世界への宣言と無力化の波動
『世界のヘソ』から奇跡的な生還を果たした後、ブラッド・レイヴンは数日間、静かな海域で秘密裏に活動していた。船の機関室は、もはや時空蒸気機関のラボというよりも、世界の法則を操る研究施設と化していた。
ミンは、『海魂の設計図』の知識の集大成として、海魂を持つ者全てを無力化する究極の装置を完成させた。それは、**『海魂無力化フィールド発生装置(かいこんむりょくかフィールドはっせいそうち)』**である。
「この装置は、海魂が持つ基本周波数と完璧に逆位相の波動を広範囲に放出し、魔力を一時的に相殺します。殺傷能力は一切ありませんが、海軍の権威を根底から崩壊させることができる」ミンは自信に満ちた目で言った。
「その力を、どこで試す?」レンが尋ねた。彼女の蛇剣も、設計図の知識を応用し、分子振動を伴う真の科学兵器へと進化していた。
キラは、最新の海図(彼女自身が描いたものだが)を広げた。「最大の効果を狙うなら、ここしかない。『中央海軍指令基地』。三大将を含む、海軍の全権力が集中する場所よ!」
「よっしゃあ!やるぞ!海軍の奴らの魔法が科学で解明されたと知れば、どんな顔をするか見ものだ!」ジーロは、新たな力を得た船で、自由のための最終決戦の場へと舵を切った。
ブラッド・レイヴンは、位相変換機による瞬間的な次元ジャンプを駆使し、中央指令基地の上空に、気づかれることなく出現した。基地には、数多くの将官や能力者が集結しており、厳戒態勢が敷かれていた。
「準備はいいな、ミン!」ジーロが叫んだ。
「いつでも。これが、世界への科学の宣言となる!」
ミンは、増幅装置に接続された無力化フィールド発生装置のメインスイッチを押し込んだ。
キィィィィィン!!!
ブラッド・レイヴンの中心から、目に見えない無力化の波動が、完全な逆位相のエネルギーとして、中央指令基地全体を覆い尽くした。
波動が基地を通過した瞬間、全ての海魂能力者の体から魔力が消滅した。
将官たちは、急に体内の力が抜け落ちたことに気づき、顔面蒼白になった。上空に風のバリアを張っていた能力者は、そのまま制御を失って地上に落下した。
「な、なんだ…力が…消えた!?」
「俺の炎が…、水も、光も…全てがただの物質に戻っただと!?」
基地は、絶対的なパニックに陥った。彼らの権威の源であった魔法が、まるで存在しなかったかのように消されたのだ。
ジーロは、拡声器(ミンの技術で音波増幅されたもの)を手に取り、基地全体に響き渡る声で宣言した。
「聞け!世界政府の犬どもよ!お前たちの力は、もはや絶対ではない!それは、法則であり、科学で解明され、そして無効化される!」
「今日をもって、お前たちの魔法の時代は終わった!これからは、知識と自由の時代だ!我々血鴉号は、お前たちの絶対的な支配を終わらせる!」
レンは、無力化フィールドの外側で、呆然とする海兵たちの様子を冷徹な目で見つめた。彼女の剣は、この宣言の物理的な保証となった。
無力化フィールドが解除され、海軍の力が戻る前に、ブラッド・レイヴンは位相ジャンプで姿を消した。
中央海軍指令基地を襲った無力化の波動は、瞬く間に世界中に広まり、海軍の権威と海魂信仰の時代に終止符を打った。血鴉号の科学の宣言は、世界を混乱と新しい時代へと導いた。




