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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

動物を飼っている人は読まないほうがいい、ただ悲しいペットロスの話

作者: イトー
掲載日:2026/01/27

 自分の気持ちの整理のため、冷静に努めるために書いているので、感想欄やレビューは閉じています。

 先日、飼い猫を亡くしました。

 昨今使われている表現なら、虹の橋を渡った、というのでしょう。 


 彼は16年の時を生きました。

 赤ん坊が高校に上がるほどの年月です。


 なかなかに面白おかしく、好き放題にできた一生だったのではないでしょうか。


 祖母が使うかも、と買ってきた座椅子を気に入り、その日のうちに我が物顔で私物化。

 茶の間における定位置となりました。


 夕飯に刺身を買ってくれば、抜け目なく食卓にピッタリと身を寄せ、暗にマグロの赤身を要求。


 爪とぎマットがあるのに、スリッパでいたずらに爪をとぎ、バリバリにしておもちゃ扱い。

 ふすまも、それは見事にバリバリ。


 縁側のカーテンや台所の勝手口付近、その他のデッドスペースなど、身を隠せる場所がお気に入り。

 狭いスペースを好むのが猫の習性。


 ベランダで洗濯物を干していると、階段を素早く駆け上がってきて日当たりのいい場所をキープ。

 そのまま夕方まで日向ぼっこ。

 でもおやつの時間にはとんで戻ってくる。


 そんな機敏で、すばしっこい姿も加齢とともに減っていき、やがては階段をのぼることさえできなくなった。


 これまで大病はしていないものの食が細くなり、毛並みや顔つきも一目で年齢を重ねたと分かるものに。


 そして。

 去年の秋ごろから食べても吐くことが多くなり、かかりつけの病院で診察。


 やはり体に衰えがきていると。

 いくつか病気の可能性はあるものの、高齢のため薬で症状だけ和らげていく方向で。


 少し前には、あくまで遠回しにだが、平均寿命の話に触れられていた。

 飼い主として覚悟を、という意味だったのだろう。


 1度持ち直すも、年明けから体調の悪さが顕著に。

 通院して薬を使っても効果が上がらず、もう食べ物も受け付けない。

 痩せて骨が浮いてしまっているのに、目を細めて静かにすわっているだけ。


 もう「そのとき」が迫っているのだと悟った。


 うちは、最期まで家で面倒を見ることに決めた。

 入院して延命措置をすれば、いくらか命を長らえることが可能かもしれない。

 しかし、この決断には理由があった。


 それは以前飼っていたシニアの犬が、病気で入院したものの回復しきれず、生きて家に帰ってこれなかったこと。

 その後悔から、ならば、住み慣れた家で過ごさせてあげようと。


 そう決めてから4日ほどで、彼は虹の橋を渡った。


 息を引き取った日は苦しむ様子も見られ、病院で安楽死の処置を考える飼い主がいるのも大いに理解できた。



 というわけで、ペットロスの只中にある。


 過去に犬猫を飼っていたためペットロスは初めてではないものの、家族もメンタルをやられている。

 まあ、そうだろう。


 当たり前に猫がいる生活。

 16年続いたスタイルが1日にして喪失したのだから。


 理性では分かっていても、心が喪失感を拒絶する。


 エアコンの風に揺れるカーテン。

 光の加減で、すりガラスの向こうにできた物影。

 風が立てる、かすかな物音。


 カーテンをめくれば、そこにいるのではと。

 ドアを開ければ、こたつをのぞけば、ひょっこり顔を出すのではないかと。

 ついそんなことを考えてしまう。


 きっと、まだ実感がわかないからだ。

 それを心の底から自覚したとき、本当のペットロスが始まるのかもしれない。


 虹の橋を渡る。

 渡った先に、なにがあるのかは知らない。

 苦しみのないペットたちの天国か、楽園か。


 彼はもうあちらに行ってしまった。

 もうこちらにはいない。

 この世にはいないのだ。


 できることは向こうでの幸せを願うだけ。

 先に行っている、仲の良かった犬猫たちと仲良くやってほしい。


 さようなら


 ありがとう


 さようなら、さようなら


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