続続16話 始動です。<謁見の間>
謁見の間。
断罪の日から約半年。事後処理の為色々と保留にされていた事のお達しがあると王宮に呼び出された。
なので、私の他にもたくさんの貴族がいる。おじさんやおにいさんばかりなので少女の私は悪目立ちである。同じ年頃の少年すらいない。まあそうだよね~。
なるべく目立たないようにと、深い緑色のワンピースを仕立ててもらったけど・・・うん、紅一点てあまり嬉しくないわ~。
とりあえず家格順に並んでいるので、端っこにいられるのは助かった。
陛下入室の言葉に全員が礼をとる。
「皆、面を上げよ」
前の人の背中しか見えない・・・王は椅子に座っているのだろうけど・・・
「此度の件、長々と待たせた。処遇が決まったのでこのまま言い渡す」
普通こういうのを話すのは王本人ではないはずなんだけどな~。ここら辺、あの人軽いよね~。
主犯のキルファール伯爵家はお取り潰し。領地没収。
他の貴族は関わっていたのが当主やその長男だったが、他の家人が捜査に協力的だったとして、次男等、相続させる人物がいれば家格もそのままで良しとの事。
但し、捜査には協力的だったが、手が入るまで何もしていなかった罰として、資産の三分の一を没収。分割払い可。又は一段降格。
まあ、大量に貴族が減ったって管理が大変になるだけだし、据え置きが楽だよね。何年かは問題を起こさず大人しく治めてくれるだろうと、うちの会議でもそう予想された。
パラパラと音がするのでメモか書類を見ながら、一人ずつ伝えているのだろう。いくつか女当主になる家もあった。ここにいる人は親戚なのかな。だって女の人いないもん。その時にざわりとしたけど、まあ、王の言葉だし特に反論は無い。
しかし・・・資産の三分の一か~、えげつな!
うちの場合は作物で納めていいだろうか? 動かせる資産なんて今はそれくらいしか無い。没収分は分割払いでもいいって事だけど、家格が一個下がるのとどちらがいいんだろ? うちは一つ下がったら庶民なので亀様たちを守るのには心許ない。しがみついてでも領地は確保しなきゃ。
「ドロードラング男爵」
あれ!もう?
「はい!」
ちょっと上ずった声が恥ずかしい! 失敗した~!
「・・・何処だ? 見えんな」
王の言葉にこの野郎と思いつつ手を挙げようとしたら、王まで一直線の隙間が出来た。
おお!・・・すみません!チビで!
「おおそこか。皆も覚えておくがいい。今回の捕り物の最功労者はそこにいる、サレスティア・ドロードラングだ」
今度は謁見の間がざわついた。
「親元を離れ領地に戻った折りに領地の現状に目が覚めたそうだ。皆も知っているとは思うが、近年ドロードラング領は我が国で一番の貧乏領地だ。それを当主に代わり復興をし、同時に当主の不正の証拠を集めた。随分と丁寧な仕事なのは、此処にこれだけの出席者がいることがその証拠だ」
子供なのが惜しい。
その言葉にまたざわめく。
「当主に黙って作成したという二重帳簿の提出があったが、結果を見れば有効な事だと判断した」
お咎めなし。よっしゃ。
「よって報奨として、ドロードラング男爵を伯爵に。成人前だが、サレスティア・ドロードラングを当主に据える事とする」
・・・・・・は?・・・・・・はくしゃく~!??
今度は遠慮無く謁見の間がざわめく。
「と、宣言したところで納得はすまい。そこでだ、サレスティアに条件を出す。王都からドロードラング領までの道を整備せよ。費用はお前持ちだ。それでお前の能力を見せてやれ」
見せてやれ!?と言い返したかったけど、ここでは駄目だ。
「・・・畏まりました。謹んでお受け致します」
淑女の礼をとると、うむ、という声が聞こえた。
整備の打ち合わせをするのでドロードラングは別室へ。他の者は書類を受け取ってから帰るように。
と解散となった。
うむ、じゃねぇよっ!!




