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何年経つと引用されなくなるのか

何年経つと論文は引用されなくなるのだろうか。自分がある程度知っている分子動力学法であったり電子状態計算のことで考えてみる。例えば自己拡散に関するEinstein Relationを用いる場合、Einstein (1905, Ann. Physik.)を引用するのが正しいだろう。手元にあったUnderstanding Molecular Simulation (Frenkel & Smit, 1996, Academic Press)という書では引用無しでEinstein Relationを示している、査読している限り引用されているところはまず見ない。ではvan Hoveの関数はどうだろうか、参照するべき論文はvan Hove (1954, Phys. Rev.)になるだろうが1990年代の論文では引用されていないことが多い。古典的多体系の運動方程式を解く際に用いられる簡便な数値解法にはVelocity Verlet法というものがある、Leap-Frogの解法としてはVerletがSelf-Startできない形で1967年に示している(Verlet, 1967, Phys. Rev.)。Self-Startができる速度系に式変形したものを示したのはSwopeである(Swope et al., 1984, J. Chem. Phys.)、彼は論文中ではなくAppendixにそれを示した。経緯が分かりづらいのもあってか近年はほぼ引用されているところを見ない。

常識となってしまい引用されなくなる、という論理は分かるのだが戦後の論文くらいからはちゃんと引用するようにしたほうがいいのではないだろうか。世の中では誰でも原子中心基底を用いた電子状態計算をできる有償のソフトウェア、Gaussianというものがある、そのマニュアルは非常に真面目で莫大な量の参考文献が示されており初学者は一通り読むべきだろう。さて、簡単に使えるものだからなんとなくで使って解法や基底関数セットの引用がなされていないことも多い。密度汎関数法は波動方程式におけるExternal Potentialが電子密度のUniqueな汎関数であること、また最小のエネルギーを達成する電子密度分布は厳密に基底状態であるという証明(Hohenberg & Kohn, 1964, Phys. Rev.)に基づいた波動方程式の解法である。電子密度の汎関数でExternal Potentialを表すことができるということは計算量が電子数の三乗に比例することを表しており六乗から七乗に比例する直接的な手法よりも簡便であるものの現実の物性の再現性は良くない。そこでHartree-Fock交換をなんとなくの割合で混ぜたり(Becke, 1993, J, Chem. Phys.)する経験的な混成汎関数というものが生まれた。人の言うところのMinnesotaの汎関数は(Zao & Truhlar, 2008, Theor. Chem. Account.)はいろいろな混ぜものをしてそれらしくフィッティングした経験的なもので汎関数は接尾辞が異なるいくつかのVariantがあり対象の物質にたいして適切に選ぶ必要がある。査読をしていると彼らの論文を読んでいないのか向いていない物質群に用いているケースをよく見かける、やはり手法に関する論文は誰もが逐一引用するべきだなと思った。

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