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溜めというもの

最近、近所の防災無線から十七時に流れてくる曲を弾いているピアニストが変わった。これまでは淡々と弾いたものが流れていたのだが今ではフレーズごとに溜めが入り勿体ぶった弾き方のものに変わってしまった、はっきり言って私は後者のものが好きでない。そういえばかなり前に書いた小説でそんな話をしたことがあるなと思い出した、そう、ブラックダイアモンドだ(https://novel18.syosetu.com/n5752ea/7)。

「曲中に幾度かあるカタストロフィーを迎える直前の溜め、技巧のある、特に彼のように軽やかなタッチを持った演奏者の場合、間を意識させるのは時間軸ではなくごく僅かなテンポのブレと幾重にも計算された音のバランスでその間を聴衆に錯覚させた方が良いだろう」と作中の人物が宣っているが、まぁ私は大仰に溜める演奏が好きではない。そういえば本物川大賞での評に「溜めを意識したほうがいい」というコメントがあった覚えがあるがまぁ私はそういうものの類が好きでない、作品に対しては自然主義的な人柄で細部に魂が宿ると信じていてそして物語的な誇大な飾り立てが好きでない。

とはいっても、実はこの間が最高っていう曲がいくつかあったりする。まずはじめに上げたいのがHelloweenのHeavy Metal is the Lawだ。ライブ風に録音されており色々と上手ではなかったりダサいコール・アンド・レスポンスが含まれていたりと何かと最高なのだが、コーラスの前の空白が好きだ。もう一つ挙げるとしたらJudas PriestのElectric Eyeのコーラス前だろうか、あまり関係のない話だがElectric Eyeのギターソロはすべての人がお手本にするべきものだと思う。Glenn Tiptonはあの頃には既に前時代的なギタリストでありお世辞にも上手と言える演奏ではないがあの曲でのソロの展開は最高だ、Heavy Metalというジャンルで弾くべきソロの展開、ギターソロにおけるSonata形式ともいえる、ステージでの佇まいもすき。

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