機械仕掛けの島と古代の遺産
ブラッド・レイヴンは、新世界の穏やかな海域を航行した後、異様な島にたどり着いた。その島の名は**『歯車島』。島の岩肌は自然のものではなく、巨大な金属のプレートと、複雑に組み合わされた歯車で覆われていた。島全体が、まるで古代の巨大な機械仕掛け**のようだ。
「なんてことだ…島全体が、人工の構造物だと?」ミンは驚愕し、ゴーグルを調整した。彼の多機能リストバンドのセンサーは、島から放出される極めて強力な、しかし既知の魔力とは異なるエネルギー波動を捉えていた。
「ここは新世界でも有名な場所だ。『歯車の神々』が残した古代の遺跡だと言われている」ジーロは警戒しつつ錨を下ろした。「しかし、ここには何の宝もない。あるのは、錆びた鉄と、危険な**オートマタ(自動人形)**だけだ」
「宝がない?そんなはずはありません」ミンの目つきが変わった。「この放出されているエネルギー…これは、私の知る魔法蒸気や雷光石とは別次元の、高効率の動力源です。ここには、私の科学を飛躍させる鍵がある!」
レンは蛇剣を抜き、島の金属の地面に降り立った。「あなたの科学の匂いがするわね。でも、ここには危険の匂いもする」
彼らが島を進むと、巨大な歯車や、動力を伝えるためのチェーンが地表を這っている。その技術は、アゼオスの現在の魔法蒸気技術よりも遥かに高度で洗練されていた。
「この合金…信じられないほどの耐久性だ。そして、このエネルギー伝送システム…損失がゼロに近い!」ミンは興奮を隠せない。
その時、警告音が鳴り響いた。錆びた鉄の地面から、数体の自動人形が立ち上がった。彼らは四本腕を持ち、体中が剣と槍で覆われた、古代の戦闘機械だった。
「やっぱりな!番人だ!」ジーロは海魂を集中させ、防御態勢に入った。
レンは素早く飛び出し、自動人形の一体と交戦した。彼女の雷光蛇剣は、人形の装甲に火花を散らすが、完全に貫通することができない。
「装甲が硬すぎる!通常の海魂では、表面しか削れないわ!」
「レン!動くな!奴らの構造を解析する!」
ミンは命がけで戦闘の渦中を避けながら、波動安定器のセンサーを自動人形に向けた。彼のリストバンドにデータが流れ込む。
「分かった!奴らは外部の魔力ではなく、内部の**『時空結晶』から動力を得ている!そして、その結晶が共鳴し、装甲の強度**を維持している!」
「時空結晶だと?どうすればいい!?」ジーロが叫んだ。
「レン!奴らの関節を狙うな!動力源を内部から振動させて共鳴を破壊する!狙いは、胸部中央のクリスタルだ!」
レンは一瞬ためらったが、ミンの指示に従った。彼女は戦闘機のように回転し、自動人形の胸部のクリスタル目掛けて、雷光蛇剣の高周波麻痺振動を一点に集中させた。
キーーン!!!
通常の海魂では不可能な、特定の周波数を内部に送り込むという科学的攻撃が成功した。クリスタルは一瞬輝きを増した後、粉々に砕け散り、自動人形は機能を停止して崩れ落ちた。
「やったわ…!あんたの理論が、古代の力を破った!」レンは息を切らしながら言った。
戦闘後、ミンは崩壊した人形の残骸から、破損した時空結晶と、複雑な古代の歯車を慎重に回収した。
「この時空結晶があれば、波動安定器を次元の壁を越えるエネルギー源として利用できる。そしてこの歯車は…これこそ、私の科学に足りなかった、高効率の動力伝達システムの答えだ!」
ミンの瞳は、未来への無限の可能性を捉えていた。古代の技術と現代の科学の融合。この瞬間、ミンの科学はアゼオスの技術レベルを遥かに超越した。
「さあ、ジーロ船長。この島で数日間の**『科学的休暇』**をいただきます。ブラッド・レイヴンは、もうすぐ、次元を超える船に生まれ変わります!」




