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学会で賞を得ることの価値

若い頃は表彰されると壇上に出て写真を取られるし嫌なことだと思っていた、見世物小屋の晒し者になるのはあまり快いものではないだろう。かつて学会の論文賞をポスドク時代に貰ったことはあったがそれはまぁちょっと表彰されるだけという感じで、飲み会で喋れとか通常のものとは別で講演しろというのはなかったと思うのでそれほどでもないだろう。ただ学会の若手の奨励賞などになると普段の研究とは異なる手続きが増えるし諸々の仕事も増えてしまう。

多くの場合、将来のことを考えて学会でなんらかの賞を取って置いたほうがいいとかつての指導教員や兄弟子に当たるような人から賞の打診がくる、私の場合は兄弟子(私のせんせいのところで博士号を取ったわけではないのでこの説明は不適当かもしれないが)に当たる人だった。そうするとまぁ推薦書(色々と人によって意見が分かれるが、私個人は被推薦者が書いてから推薦者が推薦理由について他者からの理解が得られる形に直すのが最も良い方法だと考えている)や業績目録を書かなくてはならないので大変だ。往々にして、そういう打診をしてくる人は学会でなんらかの運営委員をしていて、其の人自体が直接の推薦者になることはできない。なので推薦者を探して、諸々の面倒な手続きをお願いして、そしてそれを遂行して貰う必要がある。かつてお世話になった偉い人にそれをやってもらうのは気軽に話せる関係であってもなかなか気が引けるだろう。そしてなにより色々と面映ゆいというか、まぁなんだ、その……。

あまり乗り気ではなかったがそれらをやり遂げて受賞したことがある。いろいろなところに顔写真がさらされて色々と記事を書いたりする必要が出てくる。はっきり言って応募する際は億劫だったしやはり人前で晒し者になるのは心地良くなかったのは事実なのだが賞を得ることはあまり考えが至らなかった良いところがある。それは人前に出ることだ。え?お前は何を言っているんだとなっただろう。さて、百人を超える学会の会員皆の顔と名前と研究内容が一致する人はどれほどいるだろうか。私は人の顔に興味がないので、少し離れた専門の人となると全くわからない。研究者の中にはこれらを暗記するのが得意な人もいるが多くは人間に対する興味は薄く、別のセッションに出没する人々の顔とその研究内容など覚えていないだろう。

学会の賞を貰いそして受賞講演で研究の話をするとその時に学会内の別分野の人に研究内容と顔を覚えてもらえるのである。分野としては別で話したことは無いが研究の道具が同じ、或いは別角度絡みているが対象としている物質が同じ、そんな人から話しかけてもらえるようになる。それ自体が自身の研究につながるし、少し離れた分野との共同研究がそれによって始まれば自身の世界も広まるだろう。


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