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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
9才です。
34/191

続続11話 ご招待です。<なれそめ>


嫁の貰い手がない。


前世でも彼氏がいなくて親にはだいぶ心配されたけど、この人数に言い切られると本気でまずい。

・・・まあ、いっか。片想いの相手もいないし実際それどころじゃないし。


「他人の結婚にばっかり関わっているからだよ」


ニックさんが目に涙をためて言う。・・・そこまで笑うか。くっ。


「だって素敵じゃない結婚。女子だもの普通に憧れるわ。そうね、折角だから明日の予定にトエルさんとライラの結婚式入れようかしら?」


「「え!? 明日!?」」


おお~。席は離れているのに二人とも息ピッタリ。


「実は、アンドレイ王子が二人の事を地味~に気にしてるのよね。ほら、ライラの告白は見てたでしょ。その後結ばれて仲良くやってるよって伝えたんだけど、たま~に二人はどうしてる?って聞いてくるのよ。よっぽど印象に残ったんだろうね~」


あ、ライラが真っ赤になって両手で顔を押さえてる。トエルさんは両隣から小突かれてる。


「お昼か夕飯に合わせてさ。皆でお祝いしながらご馳走食べようよ」


「良いんですか一緒に食べて? 侯爵夫妻に王子と姫ですよ?」


「これがうちの仕様ですって言えばいいんじゃない? ほら、うちは目ぼしい物が無いから、何か華やかに出来ないかなと思ってたのよね。準備は難しい?」


ハンクさんを見ると、ニヤリとする。


「材料はたくさんあるし料理班の腕も上がったし、余裕ですよ。お任せあれ」


その料理班のメンバーはざわついているけど、ちょっと嬉しそうだ。ハンクさんに腕が上がったって言われたのが嬉しいのか、さっそくメニューの確認をしてる。

カシーナさんを見れば、


「二人の婚礼衣装はできていますよ。種蒔きの後の予定でしたから余裕を持ってできました」


流石です。

結婚式は何組か合同でしたいと会議で出した。春と秋の割と暇のある時期に一気にやってしまおうと。皆でお祝いしたいけど、食事量が毎回大変な事になる。毎月ご馳走を振る舞うのは正直キツイので、せめて年二回、と聞いてみたらあっさり可決。料理班と服飾班の準備期間の訴えも後押しになった。


ちなみに、誕生日に関係なくこの世界は年が明けたら一つ歳をとる。誕生月にお祝いをするのは大貴族だけだ。つまんない。事務的にはわかりやすくて楽だけど。

だから年越しの食事も豪華にした。いまだに蜂蜜クレープが人気メニューだ。


「何着か予備も作ってあるので、あと二組は出来ますよ」


なんて仕事が早いの!?流石です!

でも今、他に結婚の予定のある人いないのよね・・・どれ。


「マークほれ、ルルーに求婚せい」


「何か亀様口調でぶっ込んできた!?」


「だって一緒に野垂れ死んでもいいって言ったんでしょ? 結婚しても良いんじゃないの?」


「な!何の話を・・・」


マークが何かに気づいたように途中で言葉を止め、ぐるりとルルーを見る。

おお!ルルーが真っ赤だ! そして微妙に狼狽えている! なんてレアな・・・!


「やべ、ちょー可愛い・・・!」


あ、うっかり口に出しちゃった。そしたらマークがルルーを抱き上げた。早っ!


「俺のだから!!お嬢にもやらないよ!」


・・・はあ?

私はゆらりと立ち上がる。ちっこいのでマークを見下ろす為に椅子の上に。


「私の方が毎日ルルーと長くいるのよ。アンタみたいなヘッポコなり損ない騎士が、よくもまあ俺のだからなんて言い切ったわね!」


うぐっ、とマークが唸るが、ルルーを抱く手を弛めない。


「そ、それはこれから!騎士はこれからなる!お嬢には感謝してるから、騎士には絶対なる!だから!・・・俺にルルーを下さい!」


「騎士が何だ!私の方が稼ぐぞ!毎日腹一杯食べさせられるよ!」


「うぐっ! 幸せにします! 贅沢はさせられないだろうし、お嬢の稼ぎを上回る見込みもないけど、ルルーが毎日一緒にいてくれたら俺は幸せです! だから!俺の出来る全てでルルーを幸せにします!」


「はんっ! マーク一人で叫んだってそんなこと叶うか!」


「うぅっ! でも、俺はルルーが好きなんです!!」


「領地中知ってるわ! そういうことは本人に言え!」


「ルルー!俺!・・・・・・ルルー? どうした!?」


マークが見上げた時には、ルルーはボロボロと涙を流していた。

途端にマークが不安気な顔をする。


「ルルー?・・・嫌だった?」


首を横に振る。余計に戸惑ったマークにルルーが抱きついた。

マークの手がルルーの背中をぽんぽんとする。

おお、マーク必殺の背中トントン! 悔しいけど気持ちいいのよね、アレ。


「俺、ルルーが好きだ。結婚して欲しい。俺が死ぬまでそばにいて?」


抱きつきながらルルーが頭を縦に振る。

マークはより強くルルーを抱きしめた。

ふと、ルルーが呟く。


「嬉しいけど、恥ずかしい・・・・・・領地中知ってるって・・・」


マークがハッと顔を上げる。

ニヤニヤと自分たちを眺めるギャラリーに気づくと、真っ赤になって、口をパクパクとする。


「・・・い、いつから? え?みんな・・・!?」


皆、ニヤニヤが止まらない。


「アンタが自覚する、ずぅっと前から知ってた! やっとくっついたか! 私が先に成人するかと思ったわ!」


拍手やら口笛やら爆笑から、おめでとうと聞こえる。

ルルーはまだマークの肩から顔を離さない。耳どころか首筋も手も真っ赤だ。

は~、これで心残りの一つが減った。

ルルー、良かったね!



そうそう亀様の事!


《侯爵の様子を見てからで良いだろう。クラウスの兄だしな。悪いようにはせんだろう。駄目なら記憶の書き換えをすればよい》


チート発言来たー! 記憶の書き換えってどんな魔法!? 違法!?

結果、解決してない結論に落ち着いてしまった・・・駄目じゃん。

まあ仕方なし。そんな日もある、うん。じゃあそういうことで!


「皆! 明日もよろしく!」





***





「そんなこんなで、侯爵様に丸投げしようと決まったんですよ」


「・・・今の話はほぼほぼマークとルルーとやらの馴れ初めではないか。何を丸投げする気だ」


「あれそうでした? 亀様の話しましたよね? 彼の事をどうしましょうか?」


ただいま広間で昼食中です。

度肝抜かれた皆様の為に、急遽メニュー変更して、お腹に優しいリゾットになりました。

食欲の失せたご一行を別室に押し込め、先に領地の皆に食事を済ませてもらったので、現在広間で食事をしてるのはご一行と私ら護衛だけ。同じ食卓に着くという無礼ぶり。もはや誰も突っ込まない。


食事で一息ついたところ、亀様というワードに又げんなりするご一行。


《人とまともに接したのがサレスティアたちだけなのでな。驚かせて済まなんだ》


ぬいぐるみ亀様の言葉に目を泳がせるご一行。


「こちらこそ、取り乱してしまい失礼致しました」


流石、夫人。この短い時間でも胆力結構あることがわかりましたよ。これぞ貴族! 


《そう畏まらんで良い。ここは羽を伸ばす所だ。皆、気を緩やかにすると良い》


目を丸くした夫人は微笑んだ。

あぁ、アンディたちは夫人に似たんだな。だからクラウスは王都の詰所でハッとしたのか。黒髪は珍しいしね。


《お前たちは毎日よくやっている。初めて訪れた場所で戸惑うだろうが、サレスティアたちも楽しみにしていた。貴公等が心安らぐ事を我は望む》


うぅ、亀様優しい~。


「しかしな亀様、儂は予想も出来ない事ばかりで安らげる気がせんよ。あの荷車や板や畑の耕し方や、大蜘蛛や貯蔵庫、目が回る思いだ・・・おそらく、あれだけではあるまい?」


《・・・まあ、そうだな》


「今後何が出てくるのか・・・」


ああ、侯爵はそれでげっそりしてるのか。にしても、わりと亀様と普通に会話してるけど、・・・順応早いな。・・・ハイになってるだけ?・・・ぽいな。


「僕は楽しいよ。確かにビックリしてばかりで少し疲れたけど。食事も美味しいし、これからも楽しみだよ」


「私もビックリしたけど面白かったわ。ケーキも美味しかった!」


おお良かった~。やっぱり子供の方が順応早い! 

この後は結婚式もあるし、存分に楽しんでもらうのに少し休んでもらおうかな。


「まだ見て欲しい物が色々あるから、楽しみにしててね!」


三人でニコニコしてる横で、侯爵が呟いた。


「・・・不安で仕方がない・・・」


《・・・・・・健闘を祈る》


ちょっと亀様!?フォローしてよ!?

あれ、ニックさんたちも微妙な顔してるし。

大丈夫だって!楽しいって!


・・・たぶん!









お疲れさまでした。

いかがでしたでしょうか、彼のプロポーズは?(笑)

きっとぐだぐたなんだろうな~、と思っていましたが、格好良い方が良かったですかね?(笑)


楽しんでもらえれば嬉しいのですが…


ではまた、次回。お会いできますように。





※「・・・今の話はほぼほぼマークとルルーとやらの馴れ初めではないか。何を丸投げする気だ」

この台詞はこのままとします。(。-人-。)

みわかず



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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
― 新着の感想 ―
[良い点] 自立した幼女は無敵ですね
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