下さい。うちの酒呑みには好評です」


「うむ。それでお互い手を打とう」


「マミリスも酒は好きだからな。土産があると助かる」


「ん~、女性は好き嫌いが分かれますよ? 獣臭さが少しありますので」


構わん構わんと団長が立ち上がったので、私らも起き上がる。

大イノシシを荷車に乗せ屋敷の方に戻ると、二頭の大イノシシがこと切れて重なっていた。

その脇にはクロウがいた。


《騎馬の里の方にも出た》



くぅろおおぉぅぅおおう!!!








お疲れさまでした。

せっかく、宰相が登場したのに、何も無いまま文字数を稼いでしまいました…悪い癖です…楽しかったのです…漏れてますね(笑)


11才、まだ続きます。

また次回お会いできますように。



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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
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