古代遺跡の謎と知恵の守護者
龍神大将との激戦から数日。ブラッド・レイヴンは、新世界の深い霧の海域を静かに航行していた。船内では、キラが古代の粘土板の地図と、彼女が収集した星図を広げ、次の目的地を必死に解析していた。
「この虚無の宝庫への手掛かりは、単なる場所ではない。時間とエネルギーの位相が絡んでいるわ」キラは唸った。「この古代の星図が示す座標は、一年に一度しか出現しない**『時空の特異点』**を指している!」
「時空の特異点だと?」ジーロが興味深そうに尋ねた。
「ミン、あなたの波動安定器のデータが必要よ。この特異点は、周囲の次元の歪みが古代の技術と共鳴した時にのみ物理的に固定される。その共鳴周波数を測定して!」
ミンは即座に波動安定器の出力を調整し、キラの指定した座標の周波数を解析した。「確認しました。キラ。その共鳴は、私たちの時空蒸気機関と同じ古代エネルギーの波長です。これは、私たちが時空を越えるための鍵だ!」
彼らは、濃い霧に隠された**『星見の島』に上陸した。島の中央には、巨大で苔むした古代の天文台**がそびえ立っていた。その壁には、無数の幾何学的な模様と、理解不能な文字が刻まれている。
天文台の入り口は、強固な魔法でも海魂でも開かない扉によって閉ざされていた。
「この錠前…金属ではない。魔力でもない。これは、計算式でロックされている」ミンは断言した。
「時間、重力、そして特定の周波数…古代の技術者は、私たちが自然現象と見なすものを、全てシステムとして扱っていた。この扉を開くには、時空蒸気機関から正確な位相補正パルスを特定の秒数だけ放射する必要があります」
レンとジーロが周囲を警戒する中、ミンはキラと共に、波動安定器のコンソールを天文台の紋様に接続した。
「位相補正、発射!」
ドォオン…
低く重い音が島全体に響き渡った。天文台の扉は、音を立てることなく、まるで霧のように位相をずらし、内側へと滑り込んだ。そこには、宝庫への更なる手掛かりとなる、古代の石版が置かれていた。
しかし、その瞬間、静寂が破られた。天文台の入り口を塞ぐように、黒いローブを纏った集団が現れた。彼らは仮面をつけており、その手には魔導具と科学的な道具が混在していた。
「科学の悪魔よ。我々は**『知恵の守護者』。世界の秩序を維持するため、古代の力を、無秩序な海賊の手に渡すわけにはいかない」指導者らしき、落ち着いた声の男が言った。「特に、予測不能な技術**を持つ貴様は、我々の監視下に置かねばならない」
「私たちを監視していたのね!」レンは怒りに燃え、蛇剣を構えた。「秩序だと?邪魔をするなら、切り捨てるだけだ!」
ジーロは風の力を集中させた。「お前たちが知恵だと言うなら、俺たちの力を試してみろ!」
「ミン!キラ!石版の解析を急いで!戦闘は俺たちに任せろ!」
知恵の守護者は、海魂と科学が融合した攻撃を仕掛けてきた。一つは、波動安定器を狙った電磁パルス。もう一つは、レンとジーロを拘束するための重力フィールドだ。
「予測された攻撃ね!ミン!」
「了解!安定器を電磁パルスの逆位相にセット!重力場は時空機関で相殺します!」
ブラッド・レイヴンのクルーは、古代の知識を巡る、新世界の闇の組織との戦いに巻き込まれた。




