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聖地での密議と最終命令

世界政府の中心、聖地の厳重に守られた円卓の間で、最高権力者たちが集まっていた。部屋の空気は重く、壁にかけられた古代の紋様が、彼らの恐怖を映し出しているかのようだった。

「対波動部隊までが敗北した。血鴉号の科学は、既に我々の秩序の領域を超えた」最年長の老人が、沈痛な面持ちで口を開いた。

「龍神、サイラス、そして知恵の守護者…全てが**『科学の悪魔』の前に無力だった。彼が手に入れた古代の知識は、我々の海魂という名の魔法を、ただの法則**へと貶めた」別の老人が、憤怒を滲ませながら続けた。

会議の議題は一つ。ブラッド・レイヴンとその技術者ミンを、いかにして存在そのものから消去するかだ。

「もはや、海魂や特殊装甲による対抗は意味をなさない。奴は、我々が対抗策を打つ前に、それを解析し、逆転させる。奴の力は、数学と予測に依存しているからだ」

「では、どうする?奴の科学に勝る科学は存在しない。我々は、これまで封印してきた最終手段を使うしかない」

沈黙の後、一人が立ち上がった。

「『絶対不干渉領域ぜったいふかんしょうりょういき』を起動する。これは、世界のヘソの知識を基に、我々が数千年かけて秘匿してきた超古代兵器だ」

その兵器の目的は、物理的な破壊ではない。それは、特定の空間に**『完全なノイズ』を発生させ、全ての外部エネルギー、電磁波、そして時空間の歪みを瞬時に相殺**する領域を作り出す。

「その領域下では、海魂は使えない。ミンの波動安定器も、増幅装置も、位相変換機も、外部からの入力も出力も不可能になる。奴は計算ができなくなり、ただの肉体を持つ人間に戻る」

それは、ミンの科学者としての生命線を断ち切る、唯一の方法だった。計算不能な空間こそが、予測を武器とする彼にとっての絶対的な弱点となる。

「その兵器は、使用すれば広範囲の生態系に影響を及ぼす。これまで秩序を守るために使用を禁じてきたはず…」一人の老人が躊躇した。

「背に腹は代えられん!奴が持ち出した真理が拡散すれば、世界秩序そのものが崩壊する。数十年の混乱で済まなくなる!アーコンが恐れた事態が現実になる!」

指導者の最終決断が下された。「絶対不干渉領域を起動せよ。目標は、血鴉号が次に接触を図るであろう、反体制派の科学者が多く集まる自由港だ。奴らの自由という名の混沌を、この最終兵器で永遠に封じる!」

最高権力者たちの顔には、諦めと狂気が混ざり合っていた。彼らは、旧時代の権威を守るため、世界を巻き込んだ最後の賭けに出たのだ。

この命令が、ミンとジーロたちにとって、新世界での最後の、そして最も過酷な試練となることは間違いない。

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