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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
11才です。
68/191

21話 雪祭りです。


年が明けると一面の銀世界でした。

いや、昨日から降りだしてはいたけれど。


『おはようございます。本日は休日ですが、予想通りの積雪量の為、雪かきをします。朝食を済ませた成人男性は速やかに準備を整え集合して下さい。繰り返します・・・』


クラウスの声が領地に響く。

前以て打ち合わせはしてあるので、人数が揃い次第雪かきは開始される。今日は晴れてはいないけど、また降りださない内に作業をすることに。


まずは建物の雪降ろしと大通りの雪かき。

おお、スゴい量。これならきっとかまくらを作っても余裕だな。


かまくらを作る場所に雪を運んでもらい、小山になった雪を、縦三十、横四十、高さ三十センチくらいの木箱に詰めて、はい、子供たちを投入。それぞれの木箱の雪を踏み固めてもらう事になっている。が。・・・足が小さくて全然行程が進まない・・・可愛い!


《わははっ!たのしい!》


コトラが尻尾を揺らしながら、他の子と手を繋いで足踏みしている。

皆外套やらマフラーやら帽子やらでモコモコしてるのに、一所懸命足踏みをする。

フミフミフミフミフミフミ・・・・・・ああああ!可愛い~!!



私が領地に来て二度目のドカ雪。前回は6才の時。食料だけがどうにかなった時だったので、魔法をフルに使って屋敷周辺の雪を綺麗に溶かした。

防寒着なんてまだ無かったけど、体力作りの為に雪合戦を短時間設定で決行。その後の風呂が気持ちいいと好評でした。


それからは毎年の恒例行事。雪合戦、お風呂の後は、蜂蜜クレープを作って食べる。作るのは私と有志。料理班も年始のお休みだからね。ハラハラしながら見てるのが可笑しい。

簡単な調理だから子供たちにもさせてみる。ちょっとの火傷なんてチムリさんの薬ですぐに治る。まあ、痛そうだけれど。

しゃーないね。火傷はそういうものなのよ。


フライパンは鉄製しか無いので子供用サイズを作ってもらった。軽い!親方ありがとう!

クレープは大サイズと小サイズが一枚ずつ。おかわりは待ってて!



で。

今年は人力でどれほど雪かきができるかの検証をする事に。約五年に一度の頻度でドカ雪って、結構頻繁じゃない? これから連続で降らない保証も無いので、とりあえずやってみよう。

元スラム、元盗賊と、結構な人数の大人がいるけどどのくらいで終わるかな?


義手義足は魔法を使っているせいか寒くても動かすのにはあまり影響が無さそうだ。触ると冷たいけど、表面の主な部分は木製だからか、関節の鉄部分も肌が張り付いて取れないという事は無い。凍傷にならないのはこれも黒魔法のおかげかなと思う。

これについては学園長にレポートを提出している。例の自室書庫を引っ掻きまわして検証してくれてるらしい。


「魔法陣は書けて理屈が無いとはどういう事だ!?」


そう笑いながら文句を言ってくる。


すみませんフワッとした魔法陣の作り方で。理屈も勉強してるんですよ。でも作るときはフワッと出来ちゃうんで・・・


義手義足は機械ではない。正しくは手足の模型だ。それを、黒魔法で神経が通ったような動きができる物にする。

神経の繋ぎ方なんて知らないから理屈が無いって言われるのだけど、知らないから説明出来ない。でも動く。家電か。


今、領民のほとんどが着けているイヤーカフ通信機も、他の魔法使いでも作れるように、魔法陣の解析を学園長に頼んだ。

魔力の量がおかしいと言われたから、一般魔法使いでも作れるように魔力量を絞った魔法陣を作って欲しいと。

アンディたちの他にも私が作ってもいいけど、その子孫代々ずっとアイテムとして持つかはあやしい。


遊具は基本はカラクリです。動力と安全ベルトが魔力。魔力玉という魔力を集約させた物、いわゆる電池方式で遊具は動いている。一応充電?可。丸一日寝込むけど、オープン以来まだ魔力の補充はしていないし、まだまだしなくてよさそう。

亀様の助力もあるので、こちらは亀様が飽きるまで。半永久動力確保!


なーんて。

だからっていつまでも頼ってばかりはいけないので、親方たちとカラクリだけで動かせないか、せめて魔力の少量化を日々考えては模型で実験している。元子爵バーナードさんにも見てもらったり、バンクス、カーディフ、ダルトリー各領から、カラクリ好きに出張してもらったり。


これはなかなか長くかかりそう。ジェットコースターなんて、ここにしか無いもんね~。

私が生きてる内には解決したいな~。



さて、子供たちにはかまくら用ブロック作りを任せて、お母さんたちにはそのブロックの積み上げをお願いする。

男連中はまだまだ雪かきだ。


私はというと、雪像作りのため雪山に魔法で水撒き中です。

最初は雪だるまの大きさ競争だったのだけど、雪まつりって言ったら雪像もいいわね~、と呟いたら皆が食いついた。

どうせ休み中はまったりしているだけなので、作ってみようと。


メルクの絵を雪像に、なんて高等技術は初心者には無理だろと思いつつ、作ってみたい人らを募ったらほとんどが参加・・・

大通り脇に何個か雪山を作り、雪かき終了次第、好きな雪山を選ぶ事に。


私も作った事はないからどれだけかかるか心配だけど、まあ、とりあえずやってみよう!

失敗しても筋肉痛だけだしね!

北国の雪まつりに比べればはるかに小さい物なので、一週間で何となくできないかな?

あんまり長くかかっても休みが無くなっちゃう。それじゃあ本末転倒!


とりあえず、水撒きが終わったらかまくらの手伝いだな。


「どんな風になるのか楽しみです」


今日は私に付いてるルルーが雪山を見てニコニコしてる。


「でっかい雪だるまだらけになっても楽しいね~」


彫刻家がいれば、初めてでも巧いこと出来るかもしれないけど、素人しかいないからね。でっかい雪だるまでもまあ、良しでしょう。

巨大雪だるま群を想像したのか、ルルーが声に出して笑う。


「マークたちは亀様を造るって言ってましたけど・・・、ふふっ、雪だるまかもしれませんね」


二人で笑った。





「おー! 想像してたより大きい!」


雪かきを始めて一週間で何とか形になったので、仕事が始まる前にとアンディたちにお披露目です。

アンディも初めてらしく、レシィと共に楽しみ半分、雪像が倒れたらどうしようのドキドキ半分てトコかな。


「何でもやるのぉ・・・」


侯爵は楽しみ半分、呆れ半分かな。

夫人はただただニコニコだ。お付きの人たちもにこやかだ。ほっ。


「俺の像もあるのだろうな!」


「あるわけないじゃないですか」


あ、なで肩になった。


「お父様の像なんて、飾りがたくさんあるのですから、造るとなると大変ですよ。仕方ありません」


エリザベス姫のフォローで国王が持ち直した。


そう!今回は姫にも来てもらいました!

アンディや侯爵には雪像造りを始めてから教えていたけど、国王には言ってなかった。

だって国王だからね、忙しいと思ったのよ。なんだかんだと。


で。アンディを迎えに行ったら国王も部屋に来ていて、昼までということで急遽参加。やっぱりたまたま来たエリザベス姫も誘ったら、国王と戻る事を条件に参加。お出掛けルックに着替えるというのを外套だけで!と押しきって連れて来ました。

・・・さすが姫。


「寒くないですか?」


「楽しみであまり寒さを感じません!」


ありがとうございます!

今日はタイミング良く快晴だけど、冬の快晴なんて寒いからね。姫用おしゃれ外套から、ドロードラング仕様のもこもこ外套に着替えてもらった。・・・どんな服でも着こなすな~美人は。

ちゃっちゃと見ていきましょう!


もったいぶって雪像には大きな布が掛けてある。作業中の日除けと目隠しも兼ねていたので、誰がどの雪山を担当したかは知っているけど、何を造っていたかはわからない。

私も楽しみなんだ~。


担当した人物が布を引く。

まずはメルクと騎馬の民と土木班。一番安心感のあるチーム。このチームだけ雪山を二つ使用。


現れた像はシロウとクロウ。大通りを挟んで向かい合っている。


カッッコイイ~~!!

毛並みの再現に努力の跡が!フワフワっぽい! 色もどっちも白だけど、似てる!わかる!格好イイ!

阿吽の像みたい!


私たちの惜しみない拍手に恐縮するチーム。凄いよホント!

一週間で二体とか、とんでもないな!

場所を取るからと自主的に柴犬サイズになったシロウとクロウは、コトラの両脇で尻尾をブンブンと振っている。

・・・喜んでる・・・可愛い・・・!

コトラは二匹をいいな~いいな~と言いながらグリグリ撫でている。

・・・可愛い・・・!!



続いてはネリアさん細工班とチムリさん薬草班合同のチーム。

布を取ると、花畑が現れた。

冬の向日葵。


凄い!向日葵の群生風景!

こちらも歓声と拍手!

もったいない!溶けちゃうなんてもったいない!


狩猟班製作、うちの主食肉の大豚&主要木材のトレントというモンスターコンビ。見てすぐわかる。器用だな~。


鍛冶班製作、ジェットコースター全体像! 再現率高っ! 細かい!


子供たちが造ったのは雪だるま群。私とアンディ、レシィに侯爵夫妻。亀様、シロウ、クロウ、コトラ、サリオン。大蜘蛛。

一所懸命にどの雪だるまが誰かを説明する子供たち。

ほのぼの別空間だよ。

俺がいない、とどこかのオヤジがまたなで肩になった。


服飾班と元スラム住人で、テーブルに乗った数々の料理! あ、鳥の丸焼きがある! 今度豚でやろうかな~。テーブルクロスのなびく(さま)が本物みたい。


マーク率いる少年格闘チームは亀様の雪像。ちゃんと亀様に見える!・・・亀様も嬉しそう。ふふ。


格闘女子部のウェディングドレス。オリジナルデザインらしい。おお素敵~。年齢が若いとデザインも可愛らしいな~。


最後に、ニックさん率いる元盗賊チーム。

布を取って現れたのは、際どい所を布で隠した横たわった裸婦像でした・・・

デッサンがむちゃくちゃで、バランスが悪すぎるのだが、とにかく胸とお尻がデカい! 土偶か! 顔なんてピ〇ソか謝れコラ!?っていう様な凹凸無しの落書き。


「ひどい!!もっと芸術を期待してたのに!!」


「何を!? 馬ッ鹿お嬢! 覚えとけお嬢! この尻の!ここら辺の滑らかさが男のロマンという芸術だ!!」


ニックさんの言葉に製作した男達が力強く頷く。


「・・・嫁嫁と、嫁一筋(よめひとすじ)と思いきや、何がロマンだーっ!」


「それはそれ! これはこれだ!!」


ぶちギレそうになったところで国王の馬鹿笑いが響く。


「ぶわっはっはっは! ロ、ロマン・・・! わっはっはっはっは! イイではないかお嬢。ひっひっ、一つくらい、こうした物も芸術だぞ」


他作品との落差がひどくてショック倍増だよ!

国王のお墨付き~!なんてハイタッチで喜んでるし・・・。何だって屋敷に一番近い所で造るかな~。


「こういう体の女の人がいるの?」


と子供の一人がニックさんに話しかける。ニックさんはその子と目線を合わせるためにしゃがみ、にこやかに言った。


「いない。だから、ロマンだ!」


野郎どもはイイ顔で胸を張るが、こっち側は苦笑いだよ!


「あ!いる!」


ニックさんに質問したのとは別の子が叫ぶ。


「ケリーおばさん!」


洗濯専属のケリーおばさんは、ふくよかなので胸もお尻もドンと大きいが、お腹も大きい。あぁなるほど、と皆がそこにいたケリーさんを見て納得しかけたら、男連中の悲壮な悲鳴が響いた。


「「「 絶対違ーーう!! 」」」


「ちょっと、絶対ってどういうことだい?」


「あっはっは! 男なんて結局は母親が恋しいのさ」


「男なんて、仕様がないねぇ」


ケリーさん率いる洗濯班のオバチャンたちが、生ぬるい目で野郎どもを見やる。


「「「 ヤメローーッ!! 男のロマンは、若いオネーチャン限定だーーっ!! 」」」


絶叫が響き、爆笑が被さる。

そんな中、エリザベス姫がじっと裸婦像を見て、


「男のロマン・・・私、あんな風になれるかしら・・・?」


エリザベス姫!? 何でなろうとしてんのーっ!!?


早く溶けてしまえぃ!!




その後はかまくらで火鉢を囲みながらイモ餅を焼いて食べた。調理済みの物を火鉢で炙って温めてから食べました。表面に醤油を塗りたかったけど、まだ入手できていないので、餅の中にチーズを入れてのほんのり塩味。旨かった!


かまくらの規模が小さいのでゆっくりはしなかったけど、好評でした。


「こんなに暖かいのに、溶けないんだね?」


「もちろん長くは持たないよ。今回はアンディたちに見せるのに魔法で維持してあるから頑丈なだけよ~」


それからは、魔法で造った雪の滑り台(土手の様な一度にたくさんの人数で滑れるもの)でそりを使って遊びまくり。

滑り台初体験のエリザベス姫は、最初はおっかなびっくりしてたけど、三回目には笑ってた。なんとチビッコたちと二人乗りでもやってくれた。良かったー。

来年は長い滑り台に挑戦しようかな?


「来年の冬は私も雪像造りに来てもいい?」


「レシィが忙しくなければいいよ」


「年始の行事などレリィスアはまだ一日で終わるからな。来年はいいんじゃないか?」


「お父様!ありがとう!」


「いいなレシィは。僕は今年から学園に入るから、休みを合わせられるかな?」


「そうね、課題がどの程度出るかによるわね。私も雪像造りに参加してみたいわ」


「儂は寒いから見るだけがいい」


「あら、私はやってみたいですわ」


「わあ!皆でいらっしゃいます? 楽しそう! あぁでも、休み中のご飯は私が作るので、好き嫌いできませんよー」


「え、お嬢が作るの?」


「お料理もするの!?」


「何でもできるのね・・・」


「・・・食えるのか!?」


食えるわ! 誰も腹も下さんわ! 料理班がストックした物もあるわ! ちなみに今日食べるの昼食も私が作ったものですよー。我が領定番のごった煮スープでーす。












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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
― 新着の感想 ―
[良い点] 作品の設定・筋書きは、読みやすい軽さ。領地経営&魔法無双物。罪人に対する対処は好き好みありそう。 [気になる点] けれど、文章の説明が足りなかったり、表現がわかりにくく、何度も文面を追い直…
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