現在
それで一ヶ月前は逃げる前に養子にされたな……懐かしい…。
諦めて受け入れて、そのまま家族になったっけ。
意外と地球での家族と似てる部分もあったからだけど。
まぁ、全員にウチの名前の発音を直したけど。
ちなみにパスタを食べに行ってた町で、ウチに声をかけたのは奴隷商人である。
ガランサスに斬られたのは、多分ウチを奴隷として捕まえようとしたんだろう。
彼、なんか読心術が出来るようになってたからさ…。
読心術って、他人の表情とかで分かるもののはずなのに言葉として聞こえるって言ってたけどね…。
「一週間前にねぇ…」
帰らずの森には王国の情報が一応伝わる。
魔物達が教えてくれるのだが、気まぐれなのだ。
伝わらないことも多い。
一週間の差があったとはいえ、情報はここに伝わったからいいだろう。
「蓮、前に言ってたホシミヤがいるんじゃないか?」
……確かにいそうだ。
いや、絶対にいる。
あいつ、巻き込まれだし。
現在、おやつの時間である午後三時。
フローラさんと昨日作ったチョコケーキと、ケニアをミルクティーにしたのが本日のおやつ。
「すっかり忘れてたわ、蓮が馴染みすぎてて」
「お前、本当に平和な世界出身か?」
こっちに転移していてくつろいでいながら苦笑するフローラさん、真顔で質問してくるエリクさん。
失礼だな、おい。
確かに食材として森の外にいる魔物を仕留め、血抜きしたり皮を剥いだりとか普通にするけど。
あ、この世界では魔物って普通に食材だったりすんの。
結構美味しいよ。
「失礼だね、二人とも。でも、その前に街に行ってギルド登録しないとね。お金稼がないと」
「蓮様、学校に通いたいと言ってましたからね」
この世界、十六歳はまだ義務教育のまっただ中だ。
それにこういう世界の学校ってイケメンとか多めにいるしね。
妄想とか出来るし、友達とか欲しいし。
出来れば腐が分かる、もしくはスルースキル持ち。
お金に関しては地球とあまり変わらない。
あまり、というのは何故か日本と一緒だからだ。
本物は見たことないが、数え方が「円」なのだ。
検索して見つけた時に微妙な気分になったが。
「なら、ユーリも行くか?」
「俺も?」
きょとんとするユーリ。
でもエリクさんに賛成かも。
ユーリは人間の友達がいない。
帰らずの森にはめったに人間は来ない。
来ても侵入者として扱うし、全員ギルドの者だ。
この森の魔物達はウチらの家族。
エリクさんの魔力に当てられ、魔物の中でも最弱のスライムは喋れるし中級魔法を使える。
だからかこの森限定でスライムはCランクだ。
しかもCランクはこいつだけ。
後はかなり強い。
そんな森にはギルド関係者以外の人間は来ない。
なら、街に行けば人間がいる。
学校に通えばフローラさん達エルフじゃなく、人間の魔法を教わることが可能だ。
エルフは自分が放った魔力の残滓も利用する方法を使うからね…。
しかも、無意識に漏れてる魔力までも…。
ウチは天使が教えてくれたから簡単に、けど少しでも集中はしないと出来ないこと。
ユーリはまだそこまで出来ないが、少しずつやれてるので元がつくが復讐系主人公はすごいと感心した。
「お兄ちゃんも行こうよ、お母さん達に会いたくなったらウチが転移とか使えばいいんだし」
「……それもそうだな」
納得したらしいユーリが頷く。
なら、とフローラさんが話しかけてきた。
「私の友人がマスターをしてるギルドはどう?今でも連絡は取り合ってるし」
「ああ、あいつのところか」
あいつ?
ウチとガランサス、ユーリは首を傾げる。
その後、夕食の間にも街やギルドに行く準備で話し合い、行くのは明日になった。




