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新時代の幕開けと血鴉号の伝説

ブラッド・レイヴンが時間遡行兵器の脅威を乗り越えてから一年後。世界は、ミンがもたらした科学の波によって、根本から変革されていた。

世界政府の支配は完全に崩壊し、中央集権的な秩序は失われた。『知識増幅チップ』は、世界の隅々にまで広がり、海魂を持たない者でも、空気の密度を操作したり、重力を軽減したりする基本的な物理操作が可能になっていた。力が大衆に平等に行き渡ったことで、絶対的な独裁は不可能となった。

海軍の残党は、海魂に頼れない肉弾戦部隊として再編成されたが、既に科学で武装した市民や海賊たちの前には、旧時代の遺物でしかなかった。海魂はもはや魔法ではなく、教育と努力によって習得できる物理学の一分野として認識されていた。

ミンは、革命の設計者として、科学者や元海軍の技術者たちをまとめ、世界のヘソの知識を標準化する作業に没頭していた。彼は、自由港の近くに、知識を公開するための巨大な研究図書館を設立した。

「レン、見てくれ。全てが、予測可能になった。暴力ではなく、計算で解決できる世界が来た」ミンは、自身の知識増幅チップを装着した人々の姿を眺めた。

レンは、剣を科学的な道具として捉え直していた。「予測可能な世界は、退屈かと思ったが…そうではない。真の力は、知識をどこまで精密に応用できるか、に移った。私の剣術も、分子振動の極限に挑む科学になった」彼女の瞳には、新たな探求心が宿っていた。

ジーロは、知識図書館の屋上で、新世界の空を眺めていた。「俺の自由の夢は、世界中の人間の夢になった。海賊として目指すものはもうない…」彼は孤独と達成感が入り混じった複雑な感情を抱えていた。

「いいえ、船長。私たちの自由はまだ終わっていないわ」キラが、時空蒸気機関の前に立って言った。彼女は時間遡行兵器の件でミンから継承した時間の法則の知識を、完全に自分のものにしていた。

「この時空蒸気機関の奥には、まだ未知の次元への扉が残っている。知識と自由のフロンティアは、この世界だけではない。私たちは、真の自由を求めて、この次元から旅立つべきよ」

ミンは、知識を世界に遺すという科学者としての使命を終え、再び冒険者としての探求心を取り戻していた。

「ジーロ船長。行きましょう。次のフロンティアは、私たちの科学と知識が、まだ通用しない場所でなければならない」

ジーロは、久々に海賊王のような獰猛な笑みを浮かべた。「よし!この船は、法則を超越するためのものだ!血鴉号!最後の次元ジャンプだ!」

ブラッド・レイヴンは、知識図書館の海岸から静かに離岸した。船は位相変換機を失っていたが、キラの時間法則に基づく高度なナビゲーションと、ミンの知識安定化により、船は次元の壁を再び破る準備ができた。

彼らは、旧時代の秩序の残党や、新時代の混沌を後にして、別の次元へと向かう、最後の旅に出た。

ブラッド・レイヴンは、科学の時代を築いた伝説の船として、新世界の歴史にその名を刻み、自由と知識の象徴として、人々の間で永遠に語り継がれることとなった。


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