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始まり

ウチは勇者(笑)とその巻き込まれとは、同じクラスということ以外に接点が無い。

いや、巻き込まれとは席が隣で、たまーに助けてたくらいかな?

単純に勇者(笑)やその取り巻きに絡まれそうになったら先生が呼んでると言ったり、周りに彼の立場をきちんと分からせたくらい?

さすがに見てて気分良くなかったんだよね、色々と。

あれ、もはや苛めだし。

それに取り巻きにはお嬢様がいて、勇者(笑)自身もいいとこのお坊っちゃん。

こっちにはコネがあったので、ちょっと痛い目に遭ってもらったこともある。


そんなかなり変わったモブなウチは、何故か学校の裏庭にいる。

巻き込まれに呼び出されたのだ。

何で呼び出されたかは知らないが。

しかし、遅い。



「もう帰りのHR終了から二十分は経ってるよ」



おそらく勇者(笑)に絡まれてるんだろうが。


待ってる間、暇なので携帯を出して弄る。

さらに十分経つと、騒がしくなる。

あの勇者(笑)も来たらしい。

巻き込まれは帰れと本気で怒っている。

声の数的に取り巻きはいないな。



「ホントに帰れ!!こっち来んな!」


「俺は葵と一緒に帰りたいんだって」


「用事があるって言ってんだろ!」



早歩きの巻き込まれ……もとい、星宮葵ホシミヤ アオイは勇者(笑)に怒鳴っている。

本気で怒ってると何故に気づかない。


ちなみに星宮葵はイケメンだ。

さらさらとした肩甲骨までの黒髪、ダークブラウンの瞳。

涼しげな顔立ちのクール系イケメンで、ただし中身はオタク気味というギャップ。

身長は175くらいで、細マッチョと普通の中間くらい。


何で体格を知ってるって?

ウチの通う高校、体育とか男子も女子も同じクラスで着替えるからだよ。

それを考えて女子は大抵、中に半袖の体操着みたいなのを着てる。

が、勇者(笑)のせいでビッチ化した何人かの女子は、わざと半袖を着ないままで奴の近くで脱いだりしてる。

男子はだいたいが気にしないので、上半身裸になる奴もいる。


次に勇者(笑)こと、御堂輝ミドウ ヒカル

外国人のクォーターらしく、短めの金髪に青い瞳。

星宮よりもイケメンなせいで、学校のイケメン達はそこそこモテない。

何故そこそこかというと、こいつは偽善者だからだ。

前に惚れてたけど中身を知ってくうちに冷め、離れていった女子も多い。

特にクラスの女子の三分の二がそうだ。

身長は180くらいで細マッチョ。


ちなみにウチはこいつが嫌い。

星宮は忌々しそうに御堂を見ている。

ホント……何で気づかないんだか。



「あれ?紅さん、どうしてここに?」


「星宮に話があるからここに来てほしいと言われた。御堂は帰れ、わざわざ時間と場所を指定したということは誰にも聞かれたくないということだし」



用事があると言ってる星宮、それでも帰ろうと言ってた御堂。

これならウチが味方するのは星宮だ。

星宮も頷いてる。



「だけど俺、葵と帰りたいんだ。葵の用事が終わるまで待つよ」



………………。

こいつ、馬鹿なのか?



「輝、お前な…」



さらに怒る彼の様子に仕方ないと考える。

だが、星宮は深くため息を吐き出し、ウチに向き直る。



「紅さん、待たせたりしただけでも悪いのに、話は違う場所でいいか?」


「別にいいよ、遅かった理由も察しがついてたから」



そう言うと「だよな…」、と落ち込んだ。

違う場所に行くために移動する寸前、御堂の後ろに紫色に光る何かが見える。

あ、魔法陣。

ガチで勇者(笑)になるのか、こいつ。

星宮も魔法陣に気づいたのか、嫌そうな表情をしている。



「逃げるぞ、紅さん」


「りょーかい」



足が遅いウチのことを考えてか、星宮がウチの手を掴んで走り始める。

御堂は最初、ポカンとしていたが自分の後ろを振り向いたのか、「何あれ!?」と叫んでこっちに逃げてきた。

こっち来んなよ。



「何あれ、何なのあれ!?」


「魔法陣だ、とっとと異世界に行って魔王でも倒してこい」



御堂は星宮と並んで走ってる。


……ん?

あ、これ巻き込まれに巻き込まれるフラグか?


そう考えていたら。



「うわっ!!うう……こうなったら、葵も!!」


「輝、てめぇぇぇえええええ!!」



魔法陣に捕まったらしく転んだ御堂は、星宮の足首を掴む。

勢いよく一瞬で吸い込まれた御堂、星宮も既に腰まで魔法陣に飲まれてる。

そしてウチに気づいてこちらを見て、離そうとした瞬間。



「手遅れみたいだね」



苦笑して言うと彼は絶望した表情になり、それを見たウチは意識を闇に呑まれた。

ちょっと無理矢理だなぁと思いましたが、色々見かけた巻き込まれの巻き込まれな形にしては珍しい形にしましたー。

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