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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
10才です。
57/191

18話 飴とムチ?です。

大人が幼児を殴るシーンがあります。苦手な方はうまいこと飛ばし読みをお願いします。


ドロードラングランドのオープンから一月(ひとつき)


そこそこの数のお客さんに恵まれて、こちらも接客に慣れ、トラブルも少なくなってきた。


トラブルと言っても、庶民と一緒に遊具を使うのは嫌だ、何故我らが並んで待つのだ、銀の食器でなければ食べない等々。


うふふ。


文句付けた全員、逆バンジーに空中輸送してやりましたわ。おほほ~。


遊具を無料(ただ)で使えるサービスですぅ!

相も変わらず領民に戦慄される笑顔でご案内~。


ええ、無料サービスを何度か受けられた皆様は、それからは周りの方々にも気を使われてつつがなくお帰りになられました~。


またのお越しをお待ちしております~♡



「・・・お嬢、顔恐い」



うっさい、マーク!





***





「よお! 何だか滅茶苦茶やってるってな?」


朝っぱらから国王が来た。屋敷の執務室に。


「いらっしゃいませ~、ご宿泊ですか?とんぼ帰りですか?」


「はっはっは! 相変わらずの無礼さだな! 今日は昼までのとんぼ帰りだ、くそ。ん?おお!バンクス子爵。おっと、もう引退したのだったな。息災で何よりだ」


班のリーダーを招集した朝会議に集まっていた面々が立ち上がり、国王に礼をとる。

元バンクス子爵バーナードさんも綺麗に礼をする。


「国王におかれましては、」


「よいよい、俺は今日は遊びに来た(ただ)の貴族だ。ここではあまりに庶民を蔑ろにするとお仕置きされるという噂を聞いたからな、大人しくせねばならん。国王など唯の職業だと言い放った娘だから俺にも容赦などない」


バーナードさんがビシリと固まり、ギギギギギと私を見る。


にこり。うふ。


「とんでもないお子だと思っておりましたが、まさかここまでとは・・・」


「まあ、一人くらいは許す。それだけの子供ではある」


王がにやりとすると、バーナードさんは恭しく下がった。


「ずいぶんと早くにいらっしゃいましたね?」


現在朝8時。王が城を空けるには早くない?


「ああ、学園長に無理矢理付いてくる為に朝の会議は無しにした。昨日も平和なものだったし、今日も特に大事な用は無い。机仕事だけだ」


自由か!


「あの爺、ずっと自身一人分しか転移出来んと謀っていやがったから嫌がらせをしてやったのだ」


・・・何やってんだ・・・てか、やっぱり学園長は転移できるんじゃん。


「学園長の転移は何人まで可能なのですか? そして嫌がらせって、どんなものをやらかしたんです?」


「やはり詳しくは教えないが二人は余裕のようだな。嫌がらせは、学園長の個人書庫の本を二冊ずつ向かいの棚の本と入れ換え続けた」


ショボい! そして地味に悪どい!!


「・・・わぁ。それでその可哀想なご老体はどちらに?」


「亀様の所だ。やはり本体に会うのが良いらしい」


へ~。会えば何か閃くものでもあるのかな? 学園長は私が会ってないだけで、二週に一回は来てるらしいからな~。


「あ! 素晴らしい絵を描く者がいるそうだな! 遊具を動かす時間までその絵を見せてくれ」


クラウスが絵の保管室(物置ともいう)に王を案内する間に朝会議を続け、解散と宣言した途端に王の馬鹿笑いが響いた。


・・・くぅっ!




***




『お嬢! やられた!』


ダンから珍しく通信が入った。


「どした?」


何だか焦っているようだけど、最近平和なものだから私は気の抜けた返事をした。ら。


小虎(ことら)隊のロイが(さら)われた!』


・・・はあああっ!?


「何で!?」


『ガットとライリーがロイを抱えて走って行くのを、どうしたのかと追いかけたら殴られた!』


はあああっ!?


『すぐに助けられなくてごめん! 今から追いかける! 奴らは東に向かったんだ!』


はっ! ダンも殴られたんだった!


「ダン! 今行く! あんた動いて大丈夫!?」


『痛いのは顔だけだから走れる! でも俺いまスケボーが無いから、お嬢!ロイをお願い!』


わかった!と言いながらダンがどこにいるかを探る。イヤーカフ通信機を身に着けていれば私にはわかる。何たって私の血だ。




今は夕方。

遊園地をそろそろ閉園させる時間で、遊園地スタッフは片付けをし、ホテルスタッフは食事の準備や部屋に戻るお客の誘導を開始する。

屋敷は屋敷で、仕事を終えて帰ってくる者を迎える準備が始まる時間。


私は大抵この時間は執務室に居る。

何かあった時に、どこかを見回ってウロウロしているよりも動き出し易いのに気付いてからはずっとここ。


『お嬢、すみません・・・』


バジアルさんからも通信。


「どした!」


『厩舎からうちの馬が二頭消えていますんで、これから探します』


やられた!と思った。


バジアルさんが「うちの馬」と言ったなら、たくさんいる騎馬の民の馬だ。騎馬の民は馬を選ばない。個人で所有しない。相性はあるけれど、馬は皆で共有する。だから騎馬の民の馬はその勇敢さのわりに人懐っこい。

そして厩舎の造りもわりと雑だ。


「バジアルさん! それたぶん盗まれてる! 今、ガットとライリーが東に逃げたのをダンが追ってる!」


『はああ!? じゃ俺も今から東に向かいます!』


「待って私が行くから、騎馬の里の厩舎の見張りと周辺の警戒をお願い! こっちのはクラウスとニックさんに任せる!」


『了解です! ついでに客用厩舎も見ます!』


「頼んだ!」


そばにいたクラウスにも目で指示し、執務室のバルコニーに出てシロウとクロウを呼び出す。


「シロウは二頭の馬を追って。私はロイを辿る。クロウは領地の警備に。他にも何かやらかす奴がいたら押さえて」


《《 承知 》》


二頭がゆらりと消えたあとにロイの位置を掴んだ。そのだいぶ手前にダンがいる。

私はスケボーに乗り、バルコニーを越えた。





道路整備の際に王からスラムと賊は好きにしていいと言われていたので、スラムの住人は引き取った。

盗賊団も三つ、四つをしょっぴいて、懸賞金と共に下っ端をうちに引き取る。(かしら)と幹部の数だけで牢から溢れると言われたから、じゃあ入りきらないのはうちでもらうと連れてきた。


スラムも盗賊団も王都に近い領地にあり、王都に近づくにつれ規模が大きくなった。


マークのスラムは子供ばかりだったけど、一般的なスラムは年寄りが多い。それから、片手片足が無い人がざらにいた。

子供が少ないのは売りに出すからだそうだ。女の子は次の子を産むために何人か残しておくとか。


今度はニックさんに羽交い締めにされた。

スラムの住人は、食事で釣った。


賊は魔法で潰した。

道路整備はわりと気を使う。集中力がいる。

慎重に進めている所をギャーギャーと飛びかかってくる。

私に付き添っている土木班がそれらを叩きのめした。木剣やら金槌やら鶴嘴(つるはし)やらスコップやら、手に馴染んだ武器を鮮やかに使う。


が、後から後からわいてくる。

集中&他がぶちギレた私は、対大イノシシ複数用魔法網をぶん回した。賊たちの悲鳴の他にも途中でキラキラしたものが網から飛び出たので、私たちから離して更にぶん回した。


もちろんその様子をその領地の当主たちは見ている。

自分たちでは手こずり、酷い領地では放置されていた賊を、私たちは苦もなく捕まえる。


懸賞金は王都に請求出来るので、手を組んだ事にして山分けにします?と青い顔色をした当主に聞くと、どうぞ全てお持ちくださいと言われた。

あざーす!

あ、アジトにあった盗品は持ち主に返してもらうように、にっこりとお願いした。


「・・・悪魔の微笑み・・・」


誰だ!今言ったの!








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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
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