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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
13才です。
172/191

続続51話 やった!です。<王宮ロマンス>



「いいぞーっ!国王ーっ!!」


マークが一番に叫んだ。


会場にいた平民はマークにつられて歓声をあげ、祝福の大歓声は貴族たちを困惑させた。貴族なんて会場の三分の一もいない。

声を出して笑う国王なんてレアなものも埋もれてしまう盛り上がり。


「どうした? 後はお前たちの覚悟を()()()に示しなさい」


国王にそう言われたエリザベス姫は観客席の下部まで降り、それを迎えるようにテオ先生は観客席に走り寄った。

二人を隔てるのは、三メートルの高さ。

しばし見つめ合う二人に会場はさらに盛り上がる。


「エリザベス様、勤勉な貴女が可愛らしくて、ただお側にいられる事を喜んでいました。ですが、先の婚約の時に思い知りました・・・貴女を愛しています。田舎子爵の三男で平民と変わらない身分で、貴女の今までの努力を無にする事になりますが、私の妻になってくれませんか?」


少し緊張したテオ先生がきっぱりと言った。

ずっと泣きっぱなしの姫がさらに涙をこぼす。もはやドレスにはたくさんの涙の跡が。唇も震えてる。

それでも。


「っ!・・・よ・・・喜んで! お受け致しますっ!」


震える声ではっきりと応えた姫に、口をわななかせるテオ先生。

見つめ合う二人にマークが割り込み、テオ先生を観客席に放り投げた。さらに盛り上がる観客。

真っ赤な顔で改めて向かい合った二人。

テオ先生が意を決したように広げた両手に、姫は迷うことなく飛び込んだ。

しっかりと抱きとめた、抱きとめられた姿に、さらに大歓声。


そして、王宮ロマンスとして平民の間で語り継がれる事になる―――





というのを、現場にいたアンディ、マーク、ルルー、ルーベンス様、ビアンカ様、シュナイル様、クリスティアーナ様、レシィにお妃様方、果てはラトルジン侯爵夫妻までに説明されて悶えた。


皆しっかり見てるし! ははっ!


でまあ、誰が一番驚いたかというと先生のお家のトラントゥール子爵家。先生よりも先に王の使者が領地に着き、上を下への大騒ぎ。

三男坊の嫁がまさかの王女殿下である。当主は泡を吹いて気絶したらしい。・・・さもありなん。

三男のための領地が無ければ、持たせる金子も微妙なもの。だから王城に文官として勤める事ができて皆が喜んだのだが。


確認の為、王都にやって来たのは領主代行となった長男さん。

その場に立ち会った上司であるラトルジン侯爵の後押しもあり、姫を娶る事、財務勤めはそのままなので家族向け仕官寮が使える事、姫が多くを望まなかった事を王家が了承済みであることに安心し、とりあえずと帰って行ったそうだ。


そしてエリザベス姫の花嫁修業はドロードラング領で行われる事に。正式な婚姻は半年おいてなので修業はもちろん卒業後に開始される。

何でドロードラングかというと、エリザベス姫に容赦ない庶民だから。

・・・まあ、それも大問題ではあるけど、侍女付きの奥さんなんて平民にはいないからね。何でも自分でやらなきゃだし、こっちが丁寧に接しても相手がそうだとは限らない。雑な私らで平民に馴染むための訓練だ。買い物だって姫が自分でする事になるからねー。値引き交渉まで仕込まないと!


そういう諸々(もろもろ)が決まった途端に、エリザベス姫のニヤニヤが隠れなくなった。


もちろん学園ではしないし、姫として振る舞わないといけない時もしない。

ビアンカ様、クリスティアーナ様や私など、気心のしれた仲の前では表情が崩れるようになった。私らとしては嬉しい事だけど・・・まさかの事態である。こんな風になるんだなぁと。


急にポッと頬を染めて、ニコニコしだすのだ。正直可愛い。ほんと可愛い。本人に自覚が無いせいで破壊力抜群である。


「実は、エリザベスをちょっと狙っていたとお兄様が仰ったのよ。もちろん自分の側妃ではなくて臣下へね? アーライル国との繋がりはあればある程いいって」


ビアンカ様が別なため息とともに言った。


「ハスブナル国という脅威が無くなったのに、私が正妃になる事以上に望むなんて何を考えているのかと腹が立ったわ。今日はお兄様の顔面に雪玉をぶつけてやれてスッキリよ! 良かったわ雪合戦!」


ビアンカ様は前乗りして投げ方を練習していた。来る前にも布ボールで練習していたと言うし、何をそんなに燃えているのかと思っていたらそういう事だったか。





今年はバルツァー国の皆様もご招待してのドロードラング領雪合戦。

アーライル国王軍VSアーライル王妃軍(今回も、熾烈苛烈に王妃軍の完全勝利)を見学してもらってからの、バルツァー国兄妹対決。


バルツァー国の皆様というのは、王族の近衛隊にビアンカ様の兄王子の親衛隊も含めている。

兄妹対決の他に何を含んでの人選なのか、魔法使いが三人いた。まあ、亀様が言う前に申請されたからセーフに。


「お兄様、雪合戦は魔法が禁止でしてよ?」


「おっと、そうだったかな? 俺の親衛隊には魔法使いもいるからな、うっかりしたなぁ~」


「・・・くっ!」


なんで禁止かっていったら私が魔法を使ったら面白くないし、何より子供たちが遊べないからである。これは国王軍VS王妃軍でもそう。国王は魔法が使えるが王妃は使えない。ハンデのつもりでどちらも使わないのに毎度王妃軍の快勝。国王から「せめてクラウスを貸してくれ」と物言いがついた時、本気で負けてるんだと分かった。まあ、本気で勝とうとしてるのは国王だけかもしれないけどねー。


ちなみにエンプツィー様も審判での参加。主審はラトルジン侯爵夫妻で副審がエンプツィー様とクラウスである。副審は貸しませんて。


魔法込みの雪合戦はしたことがないので、子供たちが見たい!と盛り上がってしまった。それじゃあと、ビアンカ軍の魔法使いとして私が入った。

アーライル国の筆頭魔法使いはエンプツィー様である。筆頭魔法使いは副審固定。なので、魔法使いではあるが子供でもある私にビアンカ様の兄上は余裕の顔だ。

ごめんなさいなんて、ビアンカ様がしゅんとすることないよ?


《守備は任せろ》


これで思い切りやれる。通常よりも広く取った合戦陣地以外に被害がいかないように任せたよ亀様。


土木班員がせっせと作った雪壁に添って、兄殿下陣地では親衛隊、近衛隊が人数が少ないなりの戦列を組んだ。魔法使いは後方。


ビアンカ陣地は私が一番前で、他メンバーはビアンカ様の周りに控える。

兄妹対決といいながらメンツ内容はバルツァーVSアーライルである。ので、兄殿下陣地の面々が変な顔をしてる。まぁないよね、こんな配置。


「それでいいのかい?」


一番近い近衛の人が心配そうにたずねてきた。


「はい!ドロードラング式なので!」


笑顔で元気に返すと微妙な顔でそうかと頷いてくれた。


全員が配置についたのを確認したラトルジン侯爵が宣言する。


「これより! バルツァー国王太子殿下対王女殿下の雪合戦を行う! 攻撃手段は雪のみ! 魔法での対人直接攻撃は不可! 遵守せよ!」


前もって作ってある雪玉を手に取る相手陣地。ちなみに雪玉は開始前までは一人十個まで作ってOK。


私は両手のひらをつきだして構える。向こうの魔法使いも呪文詠唱の準備をしたよう。魔力の流れを感じた。


「始めっ!」


ドオォオオオンンッ!!


ラトルジン侯爵の合図の終わりとともに私らの陣地内に現れた土壁は、開始線から二メートルの厚み、開始線いっぱい左右に伸び、高さが五メートルになった。


「は。はああぁああっ!?」


相手側の声がくぐもって聞こえる。

土壁の上に飛び乗り、また構える。前方から私に向かって雪玉が投げられるが、慣れてないとなかなか難しい。届いていないことで、魔法使いがそれを風魔法で補助する。


が。

その雪玉が消えてなくなった。

もちろん消したのは私。

何人かポカンとするなか、「雪が溶けてる!」と誰かが叫んだ。

あたふたする皆さんの足下(あしもと)どころか、バルツァー国陣地の雪が無くなった。雪原に四角く地面が現れる。

雪だけ溶かすのは、水魔法。


ポカンとする兄殿下。


雪だけを溶かす。だから地面は熱くない。地を熱くすると植物が駄目になる。

もちろん最初にやったときは手こずったわ~。今は自在です!


そして土壁を解いた私のすぐ後ろには、雪玉を持った()()()()()メンバーが勢揃い。悪い顔しない。


青ざめる相手軍。


蹂躙の果て、実の兄に、メジャーリーガーかという振りかぶりで雪玉を命中させたうちの大将ビアンカ様。カッコいい!どこで覚えた!


「これに懲りて今後滅多な行動は慎んで下さいませね、お兄様?」


「・・・わ、分かった・・・」


そうして、何が含まれていたかは分からない兄妹対決は妹の完全勝利で終了。


だったのだが。


「「「 つまらないっ! 」」」


という子供たちの物言いに、いつもの子供向け雪合戦をバルツァーの国王夫妻も交えて行い、にぎやかに一戦追加となった。


ほらね、魔法を使わない方が楽しいでしょ?


あ!

ドレス購入、ありがとうございまーす!








お疲れさまでした。


ビアンカ(あに)はモブのままで(笑)

あ、悲恋話大好き兄嫁を忘れてた!…まあいっか。


騎士になる方法ってなんじゃろ?ってことでこんな感じでした。

ゆるふわ設定です!|д゜)チラッ


また次回お会いできますように。


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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
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