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贅沢三昧したいのです!  作者: みわかず
7才です。
17/191

続6話 結婚式です。<準備中>


トンテカントンテカンゴリゴリゴリゴリ


木槌、金槌、(のこぎり)の音が響くようになって二週間。六戸入り二階建てアパートが一棟、屋敷の近くに完成間近です。早っ!


設計図と土台は出来ていて資材の確保待ちだったところ、トレント大量発生で待ちも解消。あっという間に骨組みが組まれ、屋根、壁が出来て建物っぽくなった。残念ながらトイレとシャワーは共同。聞けば王都でも共同が主流らしい。配管に丁度いいのが見つかったら改築しようっと。風呂は今まで通り屋敷の大風呂を使用可能。


(かまど)まで共同っていうのには、簡易コンロでも開発しようかとしたけど、あまりハイテクな物を使うと余所で不便を感じるだろうと断念。でも、お茶を飲む程度のお湯を瞬時に沸かすコンロは台所の隅っこに一つ付けるけどね。


二階建てアパートよりも長屋タイプが良いかな~? でも領民が増えたら階数ある建物の方が良いよね~。農地が減っても後々困るし。まあとりあえず、住んだ人の意見を聞いてみて考えよう。


アパート一棟建てても木材が大量に残ったので、すべり台を作ってみた。屋敷の二階バルコニーからカーブをつけた物を一台。亀様滑りより低いけど、そりの使えないチビッコには好評。滑ることに馴染みのない騎馬の民にも好評。トランポリン超高跳びは苦手でも、これくらいならと大人も楽しんでる。

・・・よし。ぼんやりと計画してたアレを相談に行こうっと。

あ、その前に土木班はしばらくお休みにしなきゃね~。




騎馬の民の力も借りて色々と畑作してみた。

米を知っている人たちは飼料として認識していたので食べることに躊躇(ためら)いがあったけど、塩むすびは好評だった。他に比べたら小さいけど田んぼも作った! 腹持ちの良いことが男たちに好評。フムフム。醤油と味噌と海苔も欲しいな~。どこの国で作ってるんだろ? 近場ではなかなか見つからないな~。興行先を変えようかな?


とりあえず砂糖の原料、甜菜、サトウキビを植えてみた。

短い大根のような甜菜は(なま)では不味かった。煮ても土臭かった。これは砂糖にするしかない!・・・何で絞り汁は煮詰めれば甘くなるのかスゴイ不思議。 葉部分は炒めてふりかけにしたいところだけど、塩だけでは厳しく醤油がないので断念。やっぱり大根よりクセがあるので肥料&飼料へGo。


サトウキビもとりあえずは促進魔法で普通に出来た。現物を見たことのあるルルドゥの首長は、少し細いようだと言う。魔法で八割の出来といっても、ん~、サトウキビは自力では無理か? 加工した残りカスで紙を作っていこうと思ってたけど、ちょっと厳しいかな。


「こちらで加工してもらえるなら、サトウキビはルルドゥとタタルゥで作ってもいいんじゃないか?」


騎馬の民が言う。確かにドロードラングよりは暖かい地域だけど作った事は無いらしい。米よりは作り易いかもしれないから試しにやってみようかということになった。まずは試しね。駄目なら止めればいい、その時は亀様に聞けば教えてくれるでしょう。そうやって何が作り易いかやっていこう。


何が出来るだろう。

私の力の及ぶ限り、何でもやりたい。

皆が楽に生活出来るように、いや、楽しく生活出来るように。


理想だけど。

一日の全てじゃなくていい。その楽しさがあるから今日も頑張れる。そんな日々を皆で過ごせたら。


「お嬢様? ここでお昼寝ですか?」


ダジルイさんがそっとそばに来た。畑の横の雑草が繁る所に大の字に寝転がってる私。これが気持ちいいのよね~。


「うん、昼寝のフリ」


片目を開けて彼女を見る。


「だからカシーナさんには内緒にして」


そう言うと二人で小さく笑った。


「お邪魔ではありませんか?」


「そのようなことはございません。どうぞ、お掛けになって下さい」


「・・・ふふ。その姿ではせっかくの言葉も台無しですよ」


あははと笑ってしまった。


「だって気持ちいいもの。世の中のお嬢様はこれの気持ち良さを知らないなんて損してるわ~。服を汚して怒られる以上の価値があるのに」


「そんな風に仰るのはお嬢様だけでしょうね」


朝昼晩と服を変えて、更に外出用にも色々とドレスが必要とか、貴族って大変よね。流行りも乗らなきゃいけないし。貧乏人には無理ムリ。フリフリは舞台衣裳だけでいいわ。あ、そういや私、貴族の端くれだったわ。


「そうそう、チムリさんからの伝言です。淡い色の染色がうまくいきそうですって」


「本当!?やった! これで騎馬の民の紋様を淡い色で作れるわね。濃い色も素敵だけど、淡い色合いもいいと思うのよね。ダジルイさんは機織り得意なの?」


「人並みですよ。私よりも娘の方が上手です。一番と言うなら首長たちの奥さんでしょう。甲乙付けがたい二人ですね。ただ糸が細いので、慣れるまで少しかかりそうです」


あ、そか。細いと粗が案外と目立つのよね。騎馬の民は目が良いから、余計に気になるだろうな。スパイダーシルクは綿糸より細くて丈夫な上に伸縮もするのでしばらくは大変かな。ゆっくりやってもらおう。


「それにしても、ダジルイさんは所作が綺麗になったね~」


「そうですか?ありがとうございます。カシーナさんが丁寧に教えてくださるからでしょうね」


騎馬の民は草原を駆ける獲物を狙うために気配を絶つのが巧い。ダジルイさんはいまだに私に罪の意識があるので、罰として王都の偵察に行ってもらうことにした。どういう形になるかは未定なので、侍女としても大丈夫なように現在淑女教育を受けている。誰が行っても危険な事なのだけど、本人の強い希望もあって勉強してもらっている。

うちと騎馬の民の男女何人かが候補として修行中である。


主に偵察。戦闘は逃げるためのもの。

この二つを強くお願いした。

いま、領地にいる人数を減らすわけにはいかない。

魔物狩りだって強いものは狙わない。多少のケガで済む相手だけにして。

皆がいて、ドロードラング領は動いているから。


自分に力が無いって悔しい。

魔力があっても、誰かの助けが無ければ動けない。

悔しい。


だから、必ず、領地を永く豊かにする。


「ふふ。眉間にシワが寄ってますよ」


私はまだまだ子供だ。・・・前世で成人はしたんだけどな~。経営って難しいわ~。


「大丈夫です。皆でたくさんの事をしましょうね。だから私にも出来ることはお手伝いをさせて下さい」


・・・もう。


「"お母さん"は甘やかすのが上手いわね!」


「そうですよ。飴と鞭を使い分けて、子育てと男を働くように焚き付けなければいけませんからね」


「・・・ぷっ! 敵わないはずだわ~!」


空を見ながら、二人で寝転がって笑った。




***





ガタンガタンガタンガタンガタンガタン、カチャ、・・・ゴッ、ゴッ、ゴッゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオ!!!


ぎいいぃぃやゃぁぁぁあああぁぁあああぁぁぁぁぁああ!!!


総勢十人の悲鳴が響きわたる。

あっはっは~!これこれ!懐かしい~! 小学生の時に子供会で一度だけ遊園地に行ったけど、身長が足りなくて宙返りのジェットコースターに乗れなくて悔しい思いをしたのよね。リベンジやっほう!た~のし~!


そう。作ってしまいました、ジェットコースター!

木材が足りなくなってトレントを狩りまくり、鉄が必要になって山を掘り、ネリアさんに作らせた模型を元に土木班鍛冶班の総力を挙げて、仕上げに黒魔法を駆使して作り上げましたー!

安全装置もバッチリなので、何才からでも乗れるわよ!ぬいぐるみ亀様も固定出来るのよ!定員は十人よ!


まず私以外は大人男だけで初乗り! 皆の魂が半分出てる! わっはっはっは。二回も宙返りするとか楽しいんですけどーっ!


「どうコレ!」


「「「 無理!! 」」」

「「「 楽しい!! 」」」


一通り皆が乗り終えてから聞いてみたら賛否両論。

よし。OK!

ジェットコースターが万人にウケるなんて思ってない。これで他のマシンを作りやすい。ネリアさんと親方たちと詰めなきゃね。

あ、亀様は面白かった?


《うむ。人間とは不思議なものを作る・・・また乗りたい》


良かった!


「こんな恐ろしい物をどこから考えつくのか・・・」「俺は楽しかったッスけどね~」「もう・・・腰が抜けて・・・」「髪の毛が変になってる~!あはは!」「もう一回!もう一回乗りたい!」「あ~、眼鏡が飛ぶかと思った・・・」「・・・二度と乗らんぞ・・・!」「あっという間だったわ~。面白いわね!」「やっぱり乗り物に装飾したいね。どんなのが良いかね~」


ワイワイ楽しい!

あ、のびた人用に休憩所は必要かな。


「マーク、マーク!しっかり!」


要!救護所!




***





調理場からいい匂いが漂う。

調理場の近くにはジリジリと子供たちが集まっては散らばっていく。


やっと、鶏三十羽と乳牛五頭を手に入れました!買ってきました!

あー、長かった。飼料も賄えると計算出来たので、とりあえずの確保。

これでやっとお菓子改革が出来る!


ということで、ただいまスポンジケーキを焼いております!

甘い匂いがもう美味しそう! 甘いのが苦手な人たちは外に避難してる。

厳つい料理長ハンクさんがオーブンを睨みつけている。他の料理人たちも真剣だ。料理に関しては魔法は緊急時以外は不用というハンクさんの信念により、私も待つだけ。


調理方法の増加により、道具製作の為また鉄を掘り出す。資源が足りなくなる?と不安になったけど、亀様に大した事はないとお墨付きをもらえた。良かった。


この後、綺麗に焼けたスポンジケーキの味見権争奪ジャンケン大会が行われ、勝ちました! 料理人たちに続く味見権の一番を獲得。旨かった!さすがハンクさん!この調子で焼いてヨダレを垂らす奴らに食べさせておくれ!


・・・私、領主なのにジャンケン・・・勝ったからいいけど。


その日の会議後に、調理班、首長の奥さんたちと、カシーナさんを除いた服飾班と打ち合わせ。よしよし順調ですな。

女子は変なテンションになりそうで注意した。私も気をつけるから皆もね!と。


アパートの完成前にやっとカシーナさんから淑女教育及第点をもらえました。私まだ7才よ頑張ったよ。淑女なのを二時間もたせられればそこそこ良しでしょ。ダンスなんかはこれからだけど一段落しました。

あ~やれやれ。淑女って大変ね~。

ジェットコースターくらい作りたくなるっての。スカッとしたくなるっての。


ということで、アパートの完成と同時に決行です!

親方たちとも打ち合わせねば。


乙女は色々と詰め込みたいのです!






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『贅沢三昧したいのです!【後日談!】』にて、

書籍1巻発売記念SSやってます。
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