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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
14才です。
180/191

続54話 なんだか忙しいです。<事業>


相談があるのと、ミシルに請われて村長のお家にお邪魔すると、そこには村の運営をしている中心メンバーも揃っていた。


地下迷宮(ダンジョン)?」


「そう。うちの村近辺もこれ!っていう特産品がないでしょ? 今はこうしてドロードラング領が関わってるから何とかなり始めた感じだけど・・・」


前村長のシュウさんが言っていた『竜神祭』もどうしたらいいかわからない。青龍はそれに乗り気だけど四神でしょ? 青龍には悪いんだけど、正直もて余してるの。

とミシルの説明は続いた。


新しい村長さんもミシルに頷く。青龍もタツノオトシゴ姿で頷きながらちまっとゴザでできた座布団に乗っている。


「『青龍』を前面に出すにはちょっと問題がありそうだから、他にドロードラング領のように、何か、国として集客できる物を造った方がいいかと国王にお伺いをしてみたの」


お茶を噴いた。はあ!?国王!?一足飛びにも程がある!


「もちろん村ちょ、シュウさんが旅立つ時に手続きをしてくれてて、その返事がこの間届いたのね。私今年はドロードラング合宿に参加しなかったでしょ? ちょうど私が帰った日だったから村長と一緒に行って来たの」


青龍も一緒に行ったその謁見は兵士にがっつり囲まれたものだったそう。・・・ですよね。

こんな仰々しい事になって済まないな、とまず最初に国王は言ったらしい。まー、四神相手じゃ全然足りないけど、先にそう言うなんてまずまずの好印象である。


国王としても、国をあげての事業はやってみたいところで模索中だったとか。青龍の協力もあるということで、地下迷宮(ダンジョン)はどうだろうかとなった。


「話には聞くけど、地下迷宮(ダンジョン)なんてヒズル国(うち)にはないし、アーライル国にもないからどこか近いところのダンジョンを見学に行くことになったの。だから新学期は遅れるかもしれない」


え。地下迷宮(ダンジョン)て遠足気分で行くところだったっけ?


「大丈夫?ついて行くよ?」


「ありがとう!お嬢ならそう言ってくれると思った、ふふっ。でも青龍もいるし、国王様が何人か一緒に行く人を手配してくれるって」


ああそっか、国をあげてだもんね。青龍もいるなら大抵の事は大丈夫か。見ればタツノオトシゴが頷いている。


「お嬢は行った事はある?」


ないのよね~。でも興味はある。実はドロードラングランドのお化け屋敷が失敗した時に一度考えた。


前世でゲームもほぼしなかった私が知ってるのは兄のおかげ。

廃屋や山脈、沼地などと、その世界の至るところにあるゲームポイント。レアなアイテムを探す。その最終階層にいるボスを倒す。ただのレベル上げの場所。色んな目的で点在していて、何階層にもなっていて、もちろんモンスターもたくさん存在し、倒しながらその迷宮を最後まで進むと攻略済みと判定される。


アスレチックあり、クイズありと、力業と宝探し以外にもわりとバラエティーに富んだ場所。

兄の後ろから眺めてても、地下のあのおどろおどろしい音楽はちょっと恐かったけど。


ゲームではモンスターを倒せば無条件にお金が手に入る。実際はそんな事はないので、まずそこで旨味のひとつが消える。換金するにも手間がかかる。


ゲームではレアなアイテムが隠されていたけど、実際はやっぱりそんな事はない。昔のすっごい魔法使いが引きこもっていたといわれたところは書物があったり、盗賊の隠れ家だったりしたところはお宝が有りだけど、それが無くなってしまえばそこはもう旨味が無い。


何でそこから魔物がひっきりなしに現れるかといえば、その解明もいまいち。魔物が多く生息する場所に多くのダンジョンがあるということは、普通に「巣」なだけではないだろうか?


いくら亀様の協力があるからって、ドロードラング領内にそんな謎な物をわざわざ造る意味も無いと気付いた。


そうなると、地下アスレチックに特化すれば?というところだけど、地下である必要無くね?


それに、ダンジョン内で手に入れられる宝物(アイテム)をこっちで準備するのが面倒だと思っちゃったんだよね。

それだったらお土産として買ってもらった方がいいやってね。

トレーニング目的なら宝は要らないのでは?って意見もあったけど、トレーニング目的なら領民の通常訓練に入ってもらえばいい。


そういう訳でドロードラング領では地下迷宮(ダンジョン)企画は無しになったのであった。


「宝物か・・・それは国王様も言ってたんだよね・・・う~ん、お嬢が諦めたなら難しいかな~・・・」


「やっぱ冒険には宝物が付き物だよね・・・」


「最後までたどり着いたら、ドロードラングランド宿泊券とか考えてたんだけど・・・ダメ?」


「それはいいけど、命がけで手に入れた物が宿泊券って、気分乗る?」


ミシルの眉毛が下がり、その場にいた皆から唸り声が。


「ヒズル国でもドロードラングは噂にはなってるよ。行った事のある人はまだいないみたいだけど」


「いや、遊園地とかよりも、お金に直結した物がいいと思うんだよね」


皆も頷く。


「やっぱり? 国王様も同じ理由で迷っているって。だから予算が組めそうな物か、とりあえず本物を見てみようってなったの」


ダメ元か。それなら私も行ってみたいな。元傭兵のニックさんやルイスさんから聞いてダンジョン造りを諦めたけど、今後のドロードラングランドに活かせる何かがあるかもしれないし、ミシルの村が良くなるなら手伝いたい。


「もし造るなら、海底神殿みたいにしたいな~なんて、エヘヘ」


学園では本をよく読むミシルが少し頬を赤くする。

お!そっか!それなら竜宮城もありじゃない? そうだね、せっかくの島国だし、海は活かしたいよね~! 海、海!


「あ・・・」


「ん?」


うわ・・・自分で思いついておいてアレだけど、これはどうかな~・・・


「何か思いついたの?」


「うん・・・ねえ? ヒズル国の露出についての基準てどんな感じ?」


ミシルだけじゃなくて、その場にいた皆の目が丸くなった。






そうして。昼は海辺で水遊び、夜は花火大会という企画を出すことに。

ドロードラング産の水着のお披露目は、ミシルの国、ヒズル国でとなりました。


よくよく考えれば、水に入っても大丈夫なように丈夫にすれば良かっただけの水着。ドロードラング領では川遊びを禁止してはいないけど、そんなに長い時間は遊ばない。暑かったら少し涼んでまた畑仕事に行くという状態なので、あまり「遊び」のカテゴリーには入らないよう。

この理由でプール造り案は無くなったのであった。むぅ。


女子の水着をビキニタイプにすれば流行りそうな気がしたので一応は作ってもらった。で、まずはと女子に見せたら「そんな下着みたいなもの無理!」と大騒ぎ。まあね~生地をケチる目的もあったからね~。

なので、ワンピース+パレオのデザインにしてみたところ、こちらはパレオが良かったのか好評。男子はサーフパンツタイプ一択。穿き心地以外の意見は要らん。


下着みたいな水着を作るより、可愛い下着を開発した方がいいという服飾班の意見に納得したのもある。


「これ、乾くのが早くていいなぁ」


漁師たちの使用感はまずまずのよう。よっしゃ。スパイダーシルク万能だな!

仕事するには裾が邪魔みたいなので遊び用ではあるけども、泳ぐのには見た目より楽だと太鼓判。

水泳大会とかもいいんでない? 


そして、水着を着た女子を見る男たちの目が予想通りだったので、しばらくは男女を分けたプライベートビーチみたいにする予定。風呂じゃないから覗かれても問題は小さいとは思うけど、慣れるまでね。


で。なんとなんと!ヒズル国王自ら試着してくれて、御一家で遊んでくれたんだって。

で。要人は家族ごとに区切るようにしようと言ったとか。

やはり奥さんや可愛い娘の肌は他の男の目にはあまり触れさせたくないというのが理由。やっぱそうなるか。


あとは海水浴は期間限定にする。

ヒズル国は日本に近い気候らしいので、時期がくれば海にはクラゲが出る。こっちのクラゲは食べても美味しいらしいが、その中を泳ぐには邪魔だし、刺してくるのでやっぱり危険。青龍に頼めば解決するけど、運営は人の手でした方がいいし、何より期間限定の方が集客は楽だし、一年毎日忙しいと参ってしまう。


他の時期に農作業をするのはどこの国も同じだし、それに地元の食材というのは結構な価値がある。

だからご当地フェアが流行るのよ!


ドロードラングでの花火は私の魔法がほとんどだけど、火薬の花火は存在する。夜の花火は少ないけど、昼にめでたい事がある時には音だけの打ち上げたりもする。ルーベンス殿下とビアンカ様の結婚パレードの時にも上がった。


これで花火の需要が増えれば、戦争に使う火薬が減るかななんても思うけど。逆に火薬を集め過ぎているとヒズル国が言われるのも良くない。なので魔法使いの手も使うことになった。

ここら辺の事情には私はもう関わってはいないけど、リゾート案を出したので相談役みたいなことになった。


「ダンジョンを抜けたら水着美女がたくさん!っていう企画を!」


な~んて案がドロードラングの男たちから出たけど、そんな煩悩竜宮城!造るわけ無いでしょ!









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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
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