研究者になるコツ
私が学部生の頃、まぁ過去の業績は優れているが色々とお騒がせな教授が学科にいた。過去に私が卒業論文を提出する際、副査の一人だった彼の部屋にお邪魔した。卒論を提出しにきたというと彼はぶっきらぼうにそれを受け取った、その後に「お前は研究者になりたいのか?」と尋ねてきた。私は、はい、と答えた。すると「俺が研究者になるコツを教えてやる、ちょっとこれを見ろ」とパソコンのモニターを私に見るように促した、そしてメーラーを開き未読メールをすべて削除した、そして「こうすると余計な仕事が来なくなって研究に集中できる」と自慢げに嘯いた。
そして時が経ち助教になった私だが、奇しくも意図せず似たようなことをしてしまう。職場のメールアドレスには引っ切り無しに関係あったり関係なかったりするメールが舞い込んでくる。ハゲタカ論文誌からの投稿依頼、ニセ国際会議の招待、そんな純然たるスパムだけではない。学科、学域のメーリングリストで回ってくる自分にあまり関係ない議題、職員掲示板は自分に関係ないものまみれ。停電のお知らせ以外の職員掲示板からのメールは全て迷惑メールに入れたれ、としているとある日メールで事務から「先生だけ◯◯の提出がされていません」とお叱りがくる。そしてそれらの大量のメールに紛れてやってくる自分宛ての大学業務依頼のメールを見逃しがちだ。でもまぁもうどうでもいいやと全部既読にしてしまいがち。こういう人はそのうちあの人に任せるとなぁ、で業務が回ってきづらくなるのだろう。彼の言っていた「研究者になるコツ」とはこういうことだったのかと得心したが誰もが悪びれずにこういうことをし始めると……。




