るるる世紀末の日
世紀末よ、来い。
逸子は椅子に座り、机に肘をついて一人ごちていた。口からは大きなため息が連発で、いかにも憂鬱そうな雰囲気を醸し出している。逸子はもう既に真っ暗に染まっている空を一瞥すると、何となくカーテンを閉めた。
部屋で飼っている金魚の水槽が、ぶくぶくと音を立てている。ふと思い立った逸子は椅子から立ち上がって水槽のほうへ向くと、金魚のエサを掻っ攫うように棚から掠め取り、ぱらぱらとばら撒いた。それを金魚は真剣な顔で口をパクパクさせて食べる。逸子はちょっと気分が晴れた。
逸子は今日、失恋した。自ら告白して玉砕したわけではない。ただ何となく通った屋上への階段で、思い人がクラスメイトの女子とキスしているのを偶然見てしまったからだ。その時の逸子の衝撃といったらない。まるで雷が頭のてっぺんから爪先まで、びりびりと駆け巡り体がピクピク痙攣しているような感覚だった。
そのまま逸子はどうしたのか知らないが、気づけば帰り道をとぼとぼ歩いていた。逸子は確かにショックだったが、何が一番ショックといえばホの字な人に自分の好意を少しも分かってもらえなかったことだ。好きって言って玉砕したほうがまだマシだった。逸子はまたため息を深くついた。
午後十時、逸子は空腹でお腹が鳴ったのを切欠に、部屋を出て台所に向かった。逸子は中学三年生の学生だが、親が共働きのため夜に一人でいることには慣れていた。その為、スムーズに晩御飯を作り適当に夕食を食べた。これで空腹はなくなったわけだが、逸子は食べ終えてもずっと食器の並んだテーブルに座っていた。
……逸子はちょっと感傷に浸っていた。何だか自分ひとりだけで食べる夕食が無性にむなしくなって、目には涙が零れそうなほど溜まりもう泣きそうだった。
逸子は涙が零れる前にトイレに走りこみ、トイレの中で大泣きした。トイレットペーパーで目元を拭き、さらにそれで鼻をかみ、嗚咽は駄々漏れで意味不明な言葉を吐き続けながら、泣いていた。結果、三十分後にトイレから出てきた逸子の顔は、目元と鼻が真っ赤に腫れてそれはもう酷い顔だった。
逸子は風呂場の洗面台で火照った顔を流水で冷やしつつ洗っていた。鏡に映る逸子の顔は先ほどよりかは大分マシになっており、腫れも目立たなくなっていた。逸子はハンドタオルで適当に顔を拭いてから、階段を登って自分の部屋に戻った。まだ陰鬱な雰囲気は抜けきっていないが、かなり吹っ切れたようだった。そのままベットへ直行した逸子はワンバウンドするとタオルケットを手繰り寄せて眠りに落ちた。泣いたせいか疲れたようで、熟睡している。
そうして、逸子の失恋初日。逸子は泣きつかれて眠ったのだった。
短編を初めて投稿してみました。
拙い文章でしたが、お読みいただきありがとうございます。




