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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
9才です。
49/191

おまけSS

ブクマが目標値を越えましたので、一人お祝いのショートストーリーをぶっ込みたいと思います(笑)



そこは王都の下層住民街の長期宿の一室。


サレスティアの要請で王都の偵察を行っていた、狩猟班のヤンと騎馬の民のダジルイが暮らす部屋。


経費削減の為2DK(間仕切りがカーテンなので実質1フロア。台所は一階の共同)一部屋に二人で住んでいる。近所には怪しまれないよう出稼ぎ夫婦と思われるようにしている。


ちなみにサレスティアからは経費はちゃんと出ている。が、元々質素な生活のダジルイに、雨風をしのげる建物であればいいヤンの組み合わせなのでこんな部屋になった。


ダジルイは昼の食堂で仕事に就き、ヤンは主に夜に偵察に出るので、ゆっくり顔を合わせるのはこの部屋に引っ越した日以来だった。


「え?・・・暗殺!?」


お互いの情報の擦り合わせも終わり、近所の世間話からお嬢の話に移り、昔の話になった。


「そ。俺は元々暗殺者で、クラウスさんを殺しに来て先代に叩きのめされて人手が無いから畑を耕せって、(くわ)を持たされてそのまま居着いたんだ」


ヤンさんは何故そんなに身軽なの?との質問にとんでもない答えが返ってきた。ある意味納得なのだが、色々飲み込めない。


「な、何で、クラウスさんを?」


「知らないか? 剣聖ラトルジン」


「・・・ええっ!? クラウスさんが!?」


おお、やっぱり有名人だな~。ダジルイが淹れたお茶をのんびりと(すす)るヤン。

一方のダジルイは更に混乱していた。剣聖ラトルジンは、戦争に参加しなかったタタルゥ国にも聞こえてきた英雄だった。すぐに表舞台から消えてしまったが、剣を扱う時は憧れたものだ。


その人が、あの穏やか侍従長のクラウスさん!?


呆然とするダジルイにヤンは苦笑すると更に驚きの話をしだした。


「あそこにはそういう人材が多いんだ。厳重な王都警備をすり抜けるより田舎領地に引っ込んだ方が狙い易いって思ったんだろうな。依頼された奴らや名を上げたい奴らが集まった。ちなみに俺は依頼を受けて、だ」


最初は、純粋にアーライル国の戦力を削ぐ為の外国からの刺客が主だったが、ドロードラングに引っ込んでからは、剣聖の称号を返上したことが不敬で生意気だとか、自領に取り込めないならば消してしまえというのが大半だった。


「まったく貴族なんて勝手なもんだと思ったね。そのお陰で俺は食っていけてた訳だけどな」


とにかくクラウスは強かった。そして先代当主のジャンも強かった。


どれだけ気配を巧く殺しても当たり前のように見つかる。それぞれの妻や家族を人質に、なんて事も出来なかった。

領地に入ればあっという間に見つかり、武器をちらつかせれば即座に木刀でやられる。


ヤンもそこそこの腕があると自負していたので、自信など総崩れだった。


「とにかく先代は老若男女関係なく敵と判断したら叩きのめす人でな~。隙があるだろうと収穫期を狙った奴らは本当に可哀想になるくらいボコボコにされてたわ・・・」


ダジルイからは乾いた笑いしか出てこない。


「土木班の親方は重器使いの傭兵で、鍛冶班の親方は二刀流の暗殺者で、細工師のネリアさんは暗器使いだし、薬草班のチムリさんは毒使いだ。今は亡くなっているが、トエルの母親もそこそこの傭兵だったはずだ」


色んな所から結構来てな、班に組み込まれている奴らは刺客だったのが多いな~。


あの賑やかなチムリさんさえも、暗殺者だったことにショックを受けた。


「最後はニックだ。あいつも若いうちから強かったようで、報酬のある腕試しみたいなノリで来たな。んで、瞬殺でボロボロになったのを看病した地元の娘に一目惚れして結婚して農民になったんだ」


あの追いかける(さま)は面白かったな~。


「あ!料理長のハンクさんはナイフ使いだったな、確か」


昔を思い出すのかしみじみとするヤンを眺めながら、あの領地の生命力の強さを見た気がしたダジルイであった。







ドロードラング領、裏?事情でした(笑)


人物一覧より短い時間で出来ました(^_^;)

楽しんでいただければ幸いです。





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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
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